第5話

あっという間に門まで走ってきたのはスキンヘッドで白いひげを生やしたお爺ちゃん、体はすごい引き締まっててかぁちゃんといい勝負しそう。


「っ!!貴様がジークか?」


めっちゃ睨まれてます。まぁかぁちゃんの眼光よりはましだな。かぁちゃんに睨まれたら穴という穴から汁垂れ流しながら気絶するから。


「おいらがジークです。あんただれ?」

「おぉそうかそうかお爺ちゃんだよ~。」


急に態度変わりすぎ!!目じりとかめっちゃ下がってますやん!!顔面崩壊レベルでふにゃふにゃになっとる!!


「会長、まずは身元確認をしないと。そうじゃないとあなたこの街に1000人は孫がいることになりますよ。」


あっ!!いつの間にか爺ちゃんの横にメイド服を着た女の人が立ってる!!


「ジーク様でよろしかったでしょうか?私はエリア、会長の秘書をしています。まずこちらに手を乗せていただけませんか?」


そう言って差し出されたのは黒い板。これで何調べんのさ?


「こちらはジーク様と会長のロイド様の血縁関係を判定する魔道具です。少しチクッとしますが害はありません。」


そう言ってるけどナビさんどうよ?《問題ありませんDNA鑑定のようなものです。》なるほど。


「ほいっとこれでいいですか?」

「動かないでくださいね」


黒い板に手を置いたらエリアさんがスイッチを入れた。板からヴーーーーーンって音がした後指先にちょこっと針で刺されたような感触があった。


「はいありがとうございます。ロイド様もお手を。」

「ほいほいわかっとるよ。」


爺ちゃんも同じように手を置いてスイッチON!!終わった後、板の真ん中が光りだして『血縁:孫』と表示された。


「あら本当にお孫さんでしたか。私はてっきりまた会長の財産を狙った詐欺かと思っていたのですが。」

「えっ!!そんなに多かったの?」

「それはもうかなりの数。」


うーん、爺ちゃんこんな店を持ってるくらいだからかなり儲けてるんだなぁ。そりゃ騙そうとする人も多いか。んで爺ちゃんの方を見ると号泣していた。


「あぁぁぁぁぁ、やっと、やっと孫に会えたんじゃーーーー。もう帰さん、ここでずっと暮らしてもらう。そして夢にまで見た孫をかまいまくるんじゃーーーー!!」


うん引きました。いやずっとは住まないからね?あと過剰に構われるとだれでもうっとうしくなって逃げると思うよ。うん。


「爺ちゃん落ち着いて、なんか学校に行くんでしょ?あとずっとは住まないからね?」

「ガーンッ」


あっずっと住まないって所でショックを受けたのか口で言ってる。


「孫に爺ちゃんと言われるのがこんなにうれしいなんてわし幸せ。」


あっ違った。別の理由だった。おーい爺ちゃん早く帰ってこーい。あとその効果音は違うと思う。《これはしばらく帰って来そうにありませんね。》


スパーン!!


あっメイドさんがハリセンみたいなの出して爺ちゃんの頭ひっぱたいた。《見事な技です。》


「会長話が進みませんしいつまでも門で話をしていてはジーク様に悪いです。まずはお部屋に案内してから話しましょう。」

「おぉそうじゃったそうじゃった。長旅で疲れておるだろう、さぁさぁ部屋に案内しよう。クリス達はどこじゃ?」


あぁやっぱりかぁちゃん達も来ると思ってたのね。《3人で来なさいと匂わせる文面でしたからね。》


「とうちゃん達は来ないって、手紙だけ預かってきた。はいこれ。」

「ぬぅー、やっぱりそうか・・・・。仕方ない手紙は部屋で読ませてもらうからの。」


そう言って爺ちゃんとエリアさんが歩き始めたので付いて行く。商会の中はかなり広くて見えていたのは一部だけだったみたい。見えてる屋敷では経理や商談なんかを主に行っていて裏手にさらにでかい倉庫まであったよ。んで倉庫のさらに奥に倉庫よりでかい爺ちゃんの家があった。


「さぁここが今日からジークが生活する場所じゃ。」


案内された場所はドータイのおいらの家がすっぽり入りそうな大きな部屋だった。いやびっくりだよ爺ちゃん!!こんな大きな部屋いらないよ!!


「会長・・・・・。」

「どうじゃ!!すごいじゃろう!!もともと使われていない部屋をぶち抜いてジークの為に作った部屋じゃ!!3人で使うと思ったから広く作ったがまぁ大丈夫じゃろ。調度品は用意しておらんがな、絶対壊すし。」


テーブルにソファ、ベットが3つにトイレや炊事場まで付いてる。あっ風呂まである!!


「爺ちゃんやりすぎ(;´∀`)」

「何を言う!!せっかく孫が来るんじゃからこれくらいやって当然じゃ!!」


おぉう、爺馬鹿ここに誕生せり。《ユニークなお爺様ですね。》せやね。


「それじゃ早速手紙を読ませてもらおうかの。その間はエリア、ジークをもてなしてあげなさい」

「わかりました。それではジーク様、この建物を案内させて「駄目じゃ」えっ?」


どしたの爺ちゃん?待ってる間案内くらい良いじゃないのよ?


