第9話友達

 お城を目指している道中、特に話すこともないので現実世界の峻輝のことについて訪ねてみた。

「峻輝って現実世界でどんな人なの?」

 唐突にそんな抽象的なことを聞かれた峻輝は。

「どんなか……。普通に友達のいなくて暗い高校生だけど」と答える。

 そういえば、さっきもクラスの九割の記憶が無くなったとか言ってたっけ。

「なんで友達いないの?」

 純粋に疑問に思ったことを質問すると、峻輝は難しい顔になる。

「なんでって言われても……。逆に七瀬さんはなんで友達を作るの?」

 逆に質問を返され、頭を悩ませる。

「んー、楽しいからかな? うまくいえないけど……」

 友達を作るのに明確な理由なんてないと思う。楽しいからとか癒されるからとか、そんな抽象的で曖昧な理由しか答えられない。峻輝は結構リアリストっぽいところがあるから、こんな答えじゃ納得しないかなと思ったのだけれど。

「確かにそうだね」

 普通に納得してくれた。その返答が意外すぎて、思わず「え?」と口に出してしまう。

「峻輝にもちゃんと人の心があったんだね」

「七瀬さんは僕をなんだと思ってたの……?」

「いやー、なんか峻輝って論理的というか合理主義者っぽいというか、だから友達も作らないのかなーとか思ってて」

「僕だってちゃんと感情はあるよ。別に友達だって、作りたくないわけじゃないんだよ」

「じゃあなんで作らないの?」

 聞かれて、峻輝は少し顔を曇らせる。

「だってさ、どうせ友達なんか作っても、いつかわ別れなくちゃいけないじゃん? 

 どうせ失うなら、最初っから作らないほうがいいかなって……」

 陰鬱な表情。峻輝にはそういう過去があるのかもしれない。もしかしたらそれがトラウマになっているとか? 詳しくはわからないけど、あまり追求はしないほうがいいかもしれない。下手な地雷を踏みそう……。

 私は言葉を選ぶように、慎重に話す。

「峻輝は考えすぎなんじゃない? 一期一会。出会いあれば別れもあるんだし、そんな先のことなんか考えないで、今を楽しんじゃおうよ!」

 元気付けるつもりで言ったのだが峻輝には届かなかったようで、暗い表情のまま。

「僕は、七瀬さんみたいな考え方ができないから……」

 さらに表情を暗くして、とぼとぼと先を歩いて行った。もしかしたら逆効果だったのかも……。私って空気読めないのかなー? そんなことないと思うんだけど……。今までの自分を客観的に見つめ直しつつも、私は先を歩いて行った峻輝の後を駆け足で追う。
























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