第20話
「クトル先生、人魚は神の恩恵で人として生まれ変わったのですからその言い方は・・・。」
「おっとこれは失礼。君たちも忘れてください。あの騒動を知っている身としては未だに認識を改められていないのです。私も未熟ですね。」
髪の恩恵って?クトル先生は鱗だよ?《髪じゃなくて神です。勇者が色に溺れて魔物と乱交して子供をたくさん作ったなんて周知出来ませんから、そのように広めたのです。》
後クトル先生ってどれだけ長生きなの?《今500歳ですね。人魚騒動が400年前ですから生き証人ですね。》魚人の寿命長すぎぃ!!《1000年は有りますからねぇ。海の賢者と呼ばれています。》
「あの・・・・先生は・・・・人・・・・なんですか?」
アイシスがおいらの後ろからクトル先生に話し掛けてる。《かなり勇気を振り絞ったみたいですね。》
「えぇ歴とした人ですよ。私達の種族は海辺に住んでいる事が多いですから、内陸まで来て教師をしているなんて珍しいかも知れませんね。ですがこの世界には他にももっと色々な見た目の人が生きています。これからそれを一緒に勉強して行きましょうね。」
人かどうか聞かれたら普通怒ると思うんだけど、この人めっちゃええ人やー。《さすがギフトに<聖人>が付いているだけは有りますね。》職業間違えてないこの人?
「ごめんなさい。失礼な質問をしました。」
「気にしなくて良いのですよ。君達が知らないことを教えるために教師は居るのですから。」
話が一段落した所で何か忘れてるような?《マスター達の訓練はどうなるのでしょうね?》あっそれだ!!
「クトル先生、この子達が収納穴を使った魔法の練習をしようとしているのですが、まだ1年ですし危険だと判断して止めようと思っていたのですよ。」
アレク先生が状況の説明をしてくれました。ってか止めるつもりだったのね。《やはり生徒の安全が最優先ですから。それに氷魔法の練習なら的を使えば出来ますからね。》
「アレク先生、それでしたら私がこの子達の監督をしましょうか?生徒が自主的に考え実行しようとする事はとても良い事です。そこから学び今後に生かせるように導くのが私たちの仕事ですよ。」
「良いのですか?なにか用事があってこちらに来られたのでは?」
「大丈夫です。担当する生徒が訓練所を使うと聞き様子を見にきただけですから。」
という事でクトル先生がおいらたちの監督をしてくれる事が決まりました。《良かったですね。》これで夏場でも収納した氷が使いたい放題だ!!《最低ですねマスター。》
「アイシスさんは初級の魔法から始めてくださいね。ジークさんは穴の維持が難しくなったらすぐにアイシスさんに伝えて魔法を中止してもらう事、余裕を持って行いましょう。良いですか二人共?」
「「はい!!」」
「よろしい。」(´―`*)ウンウン
じゃあ早速収納穴展開!!《手のひらに収納穴展開します。》ヴォン!!
「さぁアイシス魔法を撃つんだ!!おいらが力尽きる前に!!」
「うん!<冷却>!!」
《マスターの収納は制限ありませんから力尽きる事もありませんよね?》いやぁだってずっと平気な顔して穴の展開出来てたら怪しいじゃん?だからちょっと苦戦してるフリしなきゃね。《フリと言うよりは3流役者の演技と言う感じでしたが?》ちょっと気持ちを入れ過ぎました!!テヘ(・ω<)
アイシスの魔法が順調においらの収納の中に溜まっております。《そろそろアイシスの方が体内魔素を使い切りそうですね。》しまった!!先に限界が来てもうだめだぁ~をやろうと思ってたのに!!
「ア・・アイシス・・・おいらもうダメ・・・・限界。」
《等と嘘の証言をしており捜査本部は余罪を追及、詐欺師であるとして実刑判決が出るもようです。》嘘ついたけども!!実刑判決って何されるのおいら!!《(ФωФ)フフフ・・・》怖いからやめて!!
