ジャスパー登場

 そのとき、不思議な声がした。


「じゃあ、僕にちょうだい」


 出しっ放しだった水道が詰まり、水が出なくなった。かと思ったら、そこからにゅるりと小さなカエルが這い出てきたのだ。ぽてっとカエルが落ちると、また水が噴き出てきた。


「わわわ」


 慌てて蛇口をひねったゾラを、カエルがつぶらな瞳で見上げていた。


「やあ、僕にそのもやもやをちょうだいよ」


「君は?」


「僕はもやもやジェットのジャスパー。もやもやで空を飛ぶカエルだよ」


「空を飛ぶだって? カエルが?」


 笑い飛ばしたゾラに、ジャスパーは目を細める。


「僕は君を知っているよ、ゾラ。今夜、そのちっちゃな胸にたくさんのもやもやが詰まっていることもね! 試してみるかい?」

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