アルカド大森林・2

時空の歪みから出て来たのは――…二人の鬼人だった。


「――お兄様っ!ちゃんと妖気を抑えてと言った筈でしょう⁉︎」

「……悪い悪い、でも大丈夫だったろ?」

「それはっ――」

「ちょっと話してるとこ悪いが、お前等。【絶対零度アブソリュート・ゼロ】っていう魔法を知っているか? ……今から使おうと思ってるんだけど。」

俺の存在に気付いたら鬼人兄妹は、目を見開く。

「……お前は何者だ?」

「初っ端からお前呼ばわりは止めて欲しいな。」

「…悪かった。あんたは何者だ?」

「お前とあんたはそんなに変わらないと思うけど? ……まぁいい。今の俺の名前はリリノ。後は、ノアと浬緒とノアル。」

「?????」

「成る程、貴方は転生前の記憶があるのですね。」

妹の方は気付いたらしい。

「あの、1つお聞きしたいことが……」

「ん? 何? 俺に答えられることなら答えるけど。」

「その……先程仰っていた【絶対零度アブソリュート・ゼロ】という……マホウ?についてですが――…」

「え、興味あるの!?」

――驚いた。此処にも魔術ヲタク(?)がいたんだ。

「止m―――是非とも教えるよ!!」

おい浬緒、出てくんな。しかも何で断ろうとしたんだ!?

俺はそんな感じの事を訊いた。

浬緒は、あの子の命の危険を感じた――と言っていた。

は? いや何故? 俺は滅多にいない優秀な人材魔術ヲタクを育てようとしてるだけなのに。

「まず、魔法のことから教えようか。魔法は、君が知っている妖術と似ていて―――…」


「…………」

完全に置いて行かれている鬼人(兄)。

そして、魔法言語や魔法陣の事をペラペラと喋っていくリリノ。

それらのことを全て理解し、実現していく鬼人(妹)。

このような状況が数時間続いた。


「―――…という仕組みなんだ。色々と属性を変えたりしたら面白そうだなと思って、現在研究してる途中。正反対はどうかと思って創ってみた。結果、【灼熱地獄バーニング・ヘル】という魔法が出来上がった。どうだ? 凄いだろう?」

灼熱地獄バーニング・ヘル】は炎属性の頂点として君臨する魔法である。

その名の通り灼熱地獄で、魔法が解除されない限り永久に燃え続ける。

その魔法によって負った傷は非常に治りにくい上、回復魔法は一切効かない、という感じだ。

そのうち、風属性や地属性、光属性とか闇属性に改造しよう!!

ちなみに、風属性で思い浮かんだのは【絶 対アブソリュート  切断ディスカーネーション】 。なんか付与魔法っぽくなってしまったので却下。

で、結局風属性は【黒旋暴嵐ウィールウィンド風螺・スクルー】となった。


「お兄様お兄様っ! 凄いですよこの方はっ!!」

「あ、ああ…………」

何時もは大人しい筈の妹がはしゃいでいる。

妹の豹変っぷりに驚きが隠しきれていないが、返事をした兄。


「………自己紹介を忘れていたな。俺は翡翠ヒスイだ。よろしく」

「私はアオイです。リリノさん、よろしくお願いしますねっ!」


「ああ、よろしくな。翡翠、蒼」

こうして、二人の鬼人が俺の仲間に加わった。

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