第5話 ドブメン
長屋の津田の家の西隣は佐藤である。夫婦と夫の母親の敬子と津田より二歳年下の息子の四人家族である。敬子は、島根県の出身らしい。長屋にすんでる人らと話し方が違う。亭主は、北新地の散髪屋で働いていたと言っているが、今は、体調が悪くなって仕事をしていないらしい。それで、女房の光子が働いている。歌島のほうにあるガラス工場で工員の作業をしているらしい。歌島には、いろんな工場があると聞いている。
光子は、小学生の津田に、「あんた、ほんま、おもろい顔やな。ほんまもんのドブメンやな」と言う。
「私が働いてる会社の工場長さんが、ごっついイケメンやねん。その息子さんもイケメンやねん。あんたと同じ学年らしいわ。勉強もすごいようできるらしいわ。あんたでは、勝負にならへんわな」と言う。
工場長は、鼻川神社のそばの国道を西に超えたあたりに住んでいるらしいから、息子は津田らとは違う小学校に行っている。津田は工場長にもイケメン息子にも出会っていない。
光子の息子は佐藤和夫である。光子は、自分の息子のことは、どう思っているんだろうか。息子はイケメンでない。
光子は、53歳のとき、中津の大きな病院で、大腸ガンで死んだと伝え聞いた。Y高校は、以前は、この病院の場所にあったそうである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます