第28話 昇格試験を受ける
祐樹は木刀を手にコートへ向かう。
「えーっと、59番の如月さんですね。戦闘開始の合図は私がするので、自由に攻撃してきてください」
「分かりました」
お互いに距離をとり木刀を構えたところで沢渡さんが試合開始の合図を出す。
「始めてください」
開始の合図と共に祐樹は攻撃を仕掛ける。正面から木刀を振り下ろすが、防がれてしまった。これには内心驚いたこの人俺より強いな。祐樹は作業ゲーを繰り返し魔物を狩り続けた結果レベルは26まで上がりかなり強い方だと思っていたからだ。
名前 如月 祐樹
種族 人間
レベル 26
HP 158
MP 126
物攻 147
魔攻 114
防御 135
スキル
棍棒術Lv.1 剣術Lv.3 鑑定Lv.2 計算Lv.5 回復魔法Lv.1
ユニークスキル
魔物収集家Lv.2
逆に試験官の沢渡も驚いていた。木刀で感じた祐樹の力が今まで試験を受けた人よりも強かったからだ。
『むっ、これは剣術系のスキルレベルが高いか、レベルが高いかのどちらかだと思うが、手を抜いていたら私の方が負けてしまうかもしれんな。てっきり学生がカップルで遊びに来ていると思っていたが読みが外れたな』
「59番なかなかやりますね。少し本気を出しますよ」
すると試験官は先よりも力強い反撃をしてきた。
『うっ、ヤバ……。この人まだ実力を隠してたのかよ。しょうがないアイツを呼び出すか』
祐樹は防ぐのがやっとであったが、一体だけ魔物を召喚し2人で攻めることにした。あれだけ隠していたのだが、テイムのスキルが見つかったとネットに書かれていたので、表向きはテイムと偽装することで使えるようになったのだ。
大きな違い①テイムのスキルレベルが1ならゴブリンなどのF級の魔石を体内に持つ魔物だけだが、魔物収集家にランクは関係ない。
②テイムはゲットしたい魔物を瀕死状態にしてからスキルを発動し一定確率で中身にすることができる。魔物収集家は倒せばいいだけ。成功率100%。
③仲間にした魔物は両方とも異空間に仕舞っておけるが、テイムはご飯を上げたり世話をしないといけない。一方、魔物収集家は召喚を解除すれば体力が回復するし世話も必要ない。
④テイムで仲間にした魔物は倒されると死ぬが、魔物収集家で呼び出した魔物は48時間が経過すれば再召喚可能。
そう言った違いから魔物収集家はかなりのチートスキルといえるだろう。
祐樹は試験官から距離をとってスキルを操作してストーンゴーレムを呼び出す。すると試験官は魔物が現れたことに驚いた。
「ほう、君はテイムのスキル持ちだったのか。ストーンゴーレムを倒せるなんてなかなかの実力を持っているようですね。君の実力は分かったことだし試験は終了します。これ以上戦っても次の試験に差し支えますから」
E級のストーンゴーレムを倒すほどの実力があるのだ、そんな力を持つ者は合格に決まっている。
「次、60番コートの中へ」
吉田さんは杖を選んでコートの中へ入る。
「あなたは魔法使いですか?」
「はい、そうです」
「そうですか。なら私は取りに行かないといけない物があるので少しお待ちください」
そう言って試験官は奥へと引っ込んだ。しばらくすると銀色の大きな盾を持ってきた。
「お待たせいたしました。これはミスリルで作られた盾で頑丈かつ軽いうえに魔法も防げる物なので気にせず魔法を撃ってください」
「本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。もし何かっても回復魔法を使える方が待機しているので問題ありません。さぁ、早速試験を始めましょう。いつでも撃って来てください」
『凍てつく氷よ、我が敵に届けアイスボール』
試験官は氷の球を盾で受け止めた。
「もう大丈夫ですよ。今の攻撃でかなりの実力を持っていることが分かりましたから。それでは皆さん後程試験結果を発表いたしますのでもう少々お待ちください」
『それにしてもあの二人は化けるかもしれないな。テイムは最近見つかったスキルではあるが、ストーンゴーレムを程よく弱らせるなんて普通の学生ができるはずがない。それにあの60番の魔法の威力はけた外れだ。これはギルドマスターにお伝えしておいた方がいいかもしれませんね』
沢渡はあの二人の強さには訳があるなと確信めいたものがあった。
試験の結果は無事合格だった。2人はFからEに昇格することが出来た。
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ダンドリを読んでいただきありがとうございます。
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