<時空書庫>_アーカイブ_

<―――Noa75011 がログインしました。ようこそ、《時空書庫アーカイブ》へ>

先程まで何も無かった空間に、本棚が現れた。斜めに傾いていたり、逆さだったり、変な方向に向いてる本棚が見える。

前後左右を見たら、本棚。上下を見ても、本棚、本棚、本棚。あと、本棚。

その時気付いたんだが、地面が無い。

見渡す限り地面は見えない。というか無い。


これ、高所恐怖症だったら死亡案件じゃない?

そう思いつつも、近くにあった本棚から一冊だけ本を手に取った。この本凄く分厚いな。

背表紙、表紙に題名は書かれていなかった。本の表紙をめくってみる。

そこにはこう書かれていた。


『ノア流 暇潰しの仕方』



うん? 何これ?

……ま、まあいい。取り敢えず読んでみよう。



◇前書き

今、途轍も無く暇なので、この本を書いてみた。



軽っ⁉︎⁉︎ 普通、いくら暇だと言ってもわざわざ本を書こうとは思わないよな⁉︎



◆第1章 ―予定が全く無い―

全く予定が無い。そんな事は(恐らく)日常茶飯事だろう。うん、きっとそうだ。そうに違いない。

書いてある事は、あくまで俺だったらの話だ。そこだけは絶対に間違えないように。


俺の場合

其のいち 魔法創作

其の 魔法の試し撃ち

其のさん 魔法の改良

其の 何もメリット良い事が無い無害な魔法を連発(無駄に魔力を消費するだけ)

其の 一人寂しく模擬戦

其のろく 剣術を頑張る

其のしち 剣術極める

其のはち ちょっと龍殺しドラゴンキラーになって来る

其の なんか凄そうな鉱石を創ってみる

其のじゅう 友人の家に乱入

其の拾壱じゅういち  魔法で仮想世界を創ってみる

其の佰弐拾陸ひゃくにじゅうろく 寝る


まあ、大体こんな感じだ。

この調子でニ章とか三章を書いてくかな。

読むの頑張れー


◆第ニ章 ―暇潰しの方法の考え方―

其のいち どうでも良い事等

其の やらなければならない事

其のさん やりたい事

其の 何かを編み出す



まだ途中までしか読んでいないが、パタンと本を閉じた。


ねぇ時空書庫アーカイブ


<要件は何でしょう。>


この本今すぐに非公開にして。


<了解しました。著者の確認を致します。――…確認しました。著者:Noa75011〈ノア〉 による『ノア流 暇潰しの仕方』を非公開にしました。>


ふぅ………


さて、他は……


先程の本を本棚に戻し、また別の本を手に取る。


表紙をめくる。


『ノア流 暇潰しの仕方2』

2⁉︎⁉︎ 2て。あるんだな。


一段下にある本を手に取ってみた。


『ノア流 暇潰しの仕方48』

いやどんだけあんだよ。


時空書庫アーカイブ、このシリーズ全部非公開にして。


<了解しました。>



……あ、本来の目的を忘れるところだった。

よし、情報収集しよ。



時空書庫アーカイブ


<要件は何でしょう。>


ヴィラントの情報が書かれている本は何処にある?


<座標:-8024 387 27に在ります。Noa75011の現在位置は、5736 929 65379です。本棚を転移させましょうか?>


ああ。そうしてくれると助かる。


<了解しました。>

すると、目の前に新たな本棚が現れる。一つだけでは無く、次々に本棚が転移してくる。


ふむ、ざっと50くらいか。多いな。


俺は、一番近くにある本棚から一冊本を抜いた。



『創世のヴィラント』

これは――…サナルアがこの世界――ヴィラントを創った時の事か?


俺はページをめくる。



――はじめに――

この情報は、創造神サナルアが創った世界であるヴィラントについてである。

一部禁書認定されている所があるので要注意だ。

神界統一暦/ヴィラント暦 と、この様に書いている。


現在は ルデオス暦8473年/平閃黎暦へいせんしゅうれき


作中に出て来るクラエス暦とは、ルデオス暦の一つ前である。



――第1章――

ヴィラントとは創造神サナルアが創った世界の名前である。


ヴィラントはクラエス暦486287634年に創造された。



凄く細く書かれてた。俺の事も載ってた。

まあ、英雄とか人類最強とか呼ばれてたしな……

よし、次の本を読もう。




そして俺は、体感時間で言うと2日くらい本を読み漁っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る