(三)-6
夜七時を過ぎたくらいに、なんとなく入口の方を見ていると、長身でパンツスーツをパリッと着こなし、颯爽と歩いてくる人が見えた。オールバックの髪型から、キザな男性のようにも見えるが、それが私のママ、北宇智シズミだった。
橋本さんはそれに気づいたようで、ママの方へ駆け寄っていくのが見えた。何か事情を話してから、ママを連れて会議室に来た。そして橋本さんはすぐに私たちを二人きりにしてくれた。
ママは「久しぶりだね」とだけ言った。
(続く)
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