痛くもない腹を探られとうはない。
「やましいことがないのに、疑われたりあれこれ
という意味を例えた言葉が、
「痛くもない腹を探られる」
です。
本来なら、あらぬ疑いをかけられたときに、
「痛くもない腹を探られていやな思いをした」
などと使いますが、時代劇では、そんな使われ方はしません。
「よいか、明日、殿の前でうっかりしたことを口にするでないぞ。何を聞かれても知らぬ存ぜぬで通せ。痛くもない腹を探られとうはないからな……」
と、やはり悪家老や悪代官、悪奉行が配下の者に釘を刺す場面で使われます。
痛くもない腹なら、つまり、悪いことをしていないなら、探られることを前提に配下に釘を刺す必要はありません。
下手な川柳にするなら、
「痛くない腹探られたくない悪家老」
てなところでしょうか。
でも、不思議と
会社や組織で、
「明日、外部監査が入るけど、痛くもない腹を探られたくないから、みんな打ち合わせ通りに…… ね!」
などと言ってしまうと、
「ほんとうは、お腹が痛いんじゃないの?」
と、覚られてしまいます。
それでも、一緒に酒を飲んでいるときに奥さんからかかってきた電話に出た友人から、
「女房に痛くもない腹を探られたくないから、お前、電話に出てくれ」
と頼まれて、
「今、久しぶりに一緒に酒を飲んでいますから、大丈夫ですよ」
と答えると、
「久しぶり? 昨日も一緒じゃなかったんですか?」
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