人魚族の悲愛

─とある日の朝─

シャノンの寝室が勢い良く開かれる。


「おはよう!シャノンちゃん今日も朝から…??

ってまたなんかおっきくなってるよ?」

男だとバレた以上隠す必要がないのでそのまま寝てしまっているのだが、起こしに来たアリエルに朝特有の下半身を思いっきり見られてしまった。


「こここ、これはただの生理現象で…」


「あんまり良く知らないんだけど、男の子のそれって女の子が収めてあげるものだって教わったよ。

えいっ!つんつん♡つんつんっ♡」

やめろ!こんなエロ漫画の導入みたいな事をするんじゃない。


そんなこんなで男の体がバレてからアリエルはシャノンの体に興味津々で、ババアの策略か何回も際どい事をしてきたので、結構きつめに叱ったらそれ以降元気がなくなって大人しくなってしまった。




数日後、報告書もまとまってこの星滞在中の最後の夜、なんとアリエルはシャノンの寝室に訪れてきた。


「これで最後だし、一緒に寝ない?

その…事情も聞いたし変な事はしないよ。」


叱って悪い事をしたとずっと思っていたし、最後位は仲直りしたかったので、これを了承した。

実はモッズからの提案でアリエルの事は報告書には書いていない。

エクシード種だと分かると今後マトモな人生を送れないので上には報告せずに、人魚族の皆と一緒に別の星で普通の生活を送って貰う予定だ。


二人は背中合わせで寝てるとアリエルが顔を真っ赤にして囁く。

「私ね、シャノンちゃんの事大好き、愛してるの好き。

初めて出会った男の子だからじゃなくてシャノンちゃんだから好き。

だって女の子だと思ってた時からいいなって思ってたんだもん。」


厳密には女の子でもあるのだが…

シャノンは今までの人生で女の子に好かれたのは初めてだったので戸惑っていた。

実は男に好かれた事は多々あったのたが…男なんてのは見た目が良ければ女に惚れる生き物だから特別意識はした事はなかった。

「あのな、それは俺が初めて出来た同世代の友人だからだ。

俺より魅力的な人間なんてごまんといるからなそんな簡単に好きなんて言うんじゃない。それに同じ人類ではあるけど、全然違う民族だしな。

とにかく俺はやめた方がいいよ」



ムッとふくれ顔をした後人魚姫伝説って知ってる?と聞かれた。

確か昔この星に見切りを付けた一部の人魚族が地球にひっそり移住し、その者らが作った伝説だったはず。

なんでもマリーナからよくその物語を聞かされて育ったらしい。


「人魚姫って初めて見た王子様を違う種族なのに、周りに認められなくても、好きになりすぎちゃって死を選んじゃうんだよ。

私にとってシャノンちゃんは王子様と一緒なの

だから………!?」


アリエルが喋ってる途中で突然飛び起き、真剣な顔をする。



「この感じ…まさか…どうしてここに…」


直後街の方から大きな爆発音が聞こえた。

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