第9話 ステータス割り振り

聞いたことがある訛りがいくつも混ざったようなしゃべり方についてジンに尋ねると妙な答えが返ってきた


「は?」

「これは、まぁキャラ作りっちゅうか。ほら、商人ちゅうたら関西弁やん?」

「キャラ的にそういうイメージは否定しないけど、関西弁以外も混ざってるだろ?」

「あ~、やっぱわかる?似非でも関西弁はよくわからないし、聞いたことある方言でそれっぽく喋ってたら、こんな感じに……。まっそれはええやん。こういうキャラってことで流しといて。ところでフレンド登録できる?AROご新規さんやし、何かあれば多少のサポートはするで。」

「それなら儂ともするか、武具のことで困ったら相談するといい。初めのうちはまけておいてやる。」

「あ、あぁそれは助かるが、いいのか?正直、借りを返せるのがいつになるか分からないが。」

「さっきも言うたけど、ゲームにはプレイヤーは多い方がええやん?ちょっとでも続けられるようにサポートするのも先達の務めや。」

「そういうことじゃ。いずれ鉱石や素材なんかで返してくれればいい。」

「そういうことなら、すまんが登録頼む。」




ジン、バルトスとフレンド登録を終えた俺はギルドにやってきた。


「ちょっとでも収入が増えるようにしっかりクエストを受けておかないとな。」


クエスト掲示板をチェックしてクリアできそうなものをピックアップしていく。


--------------------

 クエストタイプ:冒険者ギルドクエスト(常設)

 クエスト名:西の平原の魔物討伐

 内容:

  西の平原で任意の魔物を5体討伐

 報酬:

  100G

--------------------


--------------------

 クエストタイプ:冒険者ギルドクエスト

 クエスト名:毛皮納品

 内容:

  ハーブラビットの毛皮を5枚納品

 報酬:

  60G

--------------------


--------------------

 クエストタイプ:冒険者ギルドクエスト

 クエスト名:兎肉納品

 内容:

  ハーブラビットの肉を8個納品

 報酬:

  180G

--------------------


--------------------

 クエストタイプ:冒険者ギルドクエスト

 クエスト名:スライム核納品

 内容:

  スライムの核を5個納品

 報酬:

  30G

--------------------


--------------------

 クエストタイプ:冒険者ギルドクエスト

 クエスト名:スライム体液納品

 内容:

  スライムの体液を5本納品

 報酬:

  60G

--------------------


「失敗した。カウンターで売るより、クエストとして納品した方が報酬がいいな。こんなことなら残しておいて納品すれば……。いや、そうしたら補充できる玉の量が少なくなるな。ここは常設の討伐クエストを往復しながらこなして納品アイテムを集めるか。」


他の依頼にも目を通していく。


「他はもう少し進んだエリアのクエストだな。スライム系の納品報酬がハーブラビットに比べて安いな。やっぱり狙うならスライムよりハーブラビットか。」


前回と同じ魔物討伐クエストに加えて、ハーブラビットのドロップ品の納品2種を受けて再び西の平原に向かった。


「さてと、前回の反省を生かしてステータスを割り振っておくか。」


ここのモンスターはノンアクティブのようでこちらから攻撃しなければ何もしてこない。なのでゆっくりとステータスの調整ができる。


--------------------

 プレイヤー名:ローガン (Lv.2)

 種族:獣鬼人族

 HP:150/150

 MP:20/20

 STR:13

 VIT:10

 INT:6

 MND:6

 AGI:8

 DEX:10

 BP:10


 装備スキル(5/10)

 ・下級投擲術:エピック Lv.1/10(AP0)

 ・下級付与魔法:レア Lv.1/10(AP0)

 ・魔力強化:アンコモン Lv.1/30(AP0)

 ・下級鍛冶:アンコモン Lv.1/10(AP0)

 ・水泳:レア Lv.1/30(AP0)