「ジークはわしが案内したいんじゃ~、だから案内はダメ。この部屋でもてなしなさい。わしの目線から外すのもダメ。」


爺ちゃんまさかおいらと離れたくないから却下したのか。いや爺馬鹿すぎるでしょう!!《これはもう病気では?》


「会長、お孫さんに引かれてますよ?」

「いいんじゃもーん、今まで会えなかった分甘やかすんじゃもーん。じゃから命令!!この部屋で退屈しないようにもてなせ!!」


急に子供みたいになっちゃったよ爺ちゃん。《マスターそっくりですね。》おいらここまでわがままじゃないやい!!


「(´Д`)ハァ…。全くこの爺馬鹿は・・・・・。」ボソッ

「なんじゃって?」「何でもないですよ気のせいです。」


エリアさんうちの爺ちゃんが苦労掛けますね(´・ω・`)《血筋ですかね?》

おいらが周りに迷惑かけてるって?HAHAHAそんなわけない!!《無自覚とは恐ろしいですね。(´Д`)ハァ…》


「ねぇねぇ、エリアさん。かぁちゃん達が王都に来たら面倒事になるって言ってたけど何かあったん?」


ここは空気を呼んで聞きたかった事を聞いちゃおう!!そうしよう!!《突然聞きにくいことを聞くとは自由ですね。》そうでしょう(∀`*ゞ)エヘヘ《褒めていません》


「あ~それはですね。あなたのお父様、クリス様にはもともと婚約者の方がおられたのですが相手側の都合で破談になりましてね。その後にサニア様と結婚したんですが納得されておらず取られたと大騒ぎを起こしたのです。」


はい察しました!!まだその人がとうちゃんの事を狙ってるんですねわかります!!


「その騒ぎを収めたのもあなたのお母様、サリア様でして。騒ぎ立てていた貴族家に単身殴り込みをかけて騒いでいた令嬢とそれを諫めなかった当主をボコボコにして館の前に吊るし上げ、警備兵にトラウマを植え付けて帰っていらっしゃいました。」


かぁちゃんやりすぎ・・・・っていや待って!!貴族家に殴り込みの時点で問題になるでしょ!!なんで捕まってないのあの人!!《逮捕しに来た衛兵も倒して逃げたのでは?》あのかぁちゃんならありうる・・・・。(;’∀’)


「あぁ捕まっていない理由ですか?通報を受けた衛兵が屋敷に踏み込んだら玄関にこれでもかと不正の証拠が積み上がってましてね。この討ち入りは国の強制捜査ってことになりました。」


詳しく聞くと、もともと国の諜報機関が長年かけて不正を調べていた。なかなか集まらなかった証拠がこの事件で全て集まり貴族家10家が貴族籍を剥奪。宰相家までこの事件に噛んでおり、他国と通じて国の転覆まで視野に入れていたそうだ。


しかしその計画は頓挫、着服された税や貴重品等が全て国に返還され、騒ぎを起こしていた国がかぁちゃんにビビって賠償金を出して国は大きく助かった。


国王はこの功績でかぁちゃんに貴族籍を与えようとしたが他の貴族が反対、恩赦による今回の件の罰を帳消しにするだけにされた。さらにはかぁちゃん達の命まで狙われるようになった為、王都から出て辺境のドータイに移り住んだんだって。


かぁちゃんこの国救ってますやん・・・・・英雄ですやん・・・・・もしかしたらおいら貴族になってたの?《似合いませんね。》うるさいやい!!てかナビさん知ってたでしょ!!《まぁ経歴を鑑定で調べればわかりますから。》


「まぁその騒いでいた貴族令嬢はその不正に関与していないという事で賠償金を払って釈放。母方の貴族が寄り親になり、その元で生活しているんですけどね。」


うん!!来なくて正解!!絶対面倒くさいことになる奴!!絶対あきらめてないよその令嬢!!寄り親の貴族家も止めるだろうけどそれで止まるならこんな大事にはならないよね。 (;´∀`)


《補足いたしますと、その令嬢の貴族家が潰れた理由が違法娼館の運営が理由でして。その令嬢は自分の気に入った男性を存在しない借金等悪質な手段を使って奴隷に落とし囲い込んで遊び倒していました。クリスさんもそこに入れられそうになった所をサニアさんに助けられたという事です。その後、婚約者を男娼にしようとする所とは付き合えないと婚約破棄をいたしました。》がっつりその令嬢関与してるじゃないか!?《実行は全て父親名義でしたので証拠不十分となりました。》


《現在王都に来ているかもしれないという情報が入り、その令嬢はクリスさんの捜索をしているみたいですよ?あのゴリラ女から取り戻して幸せにするとかなんとか?子供がいるとは思っていないようです。想像もしていないですね。》もう情報掴んでるの!?おぉこわ!! ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


あれ?でもそんな人ならドータイに居るの知ってそうだけど?なんで知らないの?

《周りが徹底的に情報を排除しています。寄り親の方も騒ぎになるのは分かり切っているので密偵を使って隠蔽していますね。ですが身近に来るとなると話が違うようで、場所がわかっていないとばったり出会ってしまう危険がありますから。それを回避するために調べているようです。もちろん見つけても令嬢には伝えないように当主命令が出ています。》

このまま知られないことを祈ろう。 (;一一)


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


はじめて星を頂きました!!yudaさんありがとう!!これからも頑張ります!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る