第18話

「では授業を始めます。今日は地理の授業からです。この世界がどんな形をしているか知っている人はいますか?」


だぁ~れも手を挙げない。おいらは知ってるけどねぇ~。《世界地図がありますからね。いつでも世界の姿は確認できます。》まぁ実際の形と教科書に書いてある形が違いすぎてだれも信じないだろうけどね。


「だれもわかりませんか?最初の授業ですから緊張しているのでしょうね。次からは回答する人を指名することにしましょう。この世界には世界の端がありそこから先は何も無い、つまり板の様な物だと言われています。有名な冒険者、アダムス・ヴィード伯爵が世界の端に向けて船で冒険に出て確認したのが100年前ですね。」


とまぁこの国ではこう教えておりますけれども。実際は正六面体、つまりはサイコロの形なんだなぁこれが。《世界の端から先に行っても重力の関係で落ちません。90度下に曲がるだけですね。それもかなり怖いでしょうけども。アダムスさんは先を確認しようとしましたが同行者が止めた為に確認できず。このような形で伝わっていますね。》まさか真下に世界が広がってるとは思わないだろうしねぇ。《飛行技術が発達すれば違うのでしょうけれど、まぁ世界を横断する程となるとあと500年ほど先ですかね。》


「では次にダイムさん、この世界に大陸はいくつあると言われていますか?」

「えっと・・・・・3つです。たぶん・・・・。」

「正解です。自信を持って答えていいですよ。間違えたところはきちんと教えますので。」

「はい。」


大陸って5つあるよね?《この国が確認している大陸が3つだけという話ですね。この世界の一面の広さがマスターの前世の地球と同じ広さですから。今の航行技術では隅々まで調査するわけにも行きませんし。》かなり広いよねぇ。《3大陸を見つけたのも世界の端を見に行った際の偶然ですからね。ところでマスター?答えなくていいのですか?》めんどくさいからやだ。


「では次にそれぞれの大陸の名前を答えられる人。」

「はいっ!!」

「はいグレイスさん。どうぞ。」

「ゲ・アンペ大陸とア・ゲンペ大陸とナ・ゲンペ大陸です!!」

「おしいですね、ア・ゲンぺ大陸とナ・ゲンペ大陸は正解ですがもう一つはア・ペンゲ大陸です。覚えました?」

「はいっ!!」

「元気があってよろしい。」


名前ややこしいんだよなぁ。《昔神が統治していた時代の言葉を使っていますから。ア・ゲンペは生誕、ナ・ゲンペが騒乱、ア・ペンゲが滅亡という意味ですね。まぁ大陸の名前の由来なんて今の人は忘れてしまっていますが。》


あと二つはなんだっけ?《あとの二つはナ・ペンゲ(停戦)とガ・ゲンペ(繁栄)ですね。当時のその土地を表す言葉が使われています。》


「それではこの3大陸の中でこのアルデニア王国がある大陸はどこでしょう?わかる人。」


《そろそろマスターも答えておいた方が良いのでは?》ん~そうだね。


「はいっ!!」

「ジークさんどうぞ。」

「ア・ゲンペ大陸です!!」

「正解です。」


アルデニア公国はア・ゲンペ大陸の東、海を領地に持つ結構広い国なのだ。《ナ・ゲンペ大陸のデース帝国と国交を結んでいますね。大陸の形はアフリカ大陸に近いです。東側の出っ張った部分全てが王国と言えばわかりやすいですかね?》気になる人は自分で調べよう!<メメタァ!!>


「そのア・ペンゲ大陸ですがわがアルデニア王国のほかに中央の魔導国家エリシオン西側の商業国家ドーアンという二つの大国があります。南には魔物が沸きだす魔の領域が広がっています。大陸の南の端には連合国家サーダンがありこちらとは船を使って交易していますね。」


おいらが収納しちゃった魔王が居たのがこの魔の領域。今はもう魔王さんがいないので魔物が沸きだす頻度は少しずつ自然な状態に戻ってきているけど、1000年も居たから魔素が汚染されて完全に元通りになるのはだいぶ先みたい。《暴土龍さんが頑張っていますね。まぁ魔王の影響を消すには100年ほど掛かりますが。》気の長い話だなぁ。《魔王が居た時よりましなのですよ?》そうなの?


