クルシマス

バブみ道日丿宮組

お題:安い恋 制限時間:15分

クルシマス

 クリスマスの思い出として、

「100000円になります」

 レンタル彼女を自分用に買ってみた。これで寂しいクルシマスとか言わないですむ。

 まぁ……親と一緒に御飯食べることを考えれば、独り身よりは若干マシかもしれないぐらいだし、親に何を言われるかと思うと心もとない。

「それでは当日に配送いたしますので、タブレットにご住所を記入してください」

 はいとペンを渡され、すらすらと情報を書いてく。

 品物名は生物でお願いしよう。家族になるべく気付かれないようにしないといけないしな。

「これって結構な大きさになるんですよね?」

 と気になったことを聞いてみる。実用性があるのは知ってるが、種類は知らなかった。

「小さい個体もありますよ。ちょうどお客さんの半分ぐらいですかね」

 なるほど。

「じゃぁなるべく小さいのをお願いしますね」

「こちらサンプル画像です」

 手渡されたチラシを見ると、ちんまい少女が写ってた。成人してる女性には見えない。よくて大学生ぐらいだろうか? まぁ……顔と身長で歳は断定できないが一応、

「これ成人してるんですか?」

 声にしてみる。

「そうですよ。そういう個体です」

「他の人には人間に見えるんじゃないですか?」

 精巧さを謳うならば、必然的にそうなる。

「新しい家族になる型ですからね、そう見えることもありますよ。でも、安心してください。お客さんが満足できるようにこのこたちは働きますから」

 それなら、母さんの家事負担も減るかもしれない。

「わかりました。じゃぁそれでお願いします」

「はい、素敵なクリスマスを過ごしてくださいね」

 クリスマス以降も一緒にいる相棒になるのだから、大切にしたい。

 あと……名前を考えてあげないといけないな。

 人工生命体だからといって粗末な対応はいけない。親には恋人として紹介しよう。俺より優秀な個体だと。

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クルシマス バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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