第53話 師匠も出来るんかーい!
話を聞くに、エミーシャが大物の予感と思って追いかけていた物の正体はトカゲだったらしい。本当にトカゲだったようだ。2リットルのペットボトル位のサイズの物を抱えて持ってきていた。
「それ不味くて食えねーよ」
と師匠に言われて渋々と逃してきたようだ。
「悔しいけど美味しすぎる。美味しいわぁ〜」
そんなエミーシャは今はご飯を頬張っている。美味しそうに食べてくれるので作った者としては嬉しい。ほぼほぼ神器のお陰ではあるが。
「うん、美味いな。これからの旅が有意義になりそうだ」
「師匠、例のこと忘れてないですよね?」
「もち〜ろん」
なんだか緩い返事が返ってくる。信用して良いんだろうな?と思いながらホムラも食事を進める。
美味い。ありがとう神器。
食事を終えて少しお腹を休めたホムラは、エミーシャの様子を伺いつつ魔法の自主練を行うことにする。
「目指すは《精霊化》!成功させてみせるぞ」
エルメティア先生から出された宿題だ。達成までは遥かに長い道のりになるだろう。下手したら、おじいちゃんになった頃に出来ましたと姿が変わらない先生に報告するなんてこともあり得るかもしれない。
「いやいや、絶対に若いうちに習得しないとな……」
石の上に座り込んで、松明を持つ。頭の中でイメージするのは精霊化を行った時のエルメティア先生だ。
松明の先端から炎が出て、ホムラの周囲に漂い始める。これを全身に纏うことが出来れば精霊化出来たと言えるだろう。
だが、纏おうと思っても思い通りに身体に付いてはくれない。まだまだ魔力の操作の技量が足りてないのかもしれない。
近くではエミーシャがブンブンと木剣で素振りをしている。
「うーむー、これは難しい……」
「精霊化の練習か?ローレイラ団長から聞いたけどよ〜。頑張ってるらしいじゃんか」
師匠がヌッと目の前に現れる。あまりの速度に驚いてしまう。
「全然成果は出てないですけどね。気ままにやるしかないです」
「そうだな〜、まずは魔力の操作の技量をもっと上げるのが良いと思うぞ?そうすれば、効率的に魔法も使えんだろ」
師匠がまともなことを言い始めている。良く聞いておくべきだろう。
「基礎に帰るって感じですか」
「おーよ。いくらお前が5属性使いとはいえ、ガキだからな。まだまだ修行が足りねーのよ」
5属性のところは、エミーシャに聞こえないようの小さく呟いていた。
「よし、鍛えてやっから立てよ」
師匠が言いながら少し後ろに下がる。どうやら組み手でもやりそうな雰囲気だ。
「えっと……、何をするんです?」
一応聞いてみよう。
「そりゃあ魔力操作の技量を上げる修行だな」
と言いながら、ジャブを始める。あんなの当たったらひとたまりも無さそうだ。
「これって本当に精霊化を習得するのに役立つんですよね?」
「おうよ、それに組み手で接近戦も学べるし一石二鳥だろ?」
接近戦は今回の旅のメインだ。
「接近戦にも慣れて、精霊化も覚えられるから頑張ります」
「おうよ、なら私がぶん殴るから必死に魔力障壁張って拳で狙ってる場所守りな〜。慣れてきたら速度上げてくから対応していけよ?当たったら痛いからな」
なんて恐ろしい修行だろうか。きっとボコボコにされるに違いない。
「なんか不安になってきました。本当に大丈夫なんですよね?」
実力は確かと父様も言うがそれ以外が不安でしかない。
「あーん?しゃーねーな。だったら良いもん見せてやるよ!ほれっ!」
直後に師匠の腕に風が纏う。そしてその雰囲気は、見たことがあるものだった。
「まさか、精霊化!」
「ご名答、エルメティア先生ほどじゃねーけど私も教えられるってわけだ」
びっくりしたか?とニヤリと笑う。
「師匠も精霊化使えるんかーい!」
思わずホムラは声を上げるのだった。
松明(たいまつ)無双〜神から貰った転生特典は松明だけどなんか強いし魔法も万能〜 @Ritoha5680
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