売られてる人
バブみ道日丿宮組
お題:商業的な処刑人 制限時間:15分
売られてる人
「これはいくらくらいなんですか?」
とある人型を指し示す。そこには一体の人間が目をぱちぱちさせてた。
「新作だからね、50000円だよ」
今の時代、人は商品だ。
こうして棚に並んでる人は人工的に作られて教育された商品。男型、女形、両性型と種類がある。
そのため、いかなる用途にも使用されてる。今世界で働いてるのは主にこういう人であるもので、世間一般的な人間は家でのんきに暮らしてる。
「結構高いですね」
「一生もんだからな、こういうもんだ。あと金髪碧眼はレアでな、あまり生産されないんだ」
「じゃぁ買います」
「こっちの用紙に記入してくれ、規則だからな」
人型の購入には個人情報がいる。
それは国に登録され、誰が何を所持してるかを管理される。
うちには人型はいなかった。代々仕えてくれた執事たちがそれを担ってくれてたからだ。昨今ではそれは虐待だと騒がれて、こうして我が家も人型を取り入れることとなった。
人間といえば、増えるということは禁じられており、人間は生まれた時には生殖機能を削られてる。増える方法は試験管ベイビーという手段を使う。
実際のところ、人型と人間の違いはほとんどない。調整されたのが人型であり、DNAが似てるのが人間。でも、生まれ方が違うだけで、その運命は大きく異なる。
「書けました」
「じゃぁ、連れて行っていいぞ」
いいぞと言われて何をすればいいのかわからなかった。
とりあえず、手を差し伸ばしてみても反応はない。相変わらずぱちぱちを目を動かすだけで、動き出しそうな気配はない。
「なんだ、はじめてか? なら、そいつの下にある腕輪をつけてやんな。情報はもう入ってる。おまえさんのいうことを聞くぞ」
言われるがままに人型の足元になった腕輪を人型へつける。
「これでいいんですか?」
「あぁ、あとは思考を走らせるだけだ」
なるほど。
じゃぁ、歩いてみて。
「……」
人型は頷くと、箱から一歩進む。
「それでいい」
店主は興味をなくしたのか、テーブルに乗ってた新聞に手をのばすと視線を外した。
「じゃぁいくか」
ぺこりと人型は頷くと、僕の隣にたつ。
妙な気分だ。
子供を作ると、こんな気持ちになるのだろうか?
まぁいいかと僕は店を人型と一緒に出た。
売られてる人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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