はじめてのおつかいはゾンビと一緒に?!
「なんで俺がゾンビと買い物しなくちゃんいけないだよ?!」
「…………」
って、また
でも、悠音はゾンビにしては妙に人間ぽっい所を残してるし、見た目も青白い肌の色とか謎の出血以外は普通の人間とそんなに変わらないんだよな。うっかり、人間と間違いそうになるよな。
本当に此奴どうなってるんだ?
だんだん、俺の頭の方が可笑しくなってきたのかもしれない。けど、悠音の奴全然帰ってくれそうにも無いから、しばらくの間観察して見るのもありかもしれないな……。それに、
「ねぇー、悠音! 音ゲー以外で他に何か好きなゲームとかあるの?」
「ない」
「即答かい!」
人がせっかく歩み寄ろとしているのに、本当に此奴は良い性格してやがるな……。でも、音ゲー以外に何にも興味が持てないタイプのゾンビとか、ますます面倒臭い奴だな……。
「俺こう見えてかなりのゲーム好きだよ! RPGもやってるし、アクションに音ゲーって言っても実は太鼓のタイちゃんしかやった事ないけどね」
「太鼓のタイちゃんは良いぞ! 皆でやるには持ってこいの音ゲーだし、太鼓一つで皆と心が繋がれる。皆で……」
えっ、何……? 悠音の奴またここで回想に入ろうとしてないか?
なんで、そうなるの?!
「僕が音ゲーにハマった最初のきっかけは、皆に凄くチヤホヤされたかったからだ! あの時は僅かだが音ゲー友達もいたし、彼女もいたんだった……。
忘れもしないある日の日曜日の朝だった。その日に限って土砂降りの雨が降り、突然友が僕の前から去っていた。
去って行く前に友に言われたよ、音ゲーしている
彼女に至っては、私と音ゲーどっちが大事なのかと言われ、即答で音ゲーと答えたらボコボコにされた。
あの時は、二度と立ち上がれないと思ったよ。でも、彼女は付き合う前に言ったんだ。音ゲーしてる悠音君が好きなんだって……」
「救イヨウガ無イアホデスネ」
「KAGUYA?! もうちょっと言葉をオブラートに包んでよ。確かに俺も思ったけど……。ほら、めちゃくちゃ傷付いて悠音の足が止まっちゃったよ」
って、なんで悠音の奴いきなり止まったりしたんだ? この先に何かあるのか……?
「伏せろ!」
悠音とがそう言った瞬間、物凄い速さと勢いで悠音は俺の顔面を地面に叩き付けた。
「イデッ!! 急に人の顔を地面に押し付ける奴があるか?!」
「貴様、死にたいのか! この街は小さな街だが音楽に熱い奴らが何故かどこからともなく集まるんだ。今、丁度そこでゾンビ同士でラップバトルが始まるみたいだ。あれに巻き込まれたら僕達死ぬぞ」
ゾンビ同士でラップバトル?
そんなバカな事あるかよ。それより、俺は
ズンチャ、ズンチャ…………。
ん?! 急にどこからともなく音楽が聞こえてきた。悠音が言った通り少し遠くの方で二人のゾンビが腕を組んで向かい合っていた。そして、片方のゾンビがマイクにスイッチを入れた。
「俺らはゾンビだけど、人間喰わねゾンビも喰わね。頭を撃たれりゃ死んじまう。だけど、音楽の熱い思いは誰にも負けねYO~!」
「人間同士争いがち、ゾンビ同士絆が固い、生前の記憶も持ち、世の中理性はないとか言っちゃってるけど、Soulはちゃんと今もココにあるよ、俺らのSoul音楽に注ぐよFOO~!!」
本当にゾンビがラップしてやがる?!
この街一体全体どうなってるんだよ?!
