第27話 昇格試験を受けに行く

 今日は昇格試験を受けるため2人は冒険者ギルドに来ていた。最近は、素材集めといった仕事の依頼が張り付けられた掲示板が誕生したことで朝から賑わいを見せていた。


「ますますファンタジーぽくなってきたね」


「本当ね。スライムゼリー10個で1500円だって。買取所だと1個100円だからほんの少しだけど高く買い取ってくれるのね。それにしてもスライムゼリーなんて何に使うんだろ?」


「ネット情報だけど食材として需要があるらしいよ。普通のゼリーより味の乗りが良くて美味しくなるみたい」


「へぇ~そんなに美味しいんだ。今度食べてみようかしら」

 他にも魔法系スキルの書が一枚1億円などといったとてつもない金額のものから回復ポーションの原料となるヒール草30束で9000円などいろいろな依頼があってもっと見たいと思ったが今日の目的ではないのでこの場を離れた。その足で受付に向かう。


「すいません。昇格試験を受けに来たんですけど」


「昇格試験ですね。少々お待ちください。一番早い時間ですと11時からの試験に空きがございますがいかがなさいますか?」


「じゃあ、11時でお願いします」


「承知いたしました。11時から2名様ですね。では、受付をいたしますので冒険者カードをお出しください。ありがとうございました。如月様と吉田様ですね。試験会場は一階の奥にございますので試験官が来るまでそこでお待ちください」

 受付のお姉さんに冒険者カードと受験番号を手渡された祐樹たちは試験会場へとむかった。試験会場は広大な土地を使って作られた大きなドームだった。傍にはまったりと寛げるようにソファーや漫画や自販機が置かれた休憩所があり、受験者が50人ぐらいいた。


「試験が始まるまで30分あるし漫画でも読もっかな。理沙はどうする?」


「ちょうど読みたいと思っていた漫画もあるし私も読むつもりよ」


 2人はソファーに座って漫画を読んでいると放送が鳴った。

『只今より昇格試験を開始いたします。受験番号1番から5番は1番コート、……56番から60番は12番コートへ……移動して下さい』

 自分たちの受験番号は59と60だったので12番コートへ移動するとガタイの良いおじさんが待っていた。


「よし、全員いるな。私がは君たちの試験官を務める沢渡です。よろしくお願いします。では、早速ですが試験のルールについて説明させてもらいます。試験はこのコートの中で1対1で模擬戦を行います。武器はこちらで用意した木製の物を使ってもらいます。スキルは使っても問題ありませんが殺傷行為は禁じられておりますのでご注意ください。この試験はあくまで実力を測る試験ですので勝敗は関係ありません。説明は以上ですが何か質問はございますか?」

 質問もなく試験が始まった。


「56番猪俣さん。コートの中にお入りください。戦闘開始の合図は私がするので、自由に攻撃してきてください」


「はい」

 始めは40代ぐらいの中肉中背の普通のおじさんだった。


「始めてください」

 試験が開始したと同時におじさんは一直線に走り真正面から木刀を振り下ろしたが、防がれてしまった。間髪入れずに木刀を振るうが全て防がれてしまう。


「くっ、このままでは……」

 おじさんは一本も入らない状況に焦っている様子だった隙に試験官が動いた。手の甲に木刀を撃ち込んだ。おじさんは痛みで木刀を落としてしまった。


「試験終了だ。次、57番コートの中へ」

 おじさんは悔しそうにしながらこちらに戻ってきて、大学生ぐらいのお兄ちゃんがコートに入った。だが、57番と58番の人も試験官に一発も入れられず試合が終わった。


「あの試験官の人、かなり強そうだね」


「私たちよりレベルも上って感じがするわ。鑑定してみたらどう?」


「人のステータスを許可なく見るのは失礼だから見ない様にしてるんだ」

 そして祐樹の番が回ってきたのでコートに移動する。


「頑張って!」

 理沙に応援された祐樹はやる気に満ち溢れていた。


「これはカッコ悪い姿を見せないようにしないとな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ダンドリを読んでいただきありがとうございます。

 作者のモチベーションにつながるので、面白いと感じてくださいましたら☆☆☆評価とブックマークと♡を押していただけると嬉しいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る