第6話 市場

ギルドを出て、マップで方角を確認すると噴水広場があった方が東。太い通り沿いにまだ行っていない方が西だった。そのままマップで武器屋を探すが表示される範囲には武器屋が含まれていなかった。


クエストが西の平原の魔物討伐なので通りを西へ向かいながら武器屋を探す。


少し歩くとタープと言うんだったか、屋根だけのテントが立ち並ぶ広場が右手に姿をみせた。


広場に入り、店を順番に見ていく。剣や槍、盾などの装備品を並べた店。ポーションらしき小瓶を並べた店。野菜を並べた店。指輪や腕輪等アクセサリーを並べた店。いろいろな店が出ていた。


そんな中で武器を扱っている店で扱っている投擲武器を確認していく。


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 名称:スローイングアイアンナイフ

 分類:投擲(使い捨て)

 説明:鉄製の投擲用ナイフ。

 攻撃力:20

 重量:0.5

 価格:250G

 在庫:10 

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 名称:鉄製棒手裏剣

 分類:投擲(使い捨て)

 説明:太い釘のような形状の投擲用鉄製刺突武器。

 攻撃力:20

 重量:0.5

 価格:250G

 在庫:5

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 名称:鉄製十字手裏剣

 分類:投擲(使い捨て)

 説明:十字の形をした投擲用鉄製斬撃武器。

 攻撃力:25

 重量:0.5

 価格:350G

 在庫:15

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1回使い捨ての消耗品にも関わらず最低でも200G。5個も買えば一文無しで回復薬も買えなくなる。


「何発で倒せるかわからないのに使い捨て武器だけでいきなり金を使いきるのはちょっとな……」


ブラブラと見て回っていると雑多に色々並べた店で気になるものが目に留まった。


「おっ、いろいろデカい兄ちゃん、よかったら見てってくれよ。」


その色々デカいという言い方に含みを感じるも押し殺して店に近づく。


「手に取って見ても?」


サングラスをかけた人族らしきちょっと怪しい風貌の店主に断りを入れて、気になったそれを手に取って詳細を確認する。


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 名称:豆鉄球

 分類:投擲(使い捨て)

 説明:直径1㎝の鉄の玉。投擲用打撃武器

 攻撃力:5

 重量:0.1

 価格:8G

 在庫:1000

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「攻撃力はかなり低いけど他に比べてかなり安い……。」

「その豆鉄球が気になってるのか?」

「ん、あぁ……。」

「ふむ……正直売れなくて困ってた商品だからな、ある程度まとめて買ってくれたら多少値引きするぞ。」


足元見られても困る、かといって強気に交渉するほど知識もない。どう返事したものか悩んでいると向こうから値引きの提案をしてくれた。


「兄ちゃん、始めたばかりの初心者だろ?しかも課金したのかは知らんが初期スキルをランダムにして武器がもらえなかった。それでいて見ているのは投擲武器。他の武器には目もくれない、となるとランダムで出たスキルのうちの一つは投擲スキルと。」

「何のことだ?」

「惚けても丸わかりだぞ。俺はこいつAROをそこそこ続けてるからな。ちなみに装備した武器は腰から提げたり、背負ったり、必ずどこかに身に着けることになる。だからインベントリに入ってるものは分からんが少なくとも今武器を装備していないのは丸わかりだ。武器なしの初期装備とくれば初期スキルをランダムにして武器が貰えなかったと相場は決まっている。」

「……はぁ、その通りだ。」


完全に見透かされている。諦めて相手の指摘を肯定して希望を伝えることにする。


「少し相談に乗ってくれるか?」

「聞くだけ聞いてやる。応えることができるかは別だがな。」

「ご指摘の通り投擲スキルがあるからとりあえずそれで行けるところまで行ってみたい。あとで回復薬も買いたいからとりあえず200G残して、予算800Gでこの豆鉄球を買うならどのくらい売ってもらえる?」


ポーションの定価がわからないが2割残した予算で交渉する。


「それなら40個でどうだ。1個当たりの金額は今の提示額よりかなり高くなるが代わりに600G相当のこいつをつけてやる。」


男がそういってメニューを操作して二口のポーチを取り出した。


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 名称:ソフトレザーポーチ

 分類:アクセサリ

 説明:小型消耗品に対応した2口ポーチ

 重量:0.5

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「こいつは消耗品用のカバンで装備枠の種別はアクセサリだ。」

「そんなものが必要なのか?」

「AROでは矢とか投擲武器、ポーションなんかの消耗品はこういったカバンや矢筒のアクセサリを使って持ち運ばないとすぐに使用できない。取り出しにいちいちインベントリを操作する必要があるからな。」

「なるほど。戦闘中にいちいちインベントリの操作なんかやってられないな。」

「こいつを装備するとインベントリにカバン枠ができる。そこにすぐに使用したい物をセットするとインベントリにある同じアイテムがカバンに自動で補充されるようになる。」


いわゆるショートカット枠だな。そういって男は説明を続ける。


「ただし、カバンの口より大きいものはセットできないのと自動補充されるとはいえ一度に取り出せるの量はアイテムの大きさによる。カバンがパンパンになるような量は補充されないからそこは注意しろ。それとセットできる数と種類はカバンの口数と形状による。こいつなら2種類だ。豆鉄球とポーションでちょうどいいだろ。」

「なるほど。教えてくれて助かった。」

「豆鉄球40個で320G、それに600G相当のこのカバン。920Gのところをまけて800G。それから始めたばかりなら回復薬はローポーションで十分だ。ローポーションの相場は130G。もちろん品質によって回復量が変わるからある程度上下するがな。中品質のローポーションがあるからそれを2本260G。これも一緒に買うなら200Gにまけてやる。豆鉄球とポーチとローポーションセットで1000Gだ。どうだ?」

「よし、買った。」


多少乗せられてる感がないわけではないがここまで説明して値引きまでしてくれるというなら乗らないわけにはいかないだろ。ここで断ってこれ以上にいい話がなかった時にやっぱりさっきの値段で…なんて戻ってくるわけにはいかないからな。


「毎度!本当は売買システムを使うんだが、おまけを付けたりと変則的になると売買システムは使えないからトレードシステムで取引するぞ。」


男がメニューを操作すると目の前にウィンドウが現れた。男が豆鉄球とポーチ、ポーションをセットしたことを確認してこちらも1000Gをセットして承諾を選択する。


「よし、トレード完了だ。装備するのを忘れるなよ。」

「あぁ、ありがとよ。」


こうして必要なものを揃えた俺は一文無しとなった。

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