「いいか律、ここは気付かれないよう僕達はほふく前進して前に進むぞ」
「ほふく前進?! いや、そっちの方がめちゃくちゃ怪しいと思うんだけど……」
「知らないのか律! ほふく前進には未知の力が宿っていて、相手には見えなくなるという特殊能力付きなんだぞ」
「そんなの聞いた事がないけど……」
「まぁー、良いからやるぞ!」
とりあえず俺は悠音に言われるがまま
ほふく前進して進んでいるけど、納得はしていない。それに、離れた場所ではゾンビがまだラップバトルしてるし何なんだろうこの状況は……。
「着いたぞ! ここは僕も通ってる何でも屋だ。ここなら律が欲しい物は全部揃ってると思うから安心したまえ」
「えっ、てか早くないか?!」
だって俺達あのラップバトルからたったの数メートルしか進んでないからね。
「えっ?! こんなに近いならほふく前進する意味あったのか?」
「律よ……。この世に意味のない物などありはしないのだよ」
悠音の奴、もっともらしい事言ってやがってちょっとムカつくな!
だけど、彼奴が案内してくれた何でも屋というお店は小さく、見た目はボロボロでかなり年季が入っていてた。看板には何でも屋さんと書いてあるが今にも落っこちそうだ。でも、何となくだけどこのお店はどこか懐かし雰囲気を残しているそんな感じのお店だった……。
「あら、悠音ちゃんいらっしゃい」
えっ、嘘だろ?!
振り向いたあのおばあちゃんもゾンビなのかよ?! しかも、肌の色からその他まるまる悠音の時と同じだ。それに、ゾンビなのに普通の人間と変わらない生活をしてるし、というか馴染み過ぎてて違和感がない。
ん……? 今足元に猫が通ったけど、あの猫ももしかしてゾンビだったたりするの?
「おばあちゃん、こんにちは! あれ、今日おじいちゃん居ないの?」
「多分、じーさんならその辺でくたばってると思うわよ。で、悠音ちゃん今日はどうしたの?」
「この買い物リストの物はある?」
「あると思うから、適当に持っていきんしゃい。お代は悠音ちゃんの音なんとかゲーを見せてくれればいいからね……。
あれ? はて、悠音ちゃん後ろの子はどちら様かね?」
「おばあちゃんそんな事聞くなよ、照れるじゃんか! 僕達今日から……」
「もしかして、悠音ちゃんのコレかい?!」
「そうだよ!」
おばあちゃん、小指なんかを突き上げて
これじゃあまるで恋人のハンドサインじゃんか……!? ちょっと、悠音!
おばあちゃんが盛大に勘違いして、頬が赤くなちゃってるよ。頼むからコレ以上話をややこしくしないでくれ……。
「今日は祝杯だ! 好きな物持っていけ」
「ありがとう、おばあちゃん。
律、僕達が親友である事がおばあちゃんにもちゃんと伝わったみたいだよ。親友って偉大だね!」
訂正したくてもおばあちゃん宴の準備始めてて、なんかもう何も言えない雰囲気だし、俺はどうすればいいんだよ?!
とりあえず、買い物リストの物をこの店で頂いてそんで素早く帰ろう……。
俺は目にも留まらぬ速さで買い物を済ませ店を出た。おばあちゃんに勘違いさせたまま、お店を出るのは致し方ないけどココは訂正するより逃げた方がいいと思った。
「なんか、もの凄く疲れたのは俺だけかな?」
「買い物リストの物も買えたし、お家に帰ろう! で、律の家はどこなの?」
「えっ?! 悠音、まさかとは思うけど家にまで着いて来るきなの?」
「うん!」
こんなに堂々とうんと言われるとは思ってもみなかった。買い物に付き合ってくれた事に感謝してるし、久しぶりに楽しかった事も認めるけど流石に家まではちょっとなぁー。
さて、どうしようか……?
「僕、律には凄く感謝してるんだ!
こんなに長く喋った友達も始めてだし、一緒に買い物に付き合ってくれる友達も始めてなんだ。親友って良いもんだな!」
それに、自分でも可笑しけど親友ってなんだか悪くないな響だよな……。でも、いきなり親友っていうのはハードルがちょっと高いけど悠音となら友達くらいにはなれるかもしれない。
「悠音と親友は無理だけど、別に友達にならなってあげてもいいけど……」
俺は悠音にぶっきらぼうに手を差し出してみたら、悠音は満面の笑みでその手を掴んでくれた。俺達は固い握手を交わした。
俺、本当にゾンビの悠音とお友達になっちゃったみたいだ! けど、俺の始めての友達がゾンビだなんて、本当に良かったのかな?
この先、一体俺はどうなるんだろうか……?
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