「こ・・・こっちも、もう・・・・限界・・・・・。」
「ふむ?これは・・・・。」
アイシスが魔法を止めるのと同時においら達はその場にへたり込んだ。《マスターは演技ですけどね。》
「ジークさん?あなた全く疲れていないのでは?」
「えっ!!?」
クトル先生なぜわくぁったぁー!!《なぜ舌を巻いたのですか?》気分!!
「いやクトル先生、おいらもう無理。全然動けない。」
「それにしては汗もかいていませんし息も上がっていません。それとスキルを使った際に消費される魔素量に変化が見られませんが?」
「うぇっ!!」
スキルって使ったら魔素使うの?《以前魔法の勉強で魔法を使うのに魔素を使用すると話をしたのを覚えていますか?魔法について焦点を当てて解説しましたのであのような説明になりましたがスキル発動時にも少しだけ体内の魔素が消費されるのです。》ってことは?
《制限なしのマスターの収納は魔素を使うという制限まで解除していますので、全くと言っていいほど魔素の変動はありません。私も失念していましたね。》もろバレしたやん!!あきまへん!!おいらの平穏な生活が!!《マスターまた変な口調になっていますよ。》
「え~っとこれはですね・・・・(;’∀’)」
《ここは私が言うとおりに発言してください。》了解!!
「《おいらの<収納>スキルは先祖返りで、原始の勇者が使っていた収納みたいなのです。だから魔素は使用していなくて精神力を消耗するのです。だから息も上がらないし汗もかかない。だけど精神的にもう限界なのです。》です。」
「ほほぅ、それは興味深い。」
ナビさん、原始の勇者って?《一番初めにこの世界に転生してきた人間の事です。その頃は神もまだ転生規定等を作っておらず、調子に乗ってあらゆるスキルを与えました。もちろん制限なしで。そうした所見事に増長してしまい挙句の果てには世界の覇者を名乗って世界征服に乗り出しました。まぁその結果、連合軍に追い詰められて処刑されましたがね。さすがに不死のスキルまでは与えられていなかったようです。》力を持ちすぎるのも考えもんだねぇ。
「それはどのような状態なのですか?私もそのような収納がある事を知らないものでして。ぜひ話を伺いたいのですが?」
「あ~、今とてもだるいです。体のっていうよりなんもやる気が起きないと言ったほうがいい感じです。喋るのも億劫な感じで・・・・。」
「その割には良くお話してくれている様ですが・・・・。そうですか。では後日詳しいお話を聞いてもよろしいですか?今日はもう訓練所の閉館時間になってしまいそうですし。」
「わかりました。」
なんとか誤魔化せたみたいだけど後日またこの話をするのかぁ。《それまでに良い言い訳を考えておかなければいけませんね。》ナビさん任せた!!《ではマスターが原始の勇者の生まれ変わりで世界を救う為に転生してきた事にして、あの悪逆非道は精神を乗っ取られたことにしましょう。そしてその精神を乗っ取った邪神を討伐する為に旅に出ると。》うぉぉぉぉい!!そんなことしたらおいら目立っちゃう!!国に召し抱えられちゃう!!そんな面倒くさい事やだ!!一緒に考えるから!!《では落ち着いてから考えましょう。》
「今日見た感じでは危険性も無いようですし、同じ訓練であれば二人で行っても良いでしょう。私の方からアレク先生と担任の先生・・・・確かメイサ先生でしたね、お二人に話を通しておきますので安心してください。しかし初級より上の魔法を使う際は訓練所の監督官に指示を聞いてから行うようにしてくださいね。それでは二人共気を付けてお帰り下さい。」
「「クトル先生ありがとうございました。」」
クトル先生にお礼を言ってからアレク先生にもお礼を言ってアイシスとおいらは訓練所を後にするのだった。
「あれで隠し通せていると思っているのですかね?まぁしかし秘密にしたいのであれば私達はそれを支えるまで。良からぬものに知られないようにせねば。」
そうつぶやいたクトル先生は急いでアレク先生とメイサ先生、学園長に話をしに行くのだった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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☆と♥️頂きました!!急に増えてビックリ!!ありがとうございます!!
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