魚心あれば水心、ということか。
「
時代劇では、悪徳商人の
「これはほんの手土産にございます。どうぞ、お収めください」
と悪徳商人が
「なるほど、魚心あれば水心、ということか」
と、悪代官や悪奉行がほくそ笑んで言います。
現代でこんなことをやってしまうと捕まってしまいますが、それでも贈収賄が後を絶たないことがわかるのは、ちょいちょいそうした事件が報道されるからです。ということは、贈収賄が行われている現場では、
「魚心あれば水心だな」
てなやりとりがなされている可能性があるということですが、そこまで詳細に報じてくれる報道機関を、手前は寡聞にして存じません。
せめて、バラエティ番組の再現シーンかなにかでこの台詞を使ってもらうと、手前どもといたしましては、この上なくうれしく思う次第でございます。
ただ、まあ、この台詞、意味から考えますと、贈収賄の場面に限って使用されるべき言葉ではなく、現代の若い男女の馴れ初めに使われてもおかしくはありません。
たとえば、毎日飲みに来てくれてちょっと気になる若い男に、
「サービスしますね」
などと周囲に聞こえないように言って一つおまけの小鉢をこっそり置いた店の看板娘に、
「なるほど、魚心あれば水心、ということか…… お水、お代わり」
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