俺って運気が見えるんだが、それが神様に認められて異世界に招待された件
ルンルン太郎
第1話
鈴原零士はわくわくしながらコンビニに向かって歩いている。
その理由は、スマホゲームのイベントで経験値3倍イベントがあるからだ。
ブラック企業勤めの彼にはこのイベントは貴重。
ゲームのプログラマーとして画面を凝視している彼がゲームを楽しむ余裕があるかわからないが、本人は楽しそうだ。
普通は家ではうんざりしてゲームはしたくない筈である。
「いらっしゃいませ。こんばんは。今日もお疲れのようですね。大丈夫ですか?」
一目見ただけで可愛いとわかるモデル級の美人のコンビニの女性店員が心配して鈴原零士に声を掛けてくれた。
「どうもです。今日も疲れました。明日も仕事で14連勤ですが、頑張ります」
すると女性店員は大きな瞳を見開らき驚いて栄養ドリンクを数本持ってきた。
「これサービスです。どうしても眠い時に飲んで下さい。高いから効きますよ」
すると彼は驚いてその申し出を断った。内心とても嬉しかったが、レジの処理とか大変そうだと気を使った。
「そんな申し訳ないですよ。自分で買います。お気持ちだけ頂いておきます」
「そうですか。残念です。今日も課金のカード買うんですか? お客様の為に大量に仕入れておきました」
「はい! もちろん! お、この枚数なら足りそうですね」
「え、こんなに買うんですか? 3ヶ月ぶん仕入れた筈ですが」
鈴原零士が大量の課金カードの束を美人店員に差し出した。彼女は枚数を数え、レジを通す。
「ひゃ、ひゃ100万2538円になります」
「現金でお願いします」
「あ、現金を数えている間にお買い物どうですか? お客様の集めている漫画の最新刊も出ていますし、お弁当や飲み物やお酒なんかもいかがでしょうか?」
「あ、はい。買うのを忘れてました。課金に頭がいっぱいで」
「ごゆっくり選んで下さいね。他にお客様もいませんし」
「はい」
鈴原零士がゆっくりと商品を選んで再びレジに向かうと、5人の客が店に入ってきた。
若いカップル2人と明るい雰囲気の元気そうな女性。
それと謎が多そうな50歳前後の男性。
そして髪の色が特徴的な金髪に下の方は紫にした可愛い顔した小柄な女性。
「100万5842円になります!」
美人店員は客の登場に待ってましたとばかりに大声で価格を言った。他の客は驚いている。
「こ、コンビニで100万だと!?」
「うわ、金持ちかもだけど引くね」
とカップルが言った。ふたりであれこれ話している。
「100万円そんなに課金してみたい。というか少しカード分けてほしい。5万でいいので」
と言うのは明るい雰囲気の女性。服装も明るい色でピンクの花柄や黄色の花柄だが、派手ではない。少しよだれが出ている。相当羨ましいようだ。
「ほう。やりますな。趣味にそれだけのお金を出せるのは相当本気のようですね」
そう言うのは謎の50歳前後の男性。深みのある顔立ちで人生経験が顔に出ている。相当凄い過去がありそうだ。
「100万も課金して爆死すればいいのに。100万使って強運で大当たり連発なら死ねばいいのに」
小柄で可愛く髪の色が特徴的な女性はその見かけに反して毒舌だった。声は可愛いから不快ではないが。
「お客様、今ですよ。連絡先交換のチャンスです。ついでに最後に私も交換して下さいね」
「お、いいね! 100万課金のその後が気になる。俺は長谷川塁。ルイでいいぜ」
「見たい見たい! 私は竹中留美。ルミでいいよ」
とカップルが真っ先に鈴原零士と連絡先を交換した。通話アプリにはゲームのリンクも貼ってあるのでお互い家に着いた後にフレンド登録もした。
「私もいいですかな。私は斎藤と申します。以後お見知りおきを」
次は50歳前後の謎が多そうな男性と交換した。彼は既に鈴原零士と同じゲームをしており、すぐにその場でフレンド登録をした。普通に強いアカウントの持ち主だ。推定課金額は50万。
