お風呂イベント~初めての異性の体~
シャノンは地上に戻り、街の者達の話を聞いていたらすっかり日が暮れていた。
なんでもまだ半分も事情を聞けていないらしく、人魚族を移住させるにはしっかりとした報告書を作らなければならないので、あと数日は掛かりそうだった。
本当は乗ってきた宇宙船に寝泊まりするつもりであったが、都の人達が是非歓迎したいというので報告書が完成するまで王宮で寝泊まりする事になった。
その日の晩は王宮で要職の者達とアリエルも交えて晩餐会が行われた。
「シャノンちゃんこれおいしーよ、あ~ん」
これは俺に触手プレイしたタコの料理じゃなかろうか…と思いながら食べると結構おいしかった。
シャノンはこの国の要職の者達に挨拶して回ったのが、その間アリエルは馴れ馴れしく付いて回って来て、要職の者達もいつもと違う姿に苦笑いをしていた。
晩餐会が終わった後、アリエルは眠くなったのかいつの間にか自室に戻っていたようで、一人になった所にマリーナはシャノンに話し掛けてきた。
「シャノンどのに厚かましいお願いがあるのですが…
宜しければここに滞在する間、アリエルに外の世界の話を聞かせては頂けないでしょうか?
同年代で対等に接してくれたのは貴方が初めてゆえ、とても懐いてしまっているようで…」
そんな暇あるか…と思ったのだが、報告書は宇宙船にいるモッズがまとめてくれるらしく大して忙しくはなさそうなので、待ってる時間はアリエルの相手をする事を了承した。
「あの子は今まで使命のせいで遊びはおろか、誰かに甘える事さえしてこなかったせいで、年不相応に幼稚で失礼な所があるかもしれませんので、そこには目を瞑って頂けるとありがたいです。」
異世界転生者だの胡散臭い要素はあるが、それ以外は辛い境遇なのに懸命に人々を救う為に自己犠牲をしてきた優しい子だというのは理解していたので、シャノンはここにいる間だけは出来るだけ色々な事を教えてあげてようと決心した。
それから数日、昼は報告書作り、夜はアリエルの相手をする毎日を送り、その日々のおかげでアリエルはそれはもうシャノンに懐いていった。
そんなある夜マリーナはシャノンにある提案をした。
「我々人魚族の皮膚は汚れに強いので、風呂に入る習慣はないのですが、シャノン殿はそうではないでしょう。
私が趣味で作った浴場があるのですがよろしければ入浴しては如何ですか?」
確かに今までは定期的に母船の日本式風呂に入っていたのだがシャノンも軍人なので風呂に入れないなんて気にしないし、貴重な水を自分の為に無駄遣いさせるのには抵抗があったので断ろうとしたら──
「シャノンちゃん臭いから入った方がいいよ」
その瞬間空気が凍った。
「こら!こういうのはもっとそれとなくと言っただろう…」
ババアが止めを刺してきた。
シャノンは精神は男でズボラだと思っていたのだが、乙女心はしっかりあったらしく、臭いと言われ涙目になってしまった。
一応スーツには体を清潔にする機能はあったのだが、この星は湿気が凄く気付かない内にかなり汚くなっていたのだろう。
「シャノンちゃん、泣かないで。
私は気にしてなかったよ。
おばあちゃんとか、街の人達からの苦情が凄かったの。」
その言葉を聞くと、シャノンは涙を溢しながら浴場へ駆けていった。
浴場に着いたシャノンはこれでもかと体を洗った後、湯船に浸かっていた。
「ん〜ずっと女の体でいるからな。
そろそろメンテナンスしとかないと不味いな。」
もう片方の体は異空間にあり、体を入れ換えるとそこのメンテナンス機械に転送されるという仕組みである。
この都に着いてから男に戻ってなかったので、一人きりになれる風呂の間に戻る事にした。
男の体に変わると、久しぶりの風呂のせいか眠気が襲ってきてしまい、居眠りをしてしまった。
まどろみの中、誰かが湯船の中に入ってきたのを察知すると飛び起きて、その人物を見る。
このイベントはまさか…
「エヘヘ、実は私もおばあちゃんの影響でお風呂大好きなんだ。
シャノンちゃんと一緒に入りたくてこっそり来ちゃった…えっ???」
男のシャノンの全裸を見たアリエルは目を白黒させてフリーズしていた。
シャノンは咄嗟に隠し背中を向けたしばらく後、仕方なく今まで敢えて伝えてなかった自分が男の体ももっている事情を話す。
アリエルは人生で初めて男の裸を見たらしく顔を真っ赤にして顔を伏せてコクコクと聞いている。
「私ねシャノンちゃんが男の子ならいいなぁって思ってたんだけど。
本当にそうだったなんて凄く嬉しい。」
胸に手を当てながらシャノンの体をチラチラ見ながら喋る。
ずっと同性だと思ってた親友が、突然異性の体で現れたのだ、ドキドキするのは当たり前であろう。
「おっおう!せっかくだから男の体を堪能しとけ!
年頃の子が異性の体に興味津々なのは健全な証だからな。」
あくまで観察していいぞ、というつもりだったのだが、誤解させてしまったようでアリエルは予想外の行動を起こした。
ヌルン…ピトッ
なんとシャノンの体に抱き付いてきた。
もちろんお互いに全裸の状態である。
正直アリエルは非常にいい体をしており、胸もそれなりに大きく、柔らかい乳房は胸板に押し潰される。
そして人魚族の皮膚は若干湿って滑りが良いのでローションを塗っているかのような心地の良さでシャノンは放心状態になってしまった。
「話で聞いてただけだけど、男の子の体ってこんなにゴツゴツしてて固いんだね。
なんかギュッとしたくなっちゃって…変な気持ちになってきちゃった…」
見るからに興奮しているようで、力強く抱きしめられ体を擦り付けられて、シャノンもまずい気持ちになってくる。
アリエルはおとなしい性格だが、異性に接しない禁欲人生を送ってきたので、ふとしたきっかけで人魚族の本能が出て来てしまったようであった。
湧き上がる欲求を我慢してアリエルに言い聞かせる。
「あ…あのな、こういう一時の感情に流されるのは良くないんだ。
それに俺が任務中に現地民の女の子に手を出すと軍法会議にかけられちまう…」
アリエルは息を切らしながら耳元で囁く。
「いきなりこういうのは良くないって分かってるの。
でもね抑えられないの…どこまでならセーフなの?」
この子は何を言っているんだ?
───カラコロドッシャーン
突然背後から大きな音がしてそちらの方を向くと、マリーナがスッ転んでいた。
「孫を追いかけてたらまさかの展開で見守ってしまいました。
いやはや是非とも孫娘の初体験をいい思い出にしてあげてください。
アリエルにはしっかりと性教育はしているので安心を…」
ドジッコババアがとんでもない事を言ってきた。
忘れていたが人魚族は性に関して奔放な種族である。
「このまま人魚族が移住したとしてもその子は今生存している年上の男と子作りする羽目になるでしょう。
この子の事を可哀そうと思っているのなら優しく手解きして上げてください。」
いや分かるよ、絶滅を回避する為に、純粋でかわいい孫娘をおっさん達に捧げないといけないから、せめて最初位は同年代の俺みたいなイケメンがいいって考え。
だが原住民の少女に手を出したら部隊にまで迷惑が掛かる。
「すまん、朝まで寝ててくれ。」
シャノンはグローブを転送して、電気を纏わせながらアリエルの首を触ると、スッと気絶した。
気絶した体を抱きかかえて風呂場を後にしたシャノンは背後から変な悪寒を感じた。
「私は諦めませんぞ…」
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