骨48本目 パーティーメンバー募集

 パーティーメンバーを募集は治療活動のついでに行う事にした。

 そうすれば大勢の人に知ってもらえるからだ。


「俺は治療活動とメンバー募集をやってみるよ。ルチャとアルは寛いでいてくれ」


「分かったの」「分かったのニャ」


 俺は部屋を出て1階に降りる。


 すぐに人が「回復魔法かけて」と集まってきた。

 なので、治療しながら「パーティーメンバー募集!」と宣伝する。


 ちなみに募集内容はこんな感じに纏めて看板に書いておいた。


 ・手足を失っても動じない人。

 ・死ぬ気で悪魔ダンジョンを攻略したい人。

 ・遠距離攻撃、後衛に特化した人。

 ・年齢は18歳を目安、女性希望。

 ・レベル、種族、星数は不問。


 ルチャと話し合って決めたのだ。

 沢山の応募があるといいな。



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 パーティーメンバー募集に興味がある若者は多かった。

 だが誰も「応募します!」とは言わない。


 質問だけして「ふーん」って感じで去っていく。

 条件が厳しいのか、今のところ応募件数は0だ。


 しばらく粘ったが、やはり応募は無かったので治療行為を終わらせた。


 回復魔法に人は集まるが、パーティーメンバーは集まらなかった。


 とりあえず、ルチャと合流しよう。



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 部屋に戻るとそこにはライラが居た。


「だーかーらー! あたしがパーティーに入ってあげるって!」


「ライラはお断りなの」「お断りなのニャ」


「どうしてよ!」


 どうやらライラは俺達のパーティーに入りたいらしい。

 俺がパーティーメンバーの募集をしていたことを耳にしたのだろう。

 だが、どうして俺じゃなくルチャに言い寄っているのかは謎だ。

 もしかしたら卵の件で怒ったことをまだ引きずっているのかもしれない。


「もう! ルチャはそんなんだから――」


 俺はルチャとライラの会話に割り込んだ。


「おいライラ、悪魔ダンジョンに死ぬ気で挑戦する気があるのか?」


「あ、ボーンさん」


「もう一度聞くぞ? 死ぬ気で悪魔ダンジョンに挑戦する気はあるか?」


「ありませんけど?」


 あっさりと答えるライラ。


「じゃあ不採用」「不採用なの」「不採用なのニャ」


「なんなの!?」


 ライラは地団駄を踏んだ。



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 ライラは好き勝手に喋った後に、俺に紙束を渡して去っていった。


 嵐のような生き物である。


 まともに相手をしてはいけない。


 ルチャのようにほとんど無視くらいが丁度いい。


 悪い人間じゃないんだけどな。


 ちなみに紙束は『最新の魔法陣集』で『持ち出し禁止!』と書いてあった。

 せっかくなので、ありがたく貰っておく。

 暇な時に見てみよう。


「それで、どうだったの?」


「パーティーに応募してくれた人は居なかった。条件が厳しいのかもしれない」


「やっぱり」「ニャウン」


「ルチャはどう考えてるんだ?」


「やっぱり悪魔ダンジョンを死ぬ気でってところがダメだと思うの」


「そこか……だが、そこは外せないんだよな……」


「普通の冒険者なら悪魔ダンジョンなんて避けるの」


「うーん……困ったな」


 都合の良い冒険者はそう簡単に見つからないか。


「こんな時は何か名案を思い付く必要がある」


「そう都合良くいくわけがないの」


「まあ、見ていろ」


 ルチャは呆れているが、こういう時に機転が利くのが優秀な冒険者だ。


 頼むぞ、俺の頭脳!

 人間に擬態している今なら頭の中身もたっぷりな筈だ!

 何か思い浮かんでくれー!


 ――ピコーン!


 変な音が頭の中に鳴った。


「思い付いたぞ!」


「え? 本当なの? 教えてほしいの」


「ドラゴンの卵を手に入れるんだ!」


「は?」


「ドラゴンをパーティーメンバーに加えるんだよ! そうすれば問題は解決だ!」


「……ボーンはやっぱり馬鹿なの」


「俺は馬鹿じゃない! 俺はこの閃きを信じるぞ!」


「ドラゴンの卵がどこで手に入るかボーンは知ってるの?」


「これから探す。道中、レベル上げも兼ねれば一石二鳥だ!」


「私はどこにドラゴンの卵があるのか知ってるの」


「まずはルチャとアルのレベルを……え? なんだって?」


「ドラゴンの卵はエスピリ龍王国で手に入るの。ライラが言ってたの」


「……マジで?」


「マジなの」



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 ルチャの優秀な情報収集能力のおかげで俺の閃きは現実味を帯びてきた。

 ルチャには感謝しないとな。


「まずはダンジョンでレベル上げをしよう。その後にドラゴンの卵探しだ!」


「分かったの」「ニャッ!」


「あ、そうだ、レベル上げの前にルチャのレベルと魔力だけ聞いてもいいか?」


「わたしはレベル42、魔力2500くらいなの。ボーンはどのくらいなの?」


「俺のレベルは99で、魔力は3万くらいだな」


「なにそれ壊れてるの」「ボーンは壊れてるのニャ」


「だがこれでも、スカルドラゴンや王様リッチには余裕で負けるぞ。王様リッチなんて魔力は10万クラスだろうしな」


「そんなの無理なの!」「そんなの無理なのニャ!」


「いやいや、人は生きてるし成長するんだ。いつかルチャもそのレベルになれる。それにアルは生まれたばかりだが、もう魔力は5万以上あると思うぞ」


「アルはそんなに強いの!?」「分からないのニャ!」


「多分、そのくらいの強さはある。これからもっと強くなるのは間違いない」


「わたしアルよりも強くなるの!」「アルはルチャを守るのニャ!」


「その意気だ! じゃあ、今から強くするぞ!」


「え?」「ニャ?」


 今こそ貴族から貰った装備を使う時だ。


 ルチャに装備一式を渡し、着替えてもらう。

 これでルチャの防御力は相当に上がる。


 アルには加護が付いた布を足に巻いてもらう。

 これだけで戦力強化になるのは間違いない。


「これでよし! それじゃ早速、ダンジョンに行くか!」


 おっと、今のうちにステータスを確認しておこう。




 個体名:ボーン

 レベル:99

 魔力量:29560

 骨密度:7254

 ユニークスキル:全骨統

 属性:火・土・闇・回復




 アルに余裕で勝つなら、最低でも魔力量10万くらい必要なのか。

 レベルが圧倒的に足りないな。


 先は長いが、俺の冒険はまだまだこれからだ。


 俺はスケルトン、不死系の魔物。

 食欲、性欲、睡眠欲を犠牲にして生きる飢えたアンデッド。


 この呪われた体は最強になれると信じてる。

 俺にはユニークスキルもあるからな。


 俺はもっと強くなるぞと、気合いを入れたところで、ダンジョンに出発だ。

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