出発だ!

 ジャスパーは真っ赤な口をあんぐり開けた。


「ほら、ここにもやもやすることを思いっきり叫ぶんだよ」


「う、うん。わかったよ」


 ゾラは深呼吸してから、一気にもやもやを吐き出した。


「パパもママも、自分だってきちんとできていないのに僕ばかり叱って! それも、やろうとしたときに限ってね。そんなに『もう』『もう』言うなら、牛にでもなっちゃえばいいんだ!」


 すると、どうだろう。もやもやを吸い込んだジャスパーの体が風船のようにむくむく膨れ、ゾラよりももっと大きくなってしまった。


「さあ、乗って! もやもやを吹っ飛ばしに出発だ!」


 ゾラはとっさにジャスパーの丸い背中にひらりとまたがる。

 ジャスパーの口から熱い息が漏れると、ゾラを乗せたまま、体が宙に浮いた。

 そして思いっきり息を噴き出すと、開いていた窓から外に飛び出してしまったのだった。

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