第23話 ハンバーグのギルティ
「蒼ー、なんで高校に入ってから今まで実力隠してたの?」
ヒナが蒼の弁当箱から卵焼きを箸で奪いながら訪ねる。
「おい、何ナチュラルに人の卵焼きくすねてんだよ。」
「話をすり替えないでよ。」
「てめえのせいだよな!?」
蒼は水筒を手に取ってお茶を飲み、なんとか落ち着きを取り戻す。
「んー、そんな大した理由じゃないんだけどな。」
「「「うんうん。」」」
ヒナだけでなく魁人にエインまでも箸を一度おいて蒼の話に食いついてきた。
「部活動勧誘が面倒だったから、なんだよ。」
「あー、そういえば蒼は帰宅部だもんな。」
「はい!蒼様は帰宅部なんです!」
エインさん、多分魁人は俺をほめてないから..そんな自慢げに言わないでほしい。
「そ、一人暮らしだと家事やらなんやらで部活動どころじゃないんだよ。だから勧誘されても断るしかないからさ、それが少し面倒でな。」
「ま、もうこれで今までの努力は水の泡だけどな。」
「てめえのせいでな!?」
魁人は蒼の弁当からハンバーグをつまむ。
こいつらまじで一回しばくか。
「ん!このハンバーグうまいな!蒼が作ったのか?」
魁人がわざとらしく声を上げる。
しまった!あのハンバーグがエインの手作りだと周囲に知られれば俺は...!!!
「あ、あーー。それな、昨日から俺が仕込んで」
「いえ、そのハンバーグは私が蒼様のために作ったものです。」
俺の必死の弁明を遮ってエインが機嫌を悪くしながら魁人にそう告げた。
「そ、それはすまん。」
魁人がエインに気おされ頭を下げた。
ふっ、馬鹿め。自ら地雷を踏んだな。
「聞いたか?」
「ああ、手作りハンバーグだと...」
「スコップの準備はまだか?」
「いっそ学校のプールに沈めるとかはどうだ?」
「露払いは任せろ。」
また俺の暗殺計画が出来上がってしまった。
「は、ハンバーグはまだもう一個あるし...うまっ!このハンバーグめっちゃうまいな!」
蒼は一度周囲の殺気を無視してエインのご機嫌取りに専念する。
「本当ですか??うれしいです!」
エインは顔を赤くして自分の分のハンバーグを食べている。
「「「「「ギルティ。」」」」」
どうやら俺の有罪判決が決まってしまったらしい。
蒼はどうやって逃げ切るか考えながら愛のこもった弁当を平らげた。
勘違いご主人様は今日もロボットメイドのお茶を飲む 坂ノ清 @kaizyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。勘違いご主人様は今日もロボットメイドのお茶を飲むの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます