今日の女神の一言「あれ? 除外処理忘れた…?」
はぁい、みんな元気? 女神よ。
最近上位存在のおエライサンに女神って書いてゲスってルビを付けるぞって言われたわ、残念だけどもしそうなっても一人称視点だから、自分で女神って言う分に付けようがないわ、ざまあみろ。
そう言えばゲスって『下種』とか『下衆』なんて書くけど、私ってば結構上の方の神様なのよ? 悪く言えば中間管理職、つまりはストレス大盛りよ、ッペ。
そんなこんなで今日もやっていくわよ公開転生、今日の
「んー、とりあえず指定を通信簿の5段階評価が全部3の高校生にして、あとは容姿の指定はなんとなくで選ぶしか無いかー…」
とりあえず3つの世界で検索掛けたらSランクが大量に出た、うんなんか沢山いるって辺り普通な気がするわ、あとはパッと可もなく不可もないような見た目で選んで…えっと。
「能力指定は死に戻りのみ、ステータス補正もなし?」
あれかー、現在知識を持ち込ませて科学を発展させようってやつ。
「転生先は王族の第一王子だし、これはアレね、いつもの女神対面タイムなしね」
アレやらないで済む依頼は結構好きなのよね、手間が省けるし。
「サクッと殺してサクッと転生して終わりね」
こういう時はトラックじゃなくて心臓麻痺とか過労死なんかもいいのよね、なんとなく自然死したって感じを出したいわ、勿論他の担当女神によってはトラックでも銃殺でも工夫出す神はいるけど、私は大体気分よ。
事故死とかだと、『可愛そうなので転生させてあげましょう』って口実が使えるじゃない? でも、自然死だと未練が強くないと割と対面の時に『いや、いいです』って言われるのよ。
うん、対面タイムがないなら自然死がいいわ、心臓麻痺らせるだけだし。
※個人(神)の感想です。
と、言うことで本日出来上がったのがコチラ、ピチピチの生きの良い転生赤ちゃんです。
「そうね、たまには転生者の観察でもしようかしら」
基本的に私は転生させたらその地の担当に丸投げする、担当の女神や神には転生させたいけど力が足りないのも多いから、私が代理でやって…やらされてるんだけど、当然その後を観察する権利とか、介入する権利ぐらいはあるのよね、介入は担当と揉めるからしたことないけど。
ま、ぶっちゃけ揉めたら揉めたらで勝つから良いんだけど、そもそも委託するような力しか無い相手に負けるわけないもの! 力がある神なら自分でできるし、…あ、でもたまに例外みたいにいる脳筋は勘弁してほしいわね。
ちなみに他の神様の名誉のために言っておくと、大抵の神様ってたまたま死んだ人間から選んでるのよ、多分…ごめんちょっと自信ないけど、私みたいに超テッキトーーーに選んで殺してるのはマレだからね? 邪神? そっちのカテゴリでいいわよ別に。
こうして観察するのは結構暇つぶしになるのよ、早送りしたりダイジェストでみたり、地上と時間の流れが違う…というよりそういう概念がそもそも違うからできる芸当ね。
ちなみに『今日』って言葉も他に思いつかないから使ってるだけで、私が活動初めて終わるまでを便宜上そう言ってるだけよ?
「あ、また死んだ」
これでかれこれ100回目だ、今回のループ転生者は自分でループポイントを設定できない意地悪設定を指定してるのよね。
なのでどこで復活するかのセーブポイントは完全に担当女神次第、でも結構やり手で大体手遅れになる10日前とか一週間前とか、1年でなんとかしろとか結構使い分けてて見てて面白いわ。
え? 人が死んで面白いとか言う倫理観? 無いわよそんなもの、映画とかアニメとかドラマとかゲームで楽しんでるでしょ、それと同じよ、同じ。
それにこの子は望んで苦労するタイプ、ヒロインになりそうな女の子や友人…まあ近い人が暗殺されたり死にそうだったり投獄されるのを、自殺してまで止めようとしてるわ、第一王子だから全員妾にできるものねー、そりゃ三桁余裕で死にますわ、だってこの王国陰謀で真っ黒だもの、なんならその友人が寝取る為にしてたりしてるのよ?
