第10話 投擲スキル強化

「おっ!」


街と平原を3回ほど往復して戦闘をしているとレベルアップのファンファーレとは違ったやや控えめな音が頭の中で響いた。


「やっぱりスキルレベルが上がったか。」


メニューかステータスを確認すると下級投擲術のレベルが上がっていた。


早速下級投擲術で強化できる内容を確認する。


「う~ん。」


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下級投擲術:エピック Lv.2/10(AP10)

有効アビリティ:

 ・強化:投擲攻撃

  ・投げた物を投擲攻撃として当たり判定を追加する

未取得アビリティ:

 ・強化:

  ・威力上昇Lv1(AP3)

  ・射程上昇Lv1(AP3)

  ・速度上昇Lv1(AP3)

  ・命中率上昇Lv1(AP3)

  ・投擲物回収(AP5)

  ・回収率上昇Lv1(AP5)

  ・指弾(AP5)

 ・戦技アーツ

  ・パワースロー(AP8)

  ・クイックスロー(AP8)

  ・ロングスロー(AP8)

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強化の内容を見ると最初の上昇系3つは分かり易い、対応する威力、射程、投擲物の速度、命中率がそれぞれ4%上昇する。


投擲物回収は投擲に使用したアイテムを当たったかどうかにかかわらず5%の確率でインベントリに回収する。回収率上昇はその回収率に4%+される。回収率上昇は投擲物回収を取得していないと効果がないみたいだ。


指弾は投擲スキルの対象を”投げた物”の他にであることが条件に”指で弾き飛ばした物”を追加する強化だった。もちろんそれだけではなく、投擲物の速度と威力にプラス補正が付く。


「威力が上がるなら候補の一つか。ただ指で弾けるサイズと形状ってことは豆鉄球サイズだよな。そうなるとそもそも武器としての攻撃力が期待できないよな。でも指弾ってちょっとカッコイイよな。」


ちなみに俺が指弾で真っ先にイメージするのはレールガンではなく殺し屋一家の執事とビーズを爆弾に変える令嬢だ。


次に戦技アーツだがこれは単純でパワースローは投擲の威力、クイックスローは投擲動作と投擲物の速度、ロングスローは射程を上げるスキルだった。


戦技アーツの種類が少ないのは下級投擲術だからか?それとも投擲術にはそもそも戦技アーツが少ないのか……。まぁ、これはスキルが進化か派生しないわからないな。それより今とれるアビリティを考えないとな。」


スキルレベルの上限は10。1の時点ではAPをもらえないからもらえるAPは合計90。これを余らせることなく使いきらないといけない。


「取得する順番はともかく最終的に何をどこまで取るか、だな。」


まず投擲物回収は必須だろう。これがあれば武器の消費を抑えられる。このまま豆鉄球を使い続けるなら指弾も候補だろう。指弾なら戦技アーツと違ってMP消費なしで攻撃を強化できる。


取得するなら組み合わせも考えなくてはいけないだろう。威力上昇を上げまくってパワースローで威力をさらに上乗せする脳筋プレイも面白そうである。


「ボーリング玉サイズの物を投げたら漫画みたいにぶつかった物の形に穴が開いて向こう側が見えるようになったりしてな。あとは……指弾と戦技アーツは重ねられるのか?」


これについてはどこを見ても説明がなかった。


「試してみるしかないか……。」


そうして最終的に取得計画を立てた結果はこうなった。


 ・投擲物回収(AP5)

 ・指弾(AP5)

 ・回収率上昇Lv1(AP5)

 ・回収率上昇Lv2(AP10)

 ・回収率上昇Lv3(AP15)

 ・パワースロー(AP8)

 ・クイックスロー(AP8)

 ・命中率上昇Lv1(AP3)

 ・命中率上昇Lv2(AP6)

 ・威力上昇Lv1(AP3)

 ・威力上昇Lv2(AP6)

 ・威力上昇Lv3(AP9)

 ・速度上昇Lv1(AP3)

 ・速度上昇Lv2(AP6)

 ・ロングスロー(AP8)


「これでピッタリ100だ。」


上昇系は順番が入れ替わるだろうが一応優先度順に並べてみた。本当なら遠距離メインで戦う以上射程は重要なんだろうが正直射程は重要視していない。ロングスローも初めは取るつもりはなかったが最後に8だけ余ってしまい、無駄をなくすにはとるしかなかったというだけだ。射程を重要視していないのは今のところ困っていないのが原因ではあるが近づかれる前に倒してしまえばいいという脳筋的な考え方でもある。


「STRが上がりやすいから威力は高いはずだしな。それに射程上昇を取るとうまく100に合わせられないし。ただ、魔法とか弓みたいな遠距離タイプを相手にするときには苦労するかもな。」


そう独り言ちながら優先取得候補である投擲物回収と指弾を取得した。


「これで多少は効率が上がるだろ。」


効果を確かめるため、ハーブラビットを見つけると『ストレンジアップ』を使う。


手のひらに豆鉄球を乗せるとハーブラビットに狙いを定め、デコピンで豆鉄球を打ち出した。


「ピギュッ!」


豆鉄球はハーブラビットの胴体に当たり、HPバーが3割強ほど削れた。


「おっと。」


次の玉を指弾で弾くを準備している間にハーブラビットが近づき、体当たりをしてきた。それを避け損なってもろに食らったがちょっとした衝撃とHPが1割ほど削れただけだった。


「指弾よりこっちの方が早いな。」


手にしていた豆鉄球を頭に叩きつけ、さらに4割削る。すぐに次を投げたがそれは胴体に当たった。それでも十分な威力を発揮してHPを削り切った。


「指弾の準備に手間取るな。もっとスムーズに撃てないとだめだな。」


指弾の撃ち出し方をレールガンのキャラと同じように握りこんだ親指で打ち出すように変え、反対の手には2~3発持って次の準備をしておくようにする。


「あと、HPは減らなかったけど打ち出した指に痛みと痺れがあったな。金が貯まったらそれを防ぐようなグローブが欲しいな。ただ、そんな金がいつになったら貯まるんだか……。いっそのこと自分で作った方がいいのか?」


ため息を付きながら、今のハーブラビットでクリアしたクエストの報告のために街へ向かって歩きだした。

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