第11話 高校入学試験

 津田は、Y高校を受験することになった。

 入学試験の日の朝、津田は早いめに高校に向かった。十三間道路を花川から東の方に歩いて行く。十三駅の方向である。三輪車を買ってもらった日のことを思い出す。

 校門に到着した。校門を入ると南向きに道がある。両側にレッドロビンが植えられている。真っすぐ進むと、左側に小さな公園がある。その南にテニスコートがある。右側にプールがあるようだ。左前方にグランドが見えた。まだ、受験生の姿はないようだ。ちょっと進んだ右側に建物がある。後に知ったが、図書館だ。

 グランドの奥の方に鉄棒が見えた。津田は、そちらに向かった。カバンを置いて、鉄棒にぶら下がってけんすいをした。空が晴れている。寒いけれど、いい天気だ。

数人が北門からグランドに向かって来るのが見えた。そのなかに白井君の姿がある。白井君とは幼稚園がいっしょだった。彼の家は歌島中学と御幣島幼稚園の間にある。八丁温泉から幼稚園の方にちょっと行ったところだ。家に呼ばれて行ったことがある。お母さんが親切に話してくれた。彼はイケメンで、お母さんは美人だ。

 入学試験は、受験番号順に決められた教室で受験する。津田が受験票を出して受験番号の95番を白井君に見せた。彼も受験票を取り出して示した。102番である。

北門から大量の生徒たちが入ってきた。新Y中学の生徒たちだろう。彼らは、中学の先生らしい人の指示でグランドに整列し始めた。川西路子の姿が見えた。

 津田も受験番号の位置に整列した。白井君とは別の教室だ。


 合格発表の日、午前10時から発表なので、津田は、早いめに行った。

体育館の壁に合格者の受験番号を書いた紙が貼り出され始めた。95番があった。津田は、ホッとした。そうだ、白井君はどうだったんだろう。102番だったな、と思って見たが、102番がない。

 稲田がやって来た。掲示表を見た稲田の表情から、稲田は合格したんだと思った。

掲示板を見ている津田に、「何で見てるんや」と稲田が聞いた。「白井君の番号がないみたいなんや」という津田の返事に、「生まれつき才能がないということや」と稲田は反応した。

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