第41話探し出す

 ガタンゴトンと長いこと電車に揺られながらも、なんとか七瀬さんが教えてくれた県に到着する。グーグルマップではここから徒歩20分の位置に七瀬さんの家があるはず。僕は緊張してばくばくとうるさい心臓をなんとか落ち着かせるように深呼吸してから、ゆっくりと七瀬さんの家へと向かう。

 あの時とは体格も顔も違う。もしかしたら七瀬さんに拒絶されるかも。せめてコンタクトぐらいしてくれば良かったかなと、今更手遅れな後悔をする。

 もし歓迎されなかったらどうしよう。そんな不安に何度も押し潰されそうになり、何回か足が止まりながらも僕は無事ななせさんの家に到着する。

 七瀬と書かれたポストを二度見してから、ゆっくりと黒いインターホンをポチッと押す。それから10秒ぐらい待ってみるが、うんともすんとも聞こえない。もしかして押せてなかったのかな? そう思い、僕はもう一度インターホンを鳴らす。

 しかし、一向に返事はない。部屋の明かりもついてないし、もしかしたら家にいないのかな? ジロジロと不審者のように七瀬さんの家を見ていると、近くを通りかかったおばさんから奇異の眼差しを向けられてしまう。

 どうしよう、ここで待ってようかな。でも何だか落ち着かないし……。気がつけば僕の足は、目的もないまま何処かへ導かれるようにして進んでいった。きっと会える。僕の大して当たらない予感がそう告げている。だから僕は、目的地のない迷路に迷い込んでしまった気分で歩き出す。

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