対船兵器

突如として大津波が発生しカクス達を飲み込む。

「やべぇ…こんな水量と激流じゃどうしようもねぇ…しかも高濃度の汚染水、俺はともかく旦那が…」

カクスは竜人の男を見つけるとその周りに炎の柱を出現させ、水流に飲まれない安全地帯を確保する。

だが次々と水流が押し寄せそのたびに蒸発させていく、それをひたすら繰り返し明らかな消耗戦になっていった。

やがて水は引き、そこには疲れ切った2人が立っていた。

「はぁ…お互いに慢心創意のようだな。

だが旦那はまだ余力があるみたいだからこっちの方が優勢だぜ」


屈んでいた竜人の男は立ち上がりアリエルにゆっくり歩み寄っていく。


すると油断していたであろう男の背後に短距離ワープで移動した影ができていた。

その瞬間、銀髪の少女が機械的なグローブで男の右腕の付け根を瞬時に破裂させ、体から腕を分離させた。


「ぐっ…誰だ?お前のような女はいなかったはずだ。」


腕を千切ったであろう銀髪の少女は跳躍して距離をとる。

シャノンは大けがをして確かに動けなかった。

ただしそれは男の方の体のみの話で、女の方の体は万全の状態であり、水流が押し寄せている間に入れ替わって反撃の準備を整えていたのだ。


敵国にはアルシェの最新技術であるグランディオ第三世代の仕様は伝わっていなかったようで竜人の男は状況を飲み込めていない。

シャノンの多機能グローブには電子レンジのように生物を内部から破壊する武装がついておりどんなに硬かろうが生物の人体など容易に破壊できる。


「残念だったな!俺の残機は一つじゃないんだよ!

そしてもう出し惜しみはしねぇ!」


シャノンは異空間から装備を展開する。

再び展開した強化外骨格は数々の砲台の付いた重武装兵器のようだった。

先程使った強化外骨格は接近戦用で、こちらは遠距離用の銃武装をわんさか積んだ超火力装備であり、実はこの武装は対船用で対人への使用は禁止されているのだが、そうも言ってられない。

これはお姫様の救出の際に念のため持って来ていたものだったので、少し展開の準備に時間がかかっていた。

シャノンは砲搭を敵に向け一斉照射するが、やはり炎の壁に阻まれる。


弾幕を防ぎながらカクスは慌てる。

「やべぇぞ旦那!あんなもん個人で操るもんじゃねぇ。

魔力が尽きかてる状態じゃ手に終えない。

しかもあのグランディオ、体をストック出来るみたいだし、武装も未知数だ。

くそっ…あのアルシェの犬さえいなければ、全て話して説得できただろうにな。」


「ああ、ここは一回逃げた方が良さそうだ。あれはまさに個人の重武装兵器だ。

仕掛けを起動し、この星から脱出するぞ。避難の為の時間稼ぎも十分だろう。

それに七騎士の力は惜しいが我々がやられてしまったら本末転倒だ。」


男が通信をするとどこからともなくまたフリューゲルの宇宙船が数機現れシャノンに砲撃するが、先程とは違い弾幕で上手く応戦していく。


その隙にカクス達はその中の1つに乗り込みとある仕掛けを起動し、逃げる準備をし始めた。

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