--------------------


バルトスを待ってる間にジンから聞いた話ではレベルアップ時のステータスの上昇値は最初に選べる通常の種族でHP、MPの平均が30、それ以外が3だ。俺の場合HP、MPの平均は30になっているが他のステータスの上昇値の平均は3.33……。おそらくSTRに追加の成長補正がかかっているせいだろう。


ここでBPの割り振りを考える。今のところダメージを受けたことがなく、MPを使用する戦技アーツや魔法はないのでHP、MP上げる必要はない。レベルアップ時の上昇に任せればSTRも十分そうではあるが、長所を伸ばすというのも手ではある。ダメージ量が増えれば少ない球数で倒せるようになる。


ジンとバルトスの話では投擲のダメージ量にはSTRと投げた物の攻撃力、重量、対象との距離が関わってくるらしいが細かいダメージ計算式は検証しきれていないのだとか。ちなみに投擲の飛距離はSTRと重量が、命中率はDEXと対象との距離が関わってくるらしい。


割り振るステータスに戻ると投擲をメインで使うことを考えれば命中率にかかわるDEXの伸ばすのもありだ。種族特性を考えるとINTとMNDは微妙ではあるが、付与魔法を使うことを考えるとそこを上げるのもありな気がする。しかし、現状付与魔法で上げられるのは元々十分な値だと思えるSTRなのでそこまでこだわる要素ではない。


--------------------

 プレイヤー名:ローガン (Lv.2)

 種族:獣鬼人族

 HP:150/150

 MP:20/20

 SP:80/80

 STR:16

 VIT:10

 INT:6

 MND:6

 AGI:10

 DEX:15

 BP:0


 装備スキル(5/10)

 ・下級投擲術:エピック Lv.1/10(AP0)

 ・下級付与魔法:レア Lv.1/10(AP0)

 ・魔力強化:アンコモン Lv.1/30(AP0)

 ・下級鍛冶:アンコモン Lv.1/10(AP0)

 ・水泳:レア Lv.1/30(AP0)

--------------------


半分をDEX、残りをSTRとAGIに半分ずつ振り分けた。


「こんなところか……。それじゃあ行くか。」


ハーブラビットを探して草原を進むとすぐに見つかった。


「それじゃあさっそく……『ストレンジアップ』。」


豆鉄球を取り出してバフをかけるとハーブラビットに向かって全力で投げる。


「キュッ!」


こちらに背を向けていたハーブラビットの尻に豆鉄球が当たった。ハーブラビットが小さく悲鳴を上げるとHPバーが3割ほど削れる。


「もういっちょ!」


次弾を取り出して投げつけるとこちらに振り返った額に当たった。


「げっ⁉」


クリティカルが出たのか弱点部位を突いたのか先ほどよりも大きくHPバーが4割弱ほど削れた。それと同時に額が割れたのかハーブラビットの頭部が真っ赤に染まった。


それでもハーブラビットはほとんど怯むことなくこちらに向かって突進してきた。


気分の悪さを感じつつもそれを目一杯引き付け、叩きつけるように豆鉄球を投げつけてHPバーを削り切った。


「ふ~、命中率は確かに上がってるな。だが、あんな出血表現があるとはな……。」


開始前にルルネットが話した注意事項を振り返りつつ、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着ける。


気持ちが落ち着いたところで先ほどの戦闘を振り返る。ハーブラビットは回避行動をとらないから落ち着いてステータスの上昇を実感しやすい。DEXを上げた効果がはっきりと表れ、離れた場所にいたハーブラビットに2発連続でしっかり命中させることができた。さらにSTRを上げた効果で倒すのに必要な球数も減っていた。


「ドロップは皮か。使った玉が3発で15G。クエストが5体で100Gだから1体当たり20Gか。無駄なくクエストを受ければ1体当たり20Gにドロップ品の納品で稼げばなんとか地道にやっていけそうだな。」


それからハーブラビット5体討伐後ギルドに戻り、クエストを受け直しとジンのところで豆鉄球を仕入れるサイクルを繰り返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る