《龍が魔王を排除しようとするという話はしたと思いますが、魔の領域担当が暴土龍だったのです。ですが魔王と暴土龍の力が拮抗していて膠着状態でした。そんな中魔王が倒せない暴土龍を都合の良いサンドバックに見立ててスパーリングを始めてしまいまして。魔王の相手もしながら浄化もするなんて至難の業ですからね。やっと魔王が居なくなって浄化に専念しています。》<筋肉を愛する者>が付いてた魔王さんだからねぇ・・・・・。それなら他の龍に協力してもらえば良かったのでは?


《世界各地で似たような問題は起こっていますからね。簡単に協力を求める事は出来ません。この前の麒麟も暴土龍が浄化の為すぐに動く事が出来ず対応を思案していると、偶然近くを通りかかった暴風龍が居たのでお願いしたという経緯があります。何もなければ100年間顔を合わせないとかざらですからね。》なんとまぁ、神様ももっと龍を増やせばいいのに(´・ω・`)


《龍を増やす為には莫大な力が必要なのですよ。それに規格外な魔王さえいなければ余裕を持って回せていますからね。増やす意味も無いのでしょう。》まるでブラック企業だぁ(;’∀’)


「それではナ・ゲンペ大陸の地理について勉強しましょう。それではアイシスさんナ・ゲンペ大陸はどのような形ですか?」

「はい!!中央にとても大きな湖がある丸い大陸です!!国は西にデース帝国と東にマース共和国の2か国です!!」

「正解です。よく勉強していますね。」

「(∀`*ゞ)エヘヘ」


褒められたアイシスが照れている。《目線がいやらしいですロリマス。》邪な感情は一切ないよ!?てかロリマスって略すな!!《ではやはりロリコンマスターと。》いい加減その呼び方やめよう!!お・な・い・ど・し!!


「アイシスさんが答えた通り丸い大陸の中央にとても大きな湖ナ・グアダがあります。それを挟んで西側にデース帝国、東側にマース共和国がありこの2国はナ・グアダを巡って度々争っています。」


《ナ・ゲンペ大陸の水源はこのナ・グアダです。その為この湖を制したほうがナ・ゲンペ大陸を制することになります。》そりゃ両国ともに必死になるよねぇ~。


《過去には毒を入れて相手国を滅ぼそうとした人も居ましたが、毒は大陸全土に広がり甚大な被害をもたらしました。その為湖に異物を入れる事は禁忌とされ禁忌を犯した人物は出身地関係なく処刑です。》おぉこわ((((;゚Д゚))))


「デース帝国とマース共和国の国境には魔の山が広がっていてここから麓に魔物が湧き出しています。両国の争いはこの魔の山で行われており、狩った魔物の数と大きさで勝負している<魔物殲滅競技>は有名ですね。ですがこの競技が行われている理由は知っていますか?」


いまさらだけどこれ5歳児にやる授業じゃなくね?《そんなことありませんよ?この世界の基礎知識に関する事ですから十分年齢は満たしています。それにこの世界の人の成長は速いですから。この世界の5歳と言えばマスターの前世の10歳と変わらないくらいかと。》めちゃくちゃ成長早いんだよねぇこの世界・・・・。


「ジークさん、何か知っているような顔ですね?恥ずかしがらないでいいですよ。では答えてください。」


訳知り顔でうんうんうなずいていたら先生に当てられちまったい!!《さっマスター早く答えてください。(#^^#)ワクワク》ナビさんおいらが答えられなくて恥ずかしい思いをするのわかってて言ってるでしょ!!顔に書いてあるもん!!でも残念!!これはかぁちゃんに聞いたことあるもんねぇ(^m^)ニシシ


「はい!!湖に異物を入れる事が禁忌になったから湖の上で戦争出来なくなったからです!!」

「残念違います。」

「えーーー!!」


違うの!?かぁちゃんからそう聞いてたのに!?《プププ、残念でしたマスター。》ちきしょう!!ハズカチィ(/ω\*)


「ジークさんが答えた理由は市民に説明するために広められたモノで後に違うと両国政府が発表しています。本当の理由は魔の山をほったらかしにして戦争をしていた為、両国で魔物暴走<スタンピード>が発生してしまい被害が拡大したからですね。ですので魔の山に対処するのと同時にどちらが優れているのか優劣を決める為にこの競技が始まりました。」


あー、魔物の脅威がある世界で魔物ほったらかして戦争してたらそら漁夫の利狙われますわな。《当時の被害は甚大で両国総人口の2分の1が失われました。その時だけは協力して魔物を魔の山まで押し返して生活圏を守ったそうです。》総人口の2分の1てそれ滅亡しかかってるやん・・・・、なにやってんだか。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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