星の防衛行動
ガイア理論というものがある。
星自体に意思があり、自身の生存に適した環境を維持するために自己防衛をしているというもの。
たしか人族の中でも突出した個体が生まれるのは住んでいた星が侵略されていたり、自然災害等により住めなくなる等、星の危機の時によく生まれるという噂を聞いたことがある。
つまりは星が自身の滅びを察したら、それに対抗するために異世界人を召喚して取り除かせるという事だ。
その理論でいくと水を汚染されたこの星が、水を浄化できるアリエルの前世の人を召喚するというのはとても理に適っている。
「俺達異世界転生者は、こことは異なる魔法がある平行世界で死んだ後、星の意思に魂を呼びよせられた。
そして星の危機を救うという使命を課されその星の住民に転生したのさ。」
ちょっと待て、グランディオの当初の設計思想はエクシード種を人工的に作るという物だったはず。
その理論だとアルシェ研究機関は異世界転生者を作ろうとして、グランディオを生み出した事になる。
まさかの自分のルーツに驚きを隠せないと共に、上層部によって伏せられていた情報に少し不信感が生まれた。
「俺の生まれた星はお前らアルシェに見捨てられて滅亡した。
だからこうやって敵国についてお前らを滅ぼすために戦力を集めてるのさ。
大昔に起きた愚人大反乱のような物をもう一度起こすためにな」
フリューゲルの目的は人族が差別されるようになった原因、アルシェの絶対神に逆らうという愚人大反乱をもう一度起こすというものであった。
ただ大昔と違い現在反アルシェであるフリューゲルはかなりの大国となっており、もはや反乱ではなく大勢が犠牲になる大戦争になるであろう。
「そんな事聞いたらアルシェの軍人としては放っておけねぇな!」
シャノンが再び戦闘態勢になると、カクスはアリエルに問いかける。
「テティスお前俺達の仲間にならないか?
人族を虐げ、全宇宙を自分勝手にコントロールしている絶対神を一緒に倒そう」
アリエルはふっと嘲笑って返答する。
「私の現世での記憶はこの星のものしかないから、そんなだいそれた計画はわからん。
ただ同族を救おうとしてくれたシャノン殿の所属している国と同族を殺した者の所属する国、どちらにつくと思う?」
その言葉を聞いた途端、カクスと竜人の男は一斉にアリエルに向かってダッシュした。
それを見たシャノンはすぐさま間にワープし、どこからともなく巨大な強化外骨格を出現させ身に纏い二人の胴体をわし掴みにする。
「んだこのでかい機械の腕…びくともしねぇ」
グランディオは空間歪曲システムを利用した異空間を持っており、そこにはもう一つの体や武装を数多く収納しており、この強化外骨格はその一つだ。
二人は無動きが取れないようだったのだが、カクスの方の腕がどんどん熱で融解していく。
「おいおい、この素材を溶かすなんて魔法ってのはどんだけだよ!」
熱が胴体まで伝わってきそうだったので、強化外骨格を切り離しアリエルを背負って一旦逃げる。
「気をつけろ、カクスは私と同じ元素魔法の使い手で普通の異世界人の魔法とは次元が違う。
それとすまん、私の今の体は貧弱だから接近戦になるとおそらく勝てない。」
元素魔法ってなんだよ?普通の異世界人ってなんやねんと心の中で突っ込みながら走る。
ガコンと機械の腕から二人は脱出する。
「距離を取ってくれたか、都合がいい。
…聞こえるか砲撃頼む。グランディオが人魚の女を庇うように撃て。」
都を出て砂浜に逃げてきたシャノン達の上空に宇宙船が飛んでくる。
あいつらはシャノンと違い敵国に侵入してきていたので、今モッズが戦ってくれてる以外の宇宙船があって当たり前だなと考える。
短距離ワープで照準が合わないように逃げるがさすがに宇宙船相手には分が悪く、二人に砲撃に晒される。
シャノンはアリエルを抱きしめて砲撃から必死に庇った。
シールドが張ってあるのだが、さすがに宇宙船の砲撃は完全には耐えられなく、ついにはシールドが消えてもろに食らう。
「シャノンちゃん!そんな…私を庇って…」
砲撃がやんだ後、アリエルが腕の中から脱出すると、シャノンの両足は吹き飛んでなくなっていた。
「驚いた…加減を頼んだとはいえ人魚の女は無傷とは、グランディオはどれだけ丈夫なのだ。」
宇宙船が上空をホバリングしている下に先ほどの二人が訪れる。
終わりだなとカクスは言うと、アリエルは睨みながら宣告する。
「カクス…お主は我が今まで何もせずに逃げていたと思っておるのか?
長く殺しあった仲なのに侮られたものだの。」
その直後、海がかなり高くせり上がり上空にいた宇宙船毎ここら一帯を突如として大量の海水で満たす。
「ずっと魔法を海に練り込んでいたのだ…今我にできる最大の攻撃を食らえ」
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