3-3.そう言えばエルフってまだ出てなかったね
GM 遺跡をさらに進んでいくと広い空間に出る。奴隷たちが労働させられていて、何人かの蛮族が決まった順路で歩いて見回りをしているみたいだね。見つかる前に急いで隠れることができたってことにしていいよ。
ルジェ では、物陰に隠れながらギュッと唇を噛んでその光景を見つめマス。
GM うん、働かされている奴隷の中にはルジェの記憶にある顔ぶれもいるだろうね。
サイネ 鞭で叩かれたり……している?
GM 叩かれているし、倒れたら水をぶっかけられている。隅のほうには倒れたまま放置されている奴隷もいるね。動きがないからたぶんもう……って感じ。
ルジェ 魔域の見せる幻であることはわかっていマスが、それでもこれは……なかなか堪えマスね。
GM しかもルジェの記憶にあるものよりずいぶんと規模が大きいね。魔域の悪意を感じるかもしれない。スイートピーは口元を押さえてすごく悲しげな表情を浮かべている。彼女にとってこの光景は衝撃だろう。
ユイ それじゃあ、「大丈夫だよー。これは幻だから。今あんな酷い光景が現実に起きているわけじゃないから、安心していいんだよ~」と言って抱きしめるかなー。
リーゼ NPCを曇らせて食べるご飯は美味しくて? GM?
サイネ おにちく……。
GM いや、スイートピーにもそろそろ綺麗なものだけじゃなく厳しい現実も見せたほうがいいよねっていう親心的なあれだから……(震え声)
リーゼ ともあれ、蛮族の数はどのくらいですの?
GM 10体以上いるね。ただ強さ的には大したことがないし、時間をかければ宣言だけで倒したって言ってもいい。倒す?
ルジェ なにか罠がありそうデスね。
サイネ 倒せるなら……倒したい。私もこの光景を見て、杖を持つ手に力が入っている……。
リーゼ ですわね。ところで、ルジェの恐怖を振り払えるかどうかの判定はありますの?
GM ここはまだ発生しないね。
リーゼ それならルジェに「ここで待っていても構いませんのよ?」と言葉をかけますわ。
ルジェ では、「大丈夫、デス……気遣いありがとうございマス、リーゼ」と、顔を青くしながらもそう答えマショウ。
ユイ それじゃあみんなで突撃して蛮族を蹴散らすよー。で、何が起きるのかなー?
GM うん、倒したはずの蛮族たちがリポップするね。
リーゼ は?
GM 戦ってみてわかるけど、この空間の蛮族たちは弱いけど倒してもキリがない。倒したぶんだけどんどん湧いて出てくる。ただ、突破したりキミたちを発見すると襲ってくるけど、物陰に隠れていると探そうとすることすらしない。みんなが視界から外れると、また決まった順路で歩いて見回る動きに戻る。
ユイ ふーん?
ルジェ ちなみに私たちがその蛮族と戦っている間、働かされている人たちはどうしていマスか?
GM 気にせず働いているね。人形っぽさがある。話しかけても反応はない。触ろうとしても手がすり抜ける。決められた動作を繰り返している感じ。
サイネ 戦わずに素通りするのが正解……?
GM そうしようとすると見回りたちが妨害してきて進めないね。あと、弱いと言っても数の暴力もあって少なからずダメージを受けちゃう感じ。
リーゼ 何か抜け道はあるはずですけれど……。
ユイ これ、要するに見つからずに通り抜けろってことだよね~。判定は何が必要? 敏捷度を使った判定あたりかなー?
GM 相変わらず読みが鋭いですねぇ……(震え声)
リーゼ ああ、なるほど言われてみればたしかにゲームでよくありますわね。見つかったら入り口に戻されるタイプの。
GM ただ、じつはちょっとここでイベントがあるんだよね。キミたちが相談していると、奴隷たちの中からひとりの女の子がこっそり出てきて話しかけてくる。
サイネ 女の子……?
