喫茶店
バブみ道日丿宮組
お題:何かの同性愛 制限時間:15分
喫茶店
「君たちいつも一緒にいるよね?」
「ふが?」
カフェのとあるエリアで店員が口を出す。
「恋人ですから」「ふが」
「そうなの? もこもこのふわふわなのに?」
声をかけた人物の隣りにいるのは、大きなクマ。当然ほんものではなく、はくせいでもなく、ぬいぐるみでもない。いや、ぬいぐるみであったりはする。きぐるみだ。
「ほら、ちゃんと生きてるから」「ふが」
ぬいぐるみが席を立ち、店員へと手をふる。
「それは何度も見てるから知ってるけどさ……ほらあれだよあれ。飲み物とかはどうしてるの? トイレとかもできないと生きていけないよね?」
至極当然の疑問がむけられる。
「穴が開いてるでしょ、そこから飲んでる。トイレとかはちゃんとチャックが空いてできるよ」
なるほどなと店員が頷く。
「ふがふがっていってるのはわかるんだけど、会話できてるの?」
「ふがふがふが!」
「大丈夫、以心伝心でいつも一緒なの」
よくわからないがよくわかった顔を店員はする。
「いつも来てもらって感謝しかないんだけど、どうしてうちにばっかきてくれるの?」
「そりゃ、こんななりですからね。他のお店だと拒否されちゃって……」
どうやらこのカップルたちに悔い改めるという気持ちはこれっぽちもないようだ。
「きぐるみだからね」
「そうなんです、そこがまたかわいいところなのに誰もわかってくれなくて」
「あのさ、家だとさすがにきぐるみは脱ぐよね?」
「そうですよ。お風呂だって一緒です」
そこまできいてないと店員。
「ふがふが」
そんな気持ちがわかるのか、きぐるみが動く。
「まぁ誰が誰と付き合おうが店員には関係のないことよね」
3人が頷きあう。
「ちなみに、そのこは男の子なの? 女の子なの?」
「同性ですよ」
「じゃぁ女の子か。かなり小さいね」
「現物はもっとかわいいですよ」
それから恋人による恋人のための恋人の自慢話が嫌になるほど、店員は聞かされるのだった。
喫茶店 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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