TS宇宙人

グランディオとは人類最強といわれる種族の名である。

ただし、普通の種族ではなくアルシェの遺伝子技術を結集して作った改造人間、生物兵器と呼ばれる事もある人工的に生み出された存在だ。


この宇宙中には様々な生物種族が存在し、共存繁栄している。

その中でも人間種は貧弱な部類になるが、突然変異で脅威的な特殊能力を得るエクシード個体というものがある。

そこに目を着けたアルシェ軍の研究機関は人工的に突然変異体を生み出し、特殊部隊を作ろうと試みた。

しかしながら最先端科学をもってしても解明出来ない部分も多く、本来の設計思想とは異なってしまったが、生物としての身体能力を極限まで高める事に成功した…その結果がシャノン達、現在のグランディオである。


生み出された後もアップデートされ続け、その中でも特に異質なのが男女二つの体を持つのが最新の第三世代だ。

それまでは有り余る力のせいで肉体に掛かる負荷が高い為、持久力がなく体を使いすぎると前線に立てなくなるという大きなデメリットがあった。

それを解消する為に編み出されのが精神共有システムという技術である。

これは培養時に男女別の双子にし、脳波を完全に同一化するように調整する。

成長と共に双子の自我は完全に一つになり得た経験や学んだ事は共有され各々の脳に記憶されるが、同時に二つの体を動かすのは不可能になりどちらか片方は眠る形になる。

精神共有システムを利用し、任意で体を入れ替えられる転送技術用いて体の負担減らすローテーションを可能にしたのがシャノンの第三世代というわけだ。



「その…男の方の体は色々と無茶しちゃって今メンテナンス中だから女の方の体でいるんだよ。

そもそもここは混浴だから俺は何も悪い事してないぞ。」


銀髪のボーイッシュな美少女が全裸で脱衣場で正座させられていた。

向いている先には金髪の少女がラフな格好で仁王立ちをしている。

端から見たら少女が少女に風呂で裸を見た事を咎めているなんとも理不尽な光景だった。


「大体よ、裸見られた位でそんな怒るのおかしいだろ。

そりぁ綺麗な物見ちまったけどさ、命の恩人に対してこれはないんじゃない?

俺なんか生まれる前から研究室の奴らに体弄くられんだぞ。」


アメリアは見下しながら喋る。

「大体あなたね、女の子でもある癖に何で女体に興奮するのよ。

レズなの?…っていうのもおかしいわね」


するとシャノンは呆れたような顔をし、フッと息を吐いた。

「分かるか?自分で持っていても他人が持っている物の方が魅力的に感じてしまう心理。

それにエロい体というのは芸術的でありそれを追い求めるのは性別は関係ないと思うんだ」


なんかほざいているが、どうやらこのシャノンという子は女の体を持ってるだけのスケベな男の子らしい。



突然ガラガラと扉が開き誰かが入ってくる。


「おめーら何してるんだぁ?ておー嬢ちゃんが元気そうで良かったわ。

大蛇の腹から救出した時にケガさせちまったか心配だったからなぁ。」

そこにいたのは体長2メートル程もある二足歩行している巨大な蜘蛛だった。


「ぎゃーーーデカい虫ぃぃ⁉」


アメリアは叫んでひっくり返った。


「おいおい今日日昆虫族なんて珍しくないだろ。

あ、そうか嬢ちゃんは人族しかいない星の箱入り娘だったっけな。

昆虫族初見のリアクション学んでおくぜ。」


するとそそくさと服を脱ぎ始めグロテスクな体を露わにしていく。


「おいモッズ、ここは女湯だぞ。

てか俺がすっぽんぽんなのにリアクションなしか?」


さっき混浴と言ったのは嘘だと白状したシャノン。

こちらの方を見ずに巨蜘蛛は答える。


「この船には今俺ら他にはテナ中佐位しかいねぇから男湯に湯を張るのもったいねぇんだよ。

人族の雌の裸になんか興味ねぇし、どうせこの間みたいにお前がスケベな事して怒られてるんだろ。」


この蜘蛛はなんだろう…見た目はあれなのになんかダンディな雰囲気を感じる。

というかこの少年前科ありなのか。


モッズという蜘蛛が浴場に入っていった後、アメリアは色々とありすぎて疲れてしまったので、正座する少女を放置しさっさと寝室へ眠りにいくことにした。

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