…でも、欲深いけど嫌いじゃないわよ、がんば。
その後も、戦争行ったら幼なじみが寝取られ、行かなければ滅亡したり。
友人が自爆テロ起こしたり、隣国の姫が暗殺してきたり病気が蔓延したり魔王が復活したり王様が洗脳されたり自分が洗脳されたりヒロインが悪堕ち洗脳されたり友人が洗脳されてると思ったら元々狂人だったのに気づいていい加減ブチギレてたり色々あったけど、ようやく安定したと言えるところまで国や環境を立て直した。
「結局ここまでくるのに…41962日分、転生回数は1398回他より114年か…人よりちょっと多く生きてちょっと多く死んで…よくやったわね」
ここまでされると、流石にこの執念、根気、努力は素直に認めるわ。
望んだどおり、沢山の恋人に囲まれ子を残し、しっかり徳川式にして後継者争いもケアしつつ遺言も残して、幸せにそうに老衰していった、享年98歳。
「おぎゃああああああああああああああああああああ!!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
そして次のシーン赤ん坊の鳴き声と私の叫び声がハモったわ。
「えっ、赤ん坊!? 最初から? 転生…でもないわね、本当に最初じゃない」
混乱する、えっなんでこうなってるの?
え、なに? 意味分かんないんだけど、そうだ! 転生者のステータス!
「オープンして…えーと、ループ設定ループ設定…」
ループ画面を探す、神様側からしか見ることが無いような情報画面を開いて、なにが作用したか確認してみる。
「あれ? 例外処理忘れた…?」
普通、こういったループ転生者の時、一定期間以上の年齢を過ぎた場合とか、特定の死因だった場合転生しないようにする、ループ設定の例外処理の指定が必要になるのよ、じゃないと永遠に終わらなくなるから、デフォルト設定で用意してたと思ってたけど…これ、私入れ忘れてるわ。
あー、やらかしたわー、これどうしよう、怒られるんじゃないの?
ゴーン
ベルがなる、誰かが私に通信魔法を使ってきた合図ね、あー、うん流石に謝ろ。
「もしもし」
「やーやーやー! いいねー、ありがと」
「はい?」
担当の神はなんか上機嫌だ、ってかコイツ知ってるやつだ。
「あんた、ナイねこれあんたの世界のひとつか」
ナイはいくつもの世界を持っている神で、私と同階級の神。
「わざわざ自分で転生させずに、私を使ったのってどういう風の吹き回しよ」
「え? こうしたら観察するかなーって暇つぶし」
そうね、お前は暇つぶしでしか世界運営しない。
「いやあ、最高の人材をありがとう! 今までも楽しめたしこれからも!」
あーはいはい、満足してくれてありがとうね、さすがわたしだわー。
…Sランクとかの判定は、私の能力によって、運命を感じ取って判断してるもの、正直理屈なんか考えたことはないけど、なんとなくそうだとわかる。
「そりゃどうも…で、赤ん坊からの理由は?」
「そりゃあ当然、神の祝福…いやもう邪神の呪いにすら感じてるだろうモノをこれから彼は何度も人生を費やして解除しなきゃいけないからさ!」
「あー、なるほどね、邪神はあんたよ」
正直申し訳ないって気持ちもある、けどソレ以前にさっき自分を邪神って自称したのを訂正するわ、邪神ってこういうヤツをいうのよ。
「見てご覧! 彼はもう立ち直って考え始めてる、なかなかない人材だ」
…なまじここで精神崩壊した方が、彼は楽だったのかも知れない、そうすると『死』とみなされるけど、短期間の間に世界が停滞過ぎて世界運営のルールに触れるから彼はちゃんとここで殺して貰えた。
「あぁ、楽しみだよ! 彼は苦難を乗り越え、そしてトゥルーエンドを歩み始めた」
何にせよ、これなら怒られたほうがマシに感じるわ。
「いやー、除外指定無しで送られた時、久々に胸が踊ったよ!」
そう、本来は除外指定なしでも担当の神が修正するから問題にならない筈なのよ!
コイツ以外ならね!
「それでは、彼の今後の活躍をお祈りしています、じゃあねー!」
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