骨17本目 魔大陸に行こう!
これにて墓地ダンジョンの魔物の殲滅は完了。
今となっては墓地ダンジョンの魔物など俺の敵ではない。
余裕だったので戦いの合間に『飛行』と『巨大化』の練習もしてみた。
今は魔力にも余裕があるので練習中に魔力が枯渇する心配も無い。
数時間も練習したら『飛行』と『巨大化』の扱いにも慣れてきた。
これなら必要な場面になっても大丈夫だ。
「さて、ステータスを見てみようか」
最近はあえてステータスを見てなかった。
俺の骨体ステータスがどうなったか楽しみだ。
では早速、ステータスを確認しよう。
個体名:ボーン
レベル:87
魔力量:14750
骨密度:6048
ユニークスキル:全骨統
属性:火・土・闇
おお、なかなか成長している。
魔力量だけはAランク冒険者らしい。
我ながらよくぞここまで数値を上げたものだ。
だがレベルと骨密度がまだまだだ。
目標はレベル100以上、骨密度1万以上だな。
これからもアンデッド系の魔物を吸収しよう!
「よし! ここでの用事は全部済ませた! 魔大陸へ行こう!」
俺は意気揚々と墓地ダンジョンを後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
墓地ダンジョンを去り、ヨーセンの街に到着。
魔大陸へ行く前にセーラへ別れを言うためにセーラの家を訪問する。
家の扉をノックするとセーラが出てきた。
「セーラ、今日は別れの挨拶を言いに来た。俺はこれから――」
「はーい、気をつけてー! また財宝が手に入った時には、お土産待ってます!」
「いやいや、なんか、軽くない? 別れの挨拶なんだからさ。涙とか出ないの? 俺達、仲良くなったよな?」
「え、会おうと思えば転移で帰ってくればいいじゃないですかー」
「あ、ああ……そうだよな、転移場から数分の距離だもんな。じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃーい!」
なんだろう……想像してた感じと違う。
これが転移魔法陣が普及した弊害か。
何回も言おう、時代は変わったんだな。
そりゃ会おうと思えば、金貨さえ払えばいつでも会えるもんな。
だが貧乏な時とか、節約したい時は会えないよな?
この辺の感覚にまだ慣れないな。
俺は釈然としない気持ちで転移場に来た。
従業員に声を掛ける。
「魔族国まで」
「はい、魔族国は外国なので、身分証を見せて下さい」
「あ、そうなのか、Aランクの冒険者カードでいいか?」
「はい……確かに、では金貨10枚になります」
「え、そんなにするのか?……高くないか?」
「魔族国は遠いので、これが通常料金ですが?」
はあ、色々と慣れない事ばかり。
外国に行くならAランク冒険者のカード提示。
遠い場所ほど金が必要になるようだ。
俺の金銭感覚では移動に金貨10枚は高いと思うんだが、これが普通らしい。
未来で1人旅って不安だな。
セーラについて来てもらえば良かった。
俺は金貨10枚を払い、玉を受け取る。
玉に魔力を込める。
――バシュンッ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目を開けると、魔族の人が立ってる。
この人は多分、従業員なのだろう。
無言で玉を回収されたからな。
はい、海を渡って魔族国に来ましたー……って、なんだこれ。
いや、これで魔族国に到着したんだが。
なんか違う、感動が無い、冒険者らしくない。
そう思うのは俺が古い人間だからだろう。
まあ、何はともあれ、魔族国に到着。
まずは冒険者ギルドを探そう。
「……あ、冒険者ギルドはあっちか」
冒険者ギルドを探そうとした矢先、視界に地図看板が映り込む。
看板には『冒険者ギルドはこちら』と分かりやすく書いてある。
どうやら建物が繋がってて、転移場の隣が冒険者ギルドのようだ。
ああ……うん、便利な世界になったと思うよ?
これで誰も迷子にならないよ?
とても親切だと思うよ?
でもさぁ、もっとこうさぁ、なんだかなぁ……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺はモヤモヤした気持ちで魔族国の冒険者ギルドに到着した訳だが。
予想を遥かに超える光景が広がった。
まず3階建て、吹き抜けになってる。
こんな変わった建物とは思わなかった。
この時点で目が取れるかと思った。
次にその広さ、規模の大きさ。
ドラゴンが暴れても大丈夫そうだ。
それに凄い喧騒だ、賑わってる。
髪の毛が全部骨粉になるかと思った。
そして人種と人の多さ。
俺が知ってる種族なんてほんの少し。
動物に見えるような、魔物に見えるような人、普通に飛んでる人もいた。
あれ、足が震えてきたぞ?
更に狩られた魔物がズラッと並んでる。
解体待ちか、鑑定待ちか。
見た事も無い、凶悪そうな魔物の死体ばかり。
あ、手も震えてきた。
最後は冒険者たちの装備。
どれも超一級品。
見ただけで分かる、素晴らしい品質。
気が付けば、体が震えていた。
ここだ、これだ、これこそが冒険者だ!
最先端の冒険をする者!
俺はお前らに会えて光栄だ!
魔大陸、魔族国の冒険者ギルド、最高だ!
俺はとにかく周囲を観察する。
まずは観察、空気に慣れよう。
圧倒されたが、ここで負ける訳にはいかない。
そして友達を作りたい。
なんでもいい、情報が欲しい。
そうだ、どこかのパーティーに入ろう。
冒険者といえばそこからだ。
俺は相談受付に行く。
誰も並んでないので、すぐに相談できそうだ。
ちなみに受付の人は、獣人を更に動物っぽくしたような見た目の人だ。
多分、男性で、多分、おっさん。
「おう、どうした? 何か相談か?」
「パーティーに入りたいと思ってるんだが、どうすればいいか教えてくれ」
「じゃあ、この紙に自分の実力とか希望を書いてくれ。嘘は書くなよ? 喧嘩の原因になるからな。それに個人情報はギルドで厳重に管理する。情報が漏れる事は無いから安心して書いてくれ。それからギルドが条件に合うパーティーを探して紹介する。お互い条件が合わないとパーティーは組めないからな」
「おお、なるほどな、そういう流れか、分かった」
俺は受付で紙を貰う。
なかなか詳しく書く必要があるようだ。
ボーン、人族、男、25歳、レベル87。
これからも種族は「人族」で通そう。
スキルは「暗視」「魔力操作」「魔力感知」「気配察知」「身体強化」「剣術」「無詠唱」くらいだろうな。
まあ、「無詠唱」は「詠唱短縮」と書くけど。
武器は剣、魔法は火、土、闇で魔力量は1万にしておこう。
行先は「アンデッドダンジョン」でいいか。
希望は「アンデッドばかりが居るダンジョンに行きたい」でいいだろう。
魅力は「アンデッドに効果が高いユニークスキルを持ってる」っと。
受付に提出すると「ちょっと待ってろ」と言われたので、大人しく待つ。
さあ、どんなパーティーに入れるのだろうか。
わくわくしてきたぞ。
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