第11話レリルール学園案内③

「カナリア。彼らがそうか?」

「うん、先代“アルカヌム”ルクル•アニムスの親族だよ」

「そうか」


 緋色のみつあみに編んでる男性の問いにカナリアが頷く。


「カナリア様、王都で会った時から僕達がルクル•アニムスの身内だとご存知だったんですか?」

「うん。アニムス家の瑠璃色の髪と瞳は有名だし、王都…というより人混みに慣れてない感じだったし、あとディアルナ家の『奇跡の双子』が迎えに来てたようだから」

「フィリアに会ったのか⁉︎」

「噴水広場で見かけただけだよ」


 真っ赤なラピドゥスがカナリアの両肩を掴んで揺さぶる。


「コル•リディ•ヴァンデルン•レリルール第二王子。

 …よろしくアウラ」


 今まで黙っていたコルと名乗った銀髪のツンツン跳ねてる男性が、いつの間にかアウラに近づいて自己紹介をしていた。予想外の行動にアウラは驚いて後ずさった。

 ルシオラはアウラを庇うように前に出る。


「アウラは人見知りなので…」

(ビックリした。ストール被っているから大丈夫だよね?)

「……大丈夫だよ」

「え?」

「そんなに警戒しなくても、アウラ達を引き離す気はないから」

(な…なんだろう。コル様の瞳なんでも見通してるみたい?)


 コルがアウラとルシオラに手を差し出す。

 握手だと理解したアウラとルシオラはおずおずしながらコルと握手をした。


「ごほんっ。あー、コル俺のセリフを奪うな」

「早いもの勝ち」

「普段はなにも喋らないのに、こーゆう時だけ饒舌じょうぜつか」


 まだ名乗ってない緋色の男性が自分の頭をかいた。


「はじめて俺は第一王子のフレイム•ミラージュ•ヴァンデルン•レリルール。

 18歳だ。身内を亡くしたばかりで、慣れない生活することになって大変だと思うが、困ったことがあったら言ってくれ力になる」


 腹違いの兄弟の中でフレイムが1番キラキラと輝いている。

 全員の自己紹介が終わってやっと、自分達も挨拶してないと気付いたアウラとルシオラは。


「は、はじめてアウラと」

「ルシオラ•アニムスです」


 深々とお辞儀をした。


「アウラと…ラピドゥス様?」

「………なにかありましたか?」


 今度はフィリアとフィリオがやって来た。

 大広間だが、計8人が集合…いや、続々と生徒達が大広間にやって来て、男女別れて巨大な鏡の中へ溶けるように消えて行く。


「「あれって??」」

「ああ!だからここで迷っていたんでね。

 左側の鏡は女子寮、右側の鏡は男子寮に繋がってます。

 男子が女子寮に入ろうとしても、まじないで弾かれるので安心して下さいね」


 カナリアの説明に。


((ああ。だから王子全員集合したのかー…))


 そう納得してると、ラピドゥスがフィリアに駆け寄る。


「フィリア。今日はもう授業終わったのか?」

「はい。ラピドゥス様もですか?」

「ああ」


 ラピドゥスは頬を赤く染めて、犬の耳とぐるんぐるん回っている尻尾が見えた。


「カナリアが噴水広場で見かけたって言っていたが、何かあったのか?」

「私達がアウラとルシオラのルームメイトになるので、ロイザ学園長から案内を頼まれたんです」

「そうなのか」


(あれ?)


 フィリアの頬も少し桜色に染まっている。


(この2人って?)

「……婚約者同士」


 コルは後ろからぬっとそう言った。


「きゃ!」

「わぁ!」

「コル、驚かせるな」


 コルの出現にアウラとルシオラが驚いた姿を見てフレイムが頭を抱える。


「フィリア。を頼む」


 ラピドゥスはフィリアの耳元でフィリアしか聞こえないように囁いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る