今日の女神の一言「コレ、エロ本でしょ」

 はぁい、みんな元気? 女神よ、今日はね依頼オーダーがヤバすぎて頭を抱えているわ。


 【条件1、巨根である】


 …いきなりコレ、つまり今回はそういう話らしいわ、セクハラよね? 私女神よ?

「………やっりたくねぇ…」

 でも上に怒られるのは私、理不尽。

「これボイコットしても怒られるのは依頼オーダーしたほうだと思うのよ、毎回」

 他の条件も結構酷いラインナップが続いてる、人間の倫理的にアウトなんじゃないの? ってものがズラリと並んでるけどどれだけ性に奔放な世界なのかしら。

「で、特殊能力も指定ありで、尽きない種とヤッたらバフ………はぁ」

 女神にこの加護をさせる女神って、それだけでなんか一つの性癖が産まれてない?


「で、これもしかしナイ…では無いか」

 あの一件以降暫くナイの依頼かどうか確認するようにしてる、さすがにアイツのだったら拒否してやるつもりだから、というか拒否する理由ができるんだしナイの依頼だったらこれ良かったんだけど?

「………あー、なるほどーちゃんとしなきゃいけない依頼オーダーね、クソが」


 呪詛でも祟でも天罰でもかけてやろうかと思ったけど、無闇にやるとそれこそ大問題になるのでグッと堪える、そもそもこういう仕事たまにくるし、毎回反吐が出るだけだし。


「はい見た目の指定はー、さすがにどうせイケメンだとか、転生時イケメンよね」

 ペラペラと発注書を見る、そこにはこんな項目があった。


【見た目指定、小太り以上・頭髪不問・巨根】


「種付おじさんじゃねーか!!!!」


 思わず叫んでしまったわ、オーダーも地面に叩きつけちゃったし、イケナイケナイ。

「はいはいコレ、エロ本でしょ、エロ本世界でしょ」

 色々呆れてものが言えなくなってくるわね、こういう時ってだいたい登場した女全部とスッパンスッパンするやつでしょ?

「あー、もう適当でいい気がするわ今回の仕事」

 残りの項目に目を通しながら検索をかける、後は特に変な指定は………あるやん?


【召喚時のお願い、以下の写真の容姿で召喚してください】


 その写真は担当女神のものね、しかもめっちゃ気合い入れて神々しいし、ギリシャ風スタイルで誘ってるような見た目してるし。

「ふう…」

 ちょっとハーブティーを取り出して心を落ち着かせる、あーあー、なるほどー。


 …

 ……

 ………

「期待してんじゃねーか!!!」

 飲み終わったティーカップを叩き割ったわ、ごめん、耐えれなかったわ。

「アレじゃない!? これ、私の元まで来て抱きに来てね? はーと…ってやつじゃないの! なに!? こいつド変態!? ド変態しかなかったわ畜生!!!」

 さすがにここまでダメな方に振り切れる依頼ってなかなか無いわよ。

「そもそもどんだけこの種付おじさんに期待してるの!? 性欲だけで天界に上り詰めて犯しに来るってどんだけアグレッシブな生物だと思ってるの!? いや実際アグレッシブだけどあの生物!!」



 失礼しました。

 兎にも角にも、この種付おじさんを召喚しなきゃいけない事は確実です、どうせ上位存在に物申しても、『ハハ、面白いではないか、やってやれ』って言われるのわかってるし。


 そもそもこういうド変態プレイの片棒担がせてんじゃないわよ、というかド変態プレイに巻き込んでんじゃないわよ…危害が来たらタブーとかどうでもいいから、あの女神殺す、あの世界も燃やす。


 担当女神が変態だと大変よね、でも住人がしそれでいいなら良いんじゃないかしら。


『あー、うん条件合致わりと多いわー特に日本人多いわー、さすがだわー』

 元々、異世界召喚に私が選ぶのも、異世界召喚の知識が多い、『日本』とかそういうカルチャーを持った国が多いのよ、説明が省けるし理解も早いから。


 ピンク色の魔法陣が光って召喚に成功する、今回はエロ画像経由よ。

「ようこそいらっしゃいました、あなたには異世界に転生する権利をあげましょう」

「な………っ!」

「そこでは女の子をヤリタイ放題です、びっくりですね、やりますか?」

「やる!!!」


 うんさすが私が判別した人間、即答だわ、即答するでしょうよこの条件。

「ところでアンタもやれるのか!?」

 うわ、こいつセクハラという概念ないの?

「そうですね…この美貌とヤリたいとおもうなら…上り詰めなさい」

 私とはやらせない、死んでも嫌、殺す、でもこの美貌の神はなんかやたがってるっぽいから好きにしていいわよ、天上の変態ップル目指しなさい、私知らない。


「よっしゃ! 絶対犯してやるからな!」

 そう言って、かれは変態世界に飛び立っていった。

「嫌よ、ほんとに」

 元の姿…と言ってもこれも人間用に作った姿なんだけど、本当の私は概念存在だから形を持ってないのよ。


「はぁ…今日のはこれだけで疲れたわね…」

 よく私がああいう依頼をする時って、召喚者と合わないよにしてるんだけど、ターゲットにされたら面倒だからモニター越しに吸い込まれたとか、気づいたら転生系にする方が身の危険が及びにくいし。

 あの条件の中には、こっちを見ると即飛びついてくるような変態までいるのよ、なんで今まで捕まってないのか不思議よね? あ、さすがに獄中の人間は色々私だって思う所あるから選ばないから安心して。


 今日も、難件をクリアしホッとする。


―――これは後日談なんだけど。


人間時間で数年後、この人間がキッチリあのド変態女神を孕ませたって報告が来たわ、ある意味両思いだと思うわ、人も神も幸せのカタチはそれぞれだと思うわ、それが傍から見てどんだけ歪で理解できなくても、巻き込まれたり、迷惑にならない限り文句言わずに見守ってあげてね、女神との約束よ?


私は最初に迷惑かけられたから文句を言う権利はあるわ。

「二度と来んな、ド変態共」


女神からは以上よ、御機嫌よう。

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