「わたしもいいすかー! あ、このゲーム知ってるー! キャラをプレゼント出来ると話題になったやつ。何か下さい。お礼はするから。お金は無いから体でいいかな? 私は明莉だよ。アカリでいいよん」
「いや、体はまずいでしょ! とりあえず、可愛くて使ってないキャラならプレゼントしますよ。無償でね」
明るく元気女性はアカリ。なかなかのおねだり上手のようだ。中年のおじさんには堪らないだろう。
「仕方ないから交換してあげる。私は美晴よ。ミハルでいい。っても呼び捨てにしたら殺すからな」
小柄で可愛い髪の色が特徴的な女性はミハルと言った。相変わらず毒舌だ。が、少し照れていてほんのり頬が赤くなっている。
「お客様。最後は私ですね。お客様とは2年前からの長い付き合いなのにお互いの名前は知りませんよね。私の名字は知ってるかもですが。私は本能寺真紀です。マキって呼んで下さい」
「俺は鈴原零士です。改めて宜しくお願いします」
「ひゅーひゅー熱いねー」
「ふー! お似合いー!」
「2人の世界が出来てますね」
「いいなーいいなーこの後でやっちゃうのかなー」
「リア充爆発しろ。てか、私の方が少しだけ可愛いし。美人と可愛いのハイブリッドが調子に乗ってるんじゃないわよ。死ねばいいのに」
と鈴原零士と本能寺真紀の様子を見て、それぞれの感想を言った。
「あ、そういうのじゃないです。一応彼女みたいな人がいますし。スマホゲームの中にも仲がいい人もいます」
「ぶーマキちゃん残念ですねー! ざまぁ!」
鈴原零士の言葉に毒舌ミハルが食いついた。
「私、恋とかわかんない。ドキドキとかキュンとか感じた事ない」
「え、初恋もまだ!? てかね、あんた顔が赤いよ。耳もね」
「うん。初恋もまだ。顔が赤い? 耳まで? 何でだろ。熱でもあるんかな」
マキの衝撃のカミングアウトに毒舌ミハルが反応した。
「あちゃーマキちゃんこれから大変だわ。初恋はドロドロのネバネバの泥沼ですわ」
「ねー絶対大変だわ。私達は普通でよかったね」
「ですね。この雰囲気は恋ですよ。本人は気がついていないようですが」
カップルのルイとルミと謎の男の斎藤が小声で相談するように話していた。
「とりあえず、1回ゆっくり皆で集まろうぜ。課金の打ち上げも兼ねて」
「いいですね。友人のライブハウスがコロナで休業中なので使わせてもらいましょう」
「じゃ、その時にまた! 今日は解散な! おつー!」
「はい。ではまた後日」
皆が去ってコンビニには零士とマキだけになった。
「今日は近所に住むお友達が沢山増えてよかったですね」
「はい。マキさんのお陰です。ありがとうございました。それではまた」
「はい。またねーまたねー!」
彼と彼女は別れの挨拶をしてコンビニを後にした。
さあ、次回は楽しい課金タイムだ。このメンバーごと異世界に招待しようかの。
彼の人見知りの性格では異世界で仲間を見つけるのは大変そうだし。
ナイスな閃き。流石わし。神様は伊達ではないのじゃ。暗黒の魔王を倒すには奴の見てないオーラを見る能力が必要。それには鈴原零士が必ず必要経費なのじゃ。
今日のメンバーも運命の導きなのか、異世界に行けば面白いスキルを覚醒する素質がある。
課金の打ち上げの直後に異世界に招待しよう。そうしよう。楽しみじゃ。99人の可愛い勇者達を殺した憎き暗黒の魔王をようやく倒せる人材を見つけた。既に超能力者である鈴原零士が異世界の能力に覚醒したのなら一体どうような能力を得るのだろう。その力は計り知れない。わくわくのドキドキじゃ!
俺って運気が見えるんだが、それが神様に認められて異世界に招待された件 ルンルン太郎 @rnrntarou2239
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