GM ルジェはその子に見覚えがある。具体的に言うとルジェからもらった設定に書いてあった子だね。
ルジェ なるほど、ここで。では、ハッとした表情になって唇を震わせながら口を開きマス。「アーシャ……」
リーネ なんとなく察しましたが、キャラクターとしては「ルジェ、どうしましたの?」と聞きますわ。
ルジェ その言葉には返答できずアーシャを見つめていマス。
GM そんなルジェに対して女の子が声をかけてくるね。「まぁ、ルジェ! ルジェね! まあまあ、ずいぶん大きくなって!」
ルジェ おっと、その反応は予想外デスね。
ユイ へぇー、そういう反応なんだ~。ほかの働かされている人たちとは違う反応だよねー?
GM そうだね。普通に会話できるし、触ったらわかるけど脈も在るし体温もある。
サイネ ルジェにとって特別な存在だから……ほかの人たちとは違う……?
リーネ 何歳くらいですの?
GM 見た目は12歳とかそのくらいかな。エルフの女の子。ルジェの記憶の中にある通りの見た目だけど、どうやら成長したルジェのことを認識しているみたいだね。ルジェがここにいたのが10歳の頃だから、当時はお姉さん的な存在としてお世話になった感じ。
ルジェ 「アーシャ……私のことが、わかるのデスか?」
GM/アーシャ 「おかしなことを言うのね! うふふっ。ルジェはルジェでしょう? ずいぶんと大きくなって、素敵になったけど、でもルジェだわ!」
GM アーシャはころころと表情を変えて笑う。そう、彼女はこんな境遇でありながらいつだって笑顔を絶やさなかった。その笑顔はルジェだけではなく、当時この場所で働かされていたいろんな人たちにとっての心の支えだった。
ルジェ これもまた、私の願望を読み取った魔域の見せる幻……デスか。そうとわかっていても、思わず抱きしめてしまいマスね。
リーゼ どういった関係ですの?
ルジェ そうデスね。アーシャは、先ほどGMが説明した通り私たちの心の支えであり、私にとっては姉のような存在デシタ。要領がとてもよくて、立ちふるまいも完璧で、彼女の機転には何度も助けられマシタ。彼女がいなければ私は死んでいたデショウ。
ユイ 声のトーンが暗いけど、もしかして何かひどい目にあったのかな?
ルジェ はい。アーシャは、殺されたのデス。私が見ている前で、私を庇って。
サイネ それは……なかなかヘヴィ。
リーゼ そんなことがあったのですわね……。
ルジェ アーシャが死んでからほどなくして冒険者たちが遺跡にやってきて、働かされていた私たちを助けてくれマシタ。もしかしたら、当時救えなかった彼女を救いたいという願いが反映されたのかもしれマセン。
GM 抱きしめられたアーシャはビックリしたように、「わわ、どうしたのルジェ?」と目を丸くする。
ルジェ 「ごめんなさい……ごめんなさい、アーシャ。私は、見ていたのに、あなたを……あなたを……っ」
GM/アーシャ 「うふふっ! ルジェったら、大きくなってもすぐに泣いちゃうのは変わらないのね」
GM ルジェの頭をよしよし、としながら、アーシャはほかの4人に対して話しかけてくる。
GM/アーシャ 「あなたたちが大きくなったルジェの仲間のみなさんね? こんにちは! 私の名前はアーシャよ!」
ユイ 「アタシはユイだよー。よろしくねーアーシャちゃん!」この立ち絵かわいいな~。撫で撫でしたい。
サイネ 「私の名前は……サイネ……偉大なる貴種。崇め奉るといい……」
リーゼ 「わたくしはリーゼと言いますの。よろしくお願いしますわ」
GM スイートピーも、「私、スイートピー! アーシャちゃん、よろしくね!」と元気よく挨拶。で、幼げな見た目のスイートピーに対して、アーシャは「まあまあ!」とうれしそうに笑う。
GM/アーシャ 「ユイさんと、サイネさんと、リーゼさんと、スイートピーちゃんね! 覚えたわ、うふふっ! ルジェがいつもお世話になっています!」と言って丁寧に頭を下げる。
突然現れたルジェのかつての友人・アーシャ。彼女は冒険者たちに何をもたらすのか。
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