遭遇 ~カフェにて~
ワタシ達は今、最近できたばかりだというお洒落なカフェに来ている。
どうやら、ここは昔工場として使われていた建物をリフォームして作り替えたらしい。さっきそう
天井から吊るされたアンティークなライトが店内をぼんやりと照らし、片面の壁はガラス窓になっていてそこからまだ明るい太陽光が入って来る。
なぜ
時計の針は四時ちょうどを指している。
蝉の声はようやく落ち着いてきて、代わりに鈴虫なのかコオロギなのかの鳴き声へとバトンタッチしていた。
窓から入ってくる風と店内の雰囲気も相まって、かなり落ち着いてだらっとした時間が流れるこの感じがたまらなく好きだ。
「ところで……
「たしかさっき『お花摘んできますね』って言ってたよ」
ぼんやりしすぎて気付かなかったらしい。
「
一体何を話すんだろう。まさか、「
「最近、近所で不審者の目撃情報が出始めているんだけど、学校で何か聞いたりしたかな~って思って……」
その話どこかで聞いたような気がする。
そう思って、ここ最近あった出来事を振り返ってみると一つ思い当たる出来事があることに気が付いた。
「そう言えば佐藤のやつがそれっぽいこと言ってたような――」
「本当ですか!? 詳しく教えてください!」
意気揚々とした様子でそう言ってきた
「別にいいのだけれど……
「え? 変なことって?」
「例えば、その不審者を捕まえようとしてる……とか?」
「お待たせしました! 二人で何話してたっ……どわぁー!」
そして、お手洗いから戻って来た
「大丈夫!?」
「大丈夫ですか?」
心配になって声を掛けると、
「いやいや、ごめんごめん! 足が絡まっちゃって……」
良かった……あんなに派手に転んだのでどこか怪我をしていたらと心配になったが、この様子を見る限り大丈夫そうだ。
そんな中影山は、一人別の方向を見ているということに気が付いた。最初は私と同じように
しかし
ワタシもその方向を見てみると、そこには何か紙切れのようなものがくしゃくしゃになって落ちていた。
そこから数センチの所にカバンが倒れていることから推測するに、それは
私はそう思った。多分、
だけど、
「
そう言いかけたら
それがどういう意味なのかを測りかねていると、
突然何が起こったのかと思って、ワタシもその紙切れに視線を戻すとそこにはもう何もなく、ただきれいな木目調の床が目に入っただけだった。
「ワンワン、ワンワン!」
わんわん……?
この店はペット同伴禁止である。それに、店の前で犬が待っていたりもしていなかったことはしっかり覚えている。
ではその声の
「
その声に従って視線を妄想さんへと向ける。
するとそこには、手のひらサイズの小さな毛の塊みたいな動物が妄想さんに向かってすり寄っていた。
ハムスターサイズでワンと鳴く動物などいただろうか。記憶の引き出しを探索してみるが、その検索結果はどこにもなかった。
「えへへ……」
笑ってごまかそうとしているが、これは説明してもらわなければならない。
「
「……はい」
彼女は申し訳なさそうにそう言った。
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