第40話 スタンピード溢れ出る魔物

 祐樹はいつも通り学校に通い何気ない日常を送っていたが、3時限目の授業を受けている最中に問題が発生した。スマホから揺れてもいないのに地震速報のアラートが教室中に鳴り響くのと同時に街中でサイレンが鳴り響いた。あまりの異常事態に生徒も先生も自分のスマホを確認する。


『緊急事態発生、一部のダンジョンから魔物が外に飛び出し目に付く物全てを襲っています。近隣にお住いの方は速やかに建物内に入り出入り口をしっかり施錠してください。なお、Cランク以上の冒険者の方は事態の鎮静化に動いてください。これは強制依頼です。Cランク以下でレベル20を超える冒険者の方は任意となりますが可能な限り魔物の討伐に当たってください』


「怖えよ、外で何が起きているんだよ」「ここが避難所に指定されているけど本当に大丈夫なの?」「魔物なんかを防げるのか?」

 速報を確認したクラスメイトはパニックに陥っていた。さらに、祐樹達の教室以外からもザワザワと声が聞こえて来た。自然災害とは違い新たな自然災害なのだ。それに奴らは人を見つけ次第殺しにかかってくると来た。怖いに決まっている。


「お前たち落ち着つくんだ。ここに居れば安心だ」

 先生は生徒を落ち着かせて混乱を収拾しようとしていたが、恐怖がすぐそこまで迫っていると知った生徒たちは止まらなかった。


『これは行くべきだな』

 自分には回復魔法もあり、レベルも30を超えている。敵の数が多くても関係ない。少しで多くの人を助けることができる力を祐樹は持っているのだから。気持ちが固まった祐樹が理沙の方を見ると理沙も戦いに行くつもりの様だった。


「先生、俺レベル20以上なので戦いに行ってきます!」「私も行ってきます!」


「ちょ、お前ら……」

 二人は手を上げて行くことを伝えてから先生の静止を無視して教室を飛び出した。


「近くにあるダンジョンから魔物が現れたみたいで四ツ谷駅周辺を荒らしまわっているみたいだから取り敢えず行ってみよ」


「逃げ遅れた人がいるかもしれないしとにかく急ぎましょ。預けていた予備の杖と皮鎧を出して」

 祐樹はマジックバックを携帯していたので中から装備アイテムを取り出し、身にまとうと二人は急いで四ツ谷駅に向かった。

 駅に近づいて来ると車が爆発しているのかバーン!と激しい音や火災による煙、逃げ遅れ怪我をしている人の悲鳴で酷いありさまだった。


「これは……」「想像以上ね……」

 今まで見たことのない悲惨さに言葉を失った。魔物に食べられた人の死体が転がっていたり、何十体も倒されているがまだ100体近くの魔物が暴れまくっていた。


「取り敢えず、俺がキングと一緒に敵を倒すから援護をお願い。護衛にカッパーゴーレムを置いておくから」


「分かったわ。援護は任せて」

 祐樹はメラメライオンとカッパーゴーレムを召喚してキングと一緒に複数のオークに囲まれて苦戦している冒険者の助太刀に入る。


「助太刀します!」

 祐樹は冒険者の背後から槍を突き刺そうとしているオークの大きな背中に剣をぶっ刺す。キングは炎爪で敵を切り裂く。


「ありがとうございます。っておおー!」

 冒険者のお兄さんはメラメライオンを見て驚いていた。


「あっ、こいつは俺がテイムしている魔物なので大丈夫ですよ」


「そうだったのか……」


「ここからは俺もこいつと一緒に戦うので頑張りましょう」

 頼もしい味方の登場で数が多く士気が落ちかけていた戦場に希望が芽生えた。


「みんな、頼もしい味方が来てくれたぞ。敵を全滅させるぞ!」


「「「「「「おー!」」」」」」


 周囲にいた冒険者たちの勢いが増し次々と魔物が葬られていった。


「おりゃー」

 ステータスに大きな差があるため魔物相手に苦戦することなく倒し続けながら負傷者に回復魔法をかけて回った。


「大丈夫ですか?今回復魔法をかけますね」

『ヒール』

 淡い光が瓦礫でザックリと裂けている怪我を癒し回復する。


「ありがとうございます」

 祐樹が回復魔法をかけると魔法の凄さに皆驚いた顔をしていた。回復魔法を沢山かけたおかげでスキルレベルも上がった。40分後全ての敵を倒し終えることが出来きた。


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