神殿の地下

探知魔法を使い、アークスノウの本体を探す。が、神殿の規模が思ったよりも大きかったので、【情報処理代ル・インテルプロセス】を使う事にした。

……。

如何やら、アークスノウの本体は地下にあるらしい。


そこに行く為には、地面をぶっ壊して強行突破するか、ちゃんと入り口から入る正攻法で行くかどちらかを選ばなければいけない。

まあ、勿論ぶっ壊して行く――

……なんて事はしないよな。うん。


はじめはぶっ壊そうかと考えていたが、魔法陣を巻き添えにしてしまうのでそれはやめた。

ちゃんと入り口から入ろう。


さて、入り口は……あった。

入り口は地面にあると思っていたが、壁にあったようだ。

場所は墓がある場所から更に奥に入ったところだな。


壁は煉瓦レンガを模しており、氷塊を長方形に切ったのが積まれている。

それぞれ色が若干違っており、手に混んでいるようだを

煉瓦、と言っても、所詮氷の集まりなのですぐ倒れそうに見える。

よく見ると薄く接着面に氷が敷かれているのでそんな事はないが。

まあ、それはさておき。


扉はここにあるみたいだ。

明らかに『押せよ』と言っている様にしか見えない上、接着面が無い孤立した煉瓦を発見する。

あ――…、うん。あからさまだな……

取り敢えず、その煉瓦を奥へ押し込んだ。

流石に、引き抜くとかではないと思う。

案の定そこは扉の仕掛けの一部だった。押した瞬間に壁が開く。

具体的には、煉瓦の壁が一部崩れた。

煉瓦ブロックが一個ずつ壁を伝って地面に積み上がっていくのがすごくシュールだった。

なにこれ笑い取ろうとしてんの?


積み上がった煉瓦ブロックを取ろうとしたら、下のブロックとがっちりくっ付いていた。

取り敢えず壁(扉の先)に入る。

地面には転移魔法陣があり、魔力を流すと転移出来るようになっている。

これが地下とつながっているのだろう。

そうか、普通に転移するという手もあったのか。

今更ながら気付いたが、もう遅いよな……


俺は自力で行く事はもう諦め、魔法陣を起動させた。



目の前には氷で出来た通路がまっすぐ伸びている。若干遠いが突き当たりに扉があるのが見える。アークスノウ本体があるのはそこだろう。

他は特に何も無かったので取り敢えず通路を進む事にした。

氷といっても滑らないんだな…… 浬緒の記憶の中にあった『スケート』を思い浮かべながら言う。

氷は表面が溶けているから滑るのであって、氷自体が滑るわけでは無いのかもしれない。例は、スケートリンクに定期的に出てくる水(では無いかもしれない)を氷にかけて表面を溶かしている感じか? 浬緒あいつボッチだから小学校の時姉に連れられて行ったその一回のスケート行った記憶しかねーんだわ。

と、それはさて置き。

そう考えているうちに突き当たりにあった扉の前についた。


この扉を開けたらアークスノウの本体が居るんだな……

そう考えながら扉を開ける。その先には少し小さめの部屋が広がっていた。

例外はなく、部屋は氷で出来ていた。天井に目を向けると氷が少し発光しているのが分かる。どういう仕組みだろうか。水に発光する何かを入れてから凍らしてそれを天井に使ったのだろうか?

部屋の奥には棺桶…の様な形をした氷があった。棺桶の様な形をした氷――氷の棺桶と略そう。氷の棺桶は磨りガラスの様に氷の表面が白く曇っている。

氷の棺桶の蓋を開けると、ルークに似た容姿である銀髪の美青年が眠っている。……アークスノウだ。

俺はアークスノウの現在の魔力値を鑑定する。


182560708/1000000000


約3471年間寝ているだけかなり魔力が回復している。だが、目覚めるに至ってはいない。二割程しか回復していなかった。

魔力を回復するにはもう一つの方法がある。魔力回復薬だ。生憎、今の俺の手持ちには無いので出来ない。

なので、魔力を譲渡することにした。俺の魔力量が多いから出来る事なので、真似しない方が身の為だろう。

アークスノウの額に人差し指を当て、魔力を流す。

そして、数秒間のうちにアークスノウの魔力は全回復した。


ピクリ、アークスノウの身体が動く。…起きたか。

「う……ん………? ここは…ああ、そうか。魔物の襲撃があって……って、ノア!?」

この場に俺がいる事に驚いたのか、アークスノウが大声を出し飛び起きる。

「気付いたか。3000年振りだな、アークスノウ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る