第一部 エピローグ
彼女と出会って変わったことはたくさんある。勝手に変わったこともあるし、自発的に変えようとしたこともある。一気に全部はできなかったけれど、私は前を見て過ごすことを心がけるようにもなった。
正面を向くというのは恐ろしく勇気がいる。悪いものを見ることが増えたし、つまずくことも増えたように思える。それでも、世界ががらっと変わったことに違いはなかった。
私は小学五年生で、彼女は小学六年生。
だから、彼女は当然、先に卒業してしまった。中学校の方向が小学校と一緒だったから、通学路では今まで通り話しながら登校することができた。でも学校の中で、つい彼女の姿を探してしまう癖が抜けなくて、どこかぽっかりと空いた穴を、顔を上げて前を向いて歩きながら、何かで埋められないかと探す日々が続いた。
誰かが私にとって、欠けられない存在になってしまうのは、怖い。姉が気高く去っていったように、また私の前から消えてしまうような気がしたから。そして、あれほど与えてくれていた無償らしい愛情を、もう二度とは得られないのかもと沈んでしまうから。
私はどこまで結城比奈に頼っていいのだろう。弟子、彼女は私を弟子にしてあげると言った。そういう言葉を、いつまで覚えていていいのだろう。
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