デートに遅刻するということはつまり

バブみ道日丿宮組

お題:失敗の会話 制限時間:15分

デートに遅刻するということはつまり

「それは十割あなたが悪い……と思う」

「そうなのかな? だって、向こうが遅刻するからいけないわけで、僕が悪いってことはないと思う」

 少年はそういってスマホのチャット画面を少女に見せる。そこには長文に及ぶ恨み言が書かれてた。

「こんな怒らなくてもいいじゃない。むしろ怒りたいのは僕だよ」

「確かにデートの待ち合わせに一時間遅れたのはいけないことーー」

 ともごもご。

「でしょ?」

「それでもチャットを見なかったあなたもいけない」

 今はチャットは既読になってるが、デート中にスマホを少年は開いていない。ただぼけぇと駅前にある時計塔を見てただけだ。そして一時間待ち、帰った。

 もしこれがきちんとスマホを見ていれば、連絡手段を活用してれば、こんな面倒くさい状況にはなってなかっただろう。

「約束してるんだから、普通くるって認識で間違いないと思うんだけどなぁ」

「万が一交通事故とか、突然の発熱もあるでしょう?」

「それはそうだけど……」

 納得しかねると、少年の表情は語る。

「失敗は誰にもあると思うし、というか厄介ごとを持ち込まないでって言ったよね?」

「友だちだし、多少は聞いてくれてもいいじゃない」

 はぁと深い溜息が少女の口から広がってく。

「大体さ……私はあの娘とも友だちなわけでね?」

 うんと相槌。

「彼女から相談されないってことはないんだよ」

 そういって彼女は自分のスマホを机の上に置く。

 そこに表示されてるのは、通話中という文字。そしてその相手は少年の恋人。

「えっ……いつから?」

「うーん、教室に呼び出された時からかな」

 全部じゃん!?と驚きの声。

「彼女がさ、仲直りしたいのにいっこうに構ってくれないからどうしたらいいって聞かれたんだ。それで私がこうして真ん中に立ってみればいけるかもしれないってね」

「……そうか、聞かれたんだ」

「そう聞かれたの。あなたのどうでもいいような愚痴から、彼女が遅れてこなかったこととか全部ぜんぶ、聞かれてた」

 苦虫を噛み潰したような顔を少年はすると、

「ーーごめん」

 とはっきりと口にして通話が閉じられた。

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デートに遅刻するということはつまり バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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