今日の女神の一言「滅びて当然じゃないかしら」
はぁい、みんな元気? 女神よ。
今日のお題はちょっと面倒で、難しいかも知れない。
前にループもの話をしたのに関係が少しあるんだけど、【過去改変】ってあるわよね? 実はループものって私の仕組みじゃ過去改変に抵触するけど厳密に言えば過去に飛んでるわけじゃなくて、現実の方を過去に合わせてるだけなの。
簡単に言えば、過去の一定のポイントを保存しておいて、死んだ時に現実に過去のその状況を上書きすることで成立させてる、まあ難しい話は適当に聞き流しておいて、要するに何が言いたいかって。
―――本当に過去に介入することは難しい。
ということだけ、ループみたいに頻繁にやるなら、
ちなみに、あの最後赤ちゃんまで飛ばしたのは、私の力じゃなくてナイが魂だけタイムスリップさせたのよ。
で、今回の仕事なんだけど単刀直入に言って、世界が滅びたらしい。
「ご愁傷様です、世界は死にました」
といって世界ごと異世界に転生させるなんてさっすがに出来ないからね?
…いや、やろうとしたらできるのかしら?
死ぬほど疲れそうというかだからヤリたくないわー。
普通に世界が滅びたぐらいなら、あーはいはい残念でしたって軽く聞き流すんだけど、今回滅びた世界は私が異世界転生させた後の世界。
じゃあ異世界転生させた人間が滅ぼしたのか?
確かにそういう理由で人類が滅亡するって事はたまにある、ただ今回は魔王の仕業によって、世界を草の根一本残さない死の大地にされたらしいわ。
有り体に言えば、勇者が負けた。
さて、こうなった場合処置は色々ある、いくつも世界を受け持ってるような力がある神なら、沢山あるし一つぐらい滅んでもしょうがないよね、で済まされたりスルーされたりすることもある。
けどこの世界が唯一の神にとってそれは死活問題、だって自分の存在価値が由来で最悪消滅にすら繋がりかねないから絶対に避けなきゃいけない。
しかもアンチ神である魔神とか悪魔の手のものに滅ぼされたら上の神だって何負けてるんだと結構ご立腹にもなる。
そういう神が、今回どうにかならないかと泣きついてきたのよ、以上長々とした前説終わり。
「で、まあ簡単に言えば勇者にやり直させたいというところね」
冒頭のタイムスリップの話はここに繋がって、勇者を転生開始時点に記憶を引き継がせてやり直させたいらしい、今回の勇者の敗因が仲間を作らず一切の手を借りず自分ひとりで魔王城に突っ込んで負けたから。
「と、いうことで今回の勇者のご登場です」
指パッチンして、勇者の魂を呼び寄せる。
「っ…ここは!?」
「ご愁傷様です、あなたは死にました」
「またかよ!」
まあ私のテンプレだから聞くのは二度目よね。
「貴方は魔王に負けました、そりゃもうこてんぱんに、ボロ負けでした」
「っく…そこまで言うことは…ってあれ、いつもの女神様じゃない」
「あぁ、私はいつもの女神の上司です」
「そういうのってあるんですね」
「あるのよ」
あるんだから仕方ない。
「で、俺はこれからどうなるんです?」
「本当ならこのまま天に召されでもするんだけど、もう一回チャンスを上げたいんだって、いつもの方の女神様が」
「えっ…またですか……?」
「あら、思ったより乗り気じゃないのね」
正直コイツがこのまま拒否すればこのお話は終わりだ、異世界転生とは違って今回この勇者には拒否権がある、というか無理にやっても自殺されて終わりだから。
「…嫌ならここで終われますよ」
「じゃあ終わってもいいですか…?」
「一応確認します、あなたのその決断であの世界の人は消え、文明は滅び自然は消えあらゆる命が途絶えるでしょう、それでもいいですね?」
「…っ……は…い」
「よっぽど辛い目にあったの?」
さすがにここまで言われてそれでも滅亡を選ぶ勇者というのは滅多にいない。
「ちょっと話してみなさい」
「わかりました」
聞いてみるとひどかった、まず開幕反逆したらいつでも殺せるように首輪を付けられ、片っ端から雑用を點せられ奴隷のように扱われ、ようやく成果を上げても当然だとか仕事が遅いと蔑まれる、エルフとかの亜人は差別意識が高すぎて会話すらまともにできなかった、そういう結果の単独魔王城であり、最終的には魔王に
「こんな世界滅ぼしてくれ!」
と懇願する始末だったらしい。
「うーん、なるほど」
聞き終わって少し考える、いや考える必要もないわ。
「滅びて当然じゃないかしら」
「ですよね!」
あ、この勇者から今までで一番いいリアクションを貰っちゃった。
でもどうしようかしら、依頼としては世界の滅亡だけは阻止して欲しいって言われてるのよね、さすがにこの状態だとどう足掻いても人族に恨みは抱えたままだし、魔王はやっぱり滅ぼさなきゃいけないわよねぇ。
「あっ、そうだ、天罰してみない?」
一つひらめいた、もういっそ最悪の場合人間には滅んでもらおう。
「とりあえず貴方に首輪の爆発とか呪いとか一切効かないような加護授けるわ」
「えっ…転生しなきゃダメなんですか?」
「よく聞きなさい、人類に復習したくはないですか?」
「へっ!?」
まあいきなり神様から復讐していいとか言われたら驚くわね。
「魔王を倒すこと、自然をできるだけ破壊しないことを条件に復讐の女神を手配することができます、思う存分復讐してもいいです」
「そんな女神がいるんですか!?」
急にイキイキしだしたな、いいぞこいつ
「ちょっとギリシャとかそのへんに復讐の三女神がいるの」
「三人も!」
「そもそも転生者や勇者っていうのは女神の加護を受けた人間でしょ?」
「そうですね、実際女神様とこうして話せますし神の遣いかと思ってました」
「その神の遣いを、迫害して絶望させるとかもう髪に対する反逆では」
「確かに………!」
「じゃあもういっそ天罰対象にしちゃっていいんじゃない?」
「なるほど……!」
目がキラキラと輝き出したわね、どんだけこいつ酷い目にあってたのよ。
「ただやっぱ迫害した実績がある時間軸からのやり直しになるけどいい?」
「そうですね、では自分がエルフの里を助けた後、エルフに追い出されて王族に邪険にされて泥水飲まされそうになってるぐらいのタイミングでいいでしょうか」
おっと、やけに具体的なタイミングを指定してきた。
「あぁ、なるほどそれは確かにキレていいタイミングに見えるわ」
「それじゃあお願いします!」
「あ、それと一応能力の引き継ぎと、もうちょっと強化も気持ち程度しておくわね」
なんか可愛そうだからオマケしてあげよう
「ありがとうございます!」
そうして、勇者は二度目の旅に出た。
王様は転生して10秒経たずに殺された。
姫は囚われて良いように復習されて生き地獄を味わって、迫害してきたものは処刑され、畏怖される存在になり、無事魔王も討伐した、恐怖によってできた大軍とその大軍の犠牲によって。
あとエルフはついでに売られていった。
結果的に人間は減って、大地には自然に溢れたし結果オーライかしらね?
え、結果的に魔王が爆誕しただけじゃないかって?
…悪魔の手のものじゃないからセーフよセーフ、そういう事にしといてちょうだい。
世界が滅びないっていう目的だけは達成したんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます