第3話

「お姉様に魅力が無いから」「私の方が彼を満足させられる」「彼も私の方が良いって言ってる」


 極め付けは...


「伯爵より侯爵の方が上でしょ? 私よりお姉様の方が格上なんて許せないわ。私の方が相応しいんだから譲ってよ?」


 私は開いた口が塞がりませんでした...ここまで馬鹿な子だったなんて...


 この子は彼が侯爵家の三男で家を継げないから我が家に婿入りするという事を知らないのでしょうか? 彼と結婚して家を出てどうするつもりなんでしょうか? 平民になる? 伯爵夫人の座を捨てて? それとも...私を追い出して家督の座まで奪うつもりなんでしょうか...


 妹と話しても埒が明かないと判断した私は、両親に墾々と訴えました。私と違って遊び回っていた妹は、これまで家督を継ぐ為の教育も受けていないので継ぐのは無理だと言う事。それは三男である彼も同様だと言う事。あの二人に任せたら、この家は間違い無く没落すると。


 それはもう必死に訴えました。しかしその結果は...


「まあでも結局の所は本人同士で決めた事だから...」


 その瞬間、私は悟りました。あぁ、この家に私の居場所なんか最初からなかったのだと... 


 両親にとっては妹が何より大事で私の事はどうでもいいのだと...


 良く分かりました。それならそれで私にも考えがあります。


 私は復讐を決意しました。



◇◇◇



 私は侯爵令息との婚約が解消され、妹は伯爵令息との婚約を解消し、新たに侯爵令息と婚約を結びました。恥知らずにも程があります...


 私は妹の婚約者だった伯爵令息と連絡を取りました。妹の非礼をお詫びした後、あるお願いをしました。


 社交界でとある噂になっている方に紹介して頂けないかと。


 彼の家は伯爵家ですが歴史のある名家です。顔も広いです。二つ返事でOKしてくれました。同じ傷を舐め合う同士という事もあったでしょうね。


 そして私は彼にある計画を打ち明けました。



◇◇◇



 私は両親にあるお願いをしました。両親にお願いするのはこれで最後です。


「公爵家の嫡男を紹介して貰ったからお見合いをしたい。瑕疵のついた自分は社交界で既に噂になっているから、まともな縁談が来るのは恐らくこれが最後になるだろう。この縁談がダメになったら自分は修道院に入るつもりだから、その時は親子の縁を切って欲しい」


 両親は二つ返事でOKしてくれました。計画の第一段階終了です。


 次に私は妹にあるお願いをしました。


 これが計画の第二段階となります。妹は知る由もありませんが。



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