(三)-7

 私が口を開こうとすると、ママは私に唇に人差し指を当てて言った。

「すまないが私は忙しい。小倉のおじいちゃんかおばあちゃんに頼みなさい。いいね」

 そういうと、ママは私の唇から手を離し、頭をやさしく撫でてくれた。そして身を翻し部屋を出ようとした。

「どうして来てくれないの?」

 私がママの背中に言った。

「そもそもお前のことはあの人に全て任せているんだよ」

 ママはこちらに体を向けて言った。

「ママは私のおかあさんじゃないの?」

「すまないけど、私も忙しくてね」

「私の進路のことなのよ」


(続く)

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