夫婦

バブみ道日丿宮組

お題:マンネリなボーイズ 制限時間:15分

夫婦

「ここにきて何年経った?」

「そんなことも忘れたのか? だから成長しないんだよ」

「成長しないのと時が経つのは話が別だ」

「そんな憤慨しても伸びるものも伸びないぞ。まぁ出るとこも出てないか」

「まるで少年みたいって? それは差別発言だと思う」

「別に少年みたいってこっちが言ったわけじゃないって」

「まぁそうね。そう思われてる節はあるけれど」

「ずっと一緒にいればそうなるだろ? ずっと側にいるじゃないか」

「そうね。まさか夫婦になってくれるとは思わなかった」

「僕も容姿が子どもみたいだから、子ども夫婦って言われたけどな」

「いいじゃない。言わしておけば。私たちは私たちでしかないのよ」

「ただまぁ戸籍を偽るのは大変だったよ。まさか異世界からきた人間だって説得するわけにもいかないし」

「でも、信じてくれた」

「超能力持った人間って他にいないからな。その能力も酷く限定的であれだったが」

「あなたの運命は当たってるじゃない。小さな小さな妖精があなたの側に居続ける」

「その妖精が君だって言うんだろうけどさ、こっちの世界じゃ妖精が見えるやつは精神的にやばい状態にあるやつでまともじゃないんだぞ」

「追い込まれないと見れないなんてこの世界の人間が貧弱なのよ」

「君の故郷の話を聞く限りではそうだろうね。でも、そのぶん科学力では負けてないよ」

「そうね。空を飛ぶ技術なんて魔法でしかなかった。寝てるだけで他の国へ行けるんだなんて素敵」

「その分もう成長はほとんどないだろうね。架空の物語に出てくる科学が出てこない限り、似たりよったりのものばかりさ。そういう意味じゃ君の故郷の魔法は奥深い」

「仮に転生したとしても使えることはないわ。それは私たちの子どもにしてもね」

「あと3ヶ月だったね」

「そうよ。忘れないで欲しいわ」

「忘れることはないって。なんで一緒にいるんだよ」

「怒らないでよ。知らないわ」

「まぁいいさ。この世界で生きるのであれば、特質性はないほうがいい。偏見っていう嫌なものがこの世界を支配してる」

「私の髪の毛もそうだったわね」

「水色の髪、黄色の瞳。まずありえないからね」

「視線にはもう慣れたわ」

「子どもには髪の色や瞳の色は遺伝するかもね」

「そうだとしても愛を持って包むわ」

「僕もそうするよ」

「それで今年は何年だしたっけ?」

「またその話か」

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夫婦 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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