骨2本目 スケルトン狩り

 さて、スケルトン狩りを始める事にしよう。


 方法としては簡単だ。

 襲ってこない無防備な雑魚スケルトンの頭蓋骨を岩で砕く、の繰り返しだ。


 倒したスケルトンはユニークスキル『全骨統』で吸収する。

 俺の骨密度の数値を高める為だ。


 スケルトンは最弱の魔物であり、経験値も最低だ。

 おそらく取得経験値1とかだろう。


 結果から言うと、5匹倒すとレベル2に上がった。

 10匹倒してレベル3、20匹倒してレベル4に上昇。

 40匹でレベル5、80匹でレベル6……レベルが上がる法則は分かった。

 どうやら次のレベルになるまでに、倍々で必要経験値が増えていくようだ。


 そして更に160匹を倒してレベル7になった。

 スケルトンを合計で315匹、討伐完了だ。


 次のレベル8になる為には、スケルトンを320匹倒す必要があるだろう。

 今では苦戦せずに勝てるが、効率が悪すぎる。

 そろそろ最弱スケルトン狩りは卒業だな。


 ちなみに現在のステータスこんな感じだ。




 個体名:

 レベル:7

 魔力量:45

 骨密度:325

 ユニークスキル:全骨統




 数値はまだまだ低いが、魔力量は3倍。

 骨密度に至っては30倍になった。


 魔力量はレベルが1上がる毎に5上昇した。

 魔力量が上がると骨体の基礎能力も上がる。

 動きやすく、素早く、力強くなった。


 どうやらスケルトンの能力は魔力量依存のようだ。

 骨密度については単純に防御力だと思う。

 まあ、まだ攻撃を受けてないから分からないんだけどね。


 ……そういえばステータスを見て思ったんだが、俺には名前が無い。

 そろそろ名前を考えてもいいんじゃなかろうか。


 骨体だからホネホネとかだろうか?

 ボーンマンはどうだろう?

 合わせてホネボン……微妙だ。


 うむ、俺にネーミングセンスはない。


 とりあえず個体名『ボーン』にしようかな。


 分かりやすいし……とか考えてたら、個体名が『ボーン』になった。

 どうやら俺は『ボーン』として生きていく事になったようだ。


 はっはっは、俺はボーンだ!



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 さて、ここまでダンジョン1階層でやってきた。

 そろそろダンジョン2階層に進もう。


 運良く先に進む為の階段は発見している。

 ちなみに出入口も発見済みで、外に出てみた。


 どうやらここは巨大な墓地の中心にあった神殿がダンジョン化したようだ。

 外は夜だったので太陽に焼かれる事はなかった。

 外の景色はよく見えたのでどうやら俺は夜目が効くらしい。

 天敵である人間に出会わなかったのも良かった。


 では墓地ダンジョン2階層、行ってみるか。


 俺は大きな下階段を進む。


 階段を降りた先には……スケルトン。

 またか、と思ったが奴は霞んだ剣を持っている。

 少し強そうだ。


 1階層のスケルトンと違い、2階層のスケルトンは俺に気付くと襲ってきた。


 どうやら1階層の魔物である俺が他の階層に行くと侵入者扱いになるらしい。


 予備動作もなく俺の頭に振り下ろされる剣。

 カァンと、金属同士がぶつかったような音が響く。

 咄嗟に腕でガードし、剣を弾く事に成功。


 やはり骨密度の数値は侮れない。

 俺は1階層の通常スケルトンの30倍だからな。


 剣持ちスケルトンは驚いたのか硬直している。

 チャンスだ、俺は相棒である石を持って殴りかかる。


 殴る、殴る、殴る――。

 一撃必殺とはいかなかったが、苦戦する事もなく倒す事ができた。


 サラサラと粉状になる剣持ちスケルトン。


 お、そうか、剣も粉状になるのか。


 そういえばそうだった。

 スケルトンの持つ武器は回収できなかった筈だ。

 今更ながらにまた冒険者だった頃の記憶が蘇る。


 俺は粉状になったスケルトンを吸収。

 骨密度の上昇値は1だ。

 2階層の剣持ちスケルトンだから上昇値2を期待したんだけどな。


 よし、じゃあ2階層ではレベル8を目標にしよう。


 攻撃を弾く事ができるし、余裕だろう。

 無理しない範囲でのんびり強くなればいい。

 俺は寝る必要もなければ、疲れも感じないしな。


 ……さて、レベル上げをやる前に試したい事がある。

 俺も霞んだ剣を作れるのか、という事だ。

 きっと俺のユニークスキルが解決してくれるだろう。

 期待してスキルを発動させる。


 錆びた剣でいい、棒でもいい、なんか出ろ……!


 出た、普通に出た、それはもう簡単に出た。

 ニュルっとも、シュッとも言えない感じで出た。


 錆びてない、真っ白な骨粉製の剣が出たのだ。


 素晴らしい、流石はユニークスキルだ。

 ……実はスケルトンの通常スキルのおかげなのかもしれないが。


 俺は軽く剣を振ってみる。


 ああ、良いぞ、そうだ、俺は魔法剣士だったからな。

 この剣を振る感触、どのくらい振りだろうか。

 涙は出ないが感動が押し寄せてくる。


 うん、いい感じだ、やはり剣術って楽しい!


 剣に魔力を込めて……ダメか、魔法は発動しない。


 あれ、そういえば俺、どんな魔法が使えたっけ……?

 うーん、ダメだな、記憶がない。

 魔法を使ってた感覚と記憶はあるんだけどな。


 ま、過去の事はいいか、俺は剣を手に入れたのだ。

 これでスケルトン狩りが捗るってもんだ。



◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 剣を持ってしまえば無双の始まりだ。


 奴らの攻撃はガードする必要がない。

 勝手に俺の骨体が弾くからだ。

 痛覚が無いからか、痛くも痒くもない。


 俺はひたすら剣を振り回してるだけでいい。

 骨剣にも骨密度が適用されるらしく、俺の作り出した骨剣は硬いのだ。

 まるで鈍器のようにスケルトンの頭蓋骨を砕く事ができる。


 一撃必殺、頭蓋骨粉砕剣。


 剣を持ったスケルトンが2匹来ようが3匹来ようが、相手ではない。


 倒したスケルトンの骨粉は吸収する。

 毎度しっかり吸収してるから、何匹倒したか分かる。


 そうしていると俺はレベルが8に上がった。




 個体名:ボーン

 レベル:8

 魔力量:50

 骨密度:485

 ユニークスキル:全骨統




 どうやら2階層の剣持ちスケルトンは取得経験値が2だったようだ。

 160匹倒してレベルが上がったからな。

 骨密度の上昇値を確認しながら行動してるから間違いない。


 2階層はスケルトンが多い。

 それに複数で出現するから、1階層とはレベル上げの時間効率が段違いだ。

 次の階層に行く階段を探しながら、レベル9になるまで頑張ってみよう。


 レベル9になる為には、2階層のスケルトン320匹分の経験値が必要だ。


 先は長いように感じるが、目標があると頑張れる。


 ステータスで数値確認ができるから、心が折れずに済む。

 スケルトンを吸収して骨密度の数値が上がるのを見てると気持ちがいいからな。


 よーし、やってやる!


 墓場ダンジョン3階層行きの階段探しと、剣スケルトン320匹の討伐開始だ!

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