謁見の日・1

ああ―――…よく寝た……


よし、しっかり睡眠もとった(3時くらいまで寝てた)し、そろそろ王城に行こうかな。


俺は家を出た。


しばらく歩いていると、ルークから【思念伝達ユーリス】が来る。


『お前今何処にいる?』

『何処って言われてもな……強いて言うなら家から少し歩いた所か?』

『俺はギルドにいるからそこに来てくれ。』

『分かった、すぐ行く。』


それにしても、謁見か……

俺まだ1回しかちゃんとしてないよ?

それ以来、転移魔法で出入りしてた気がする。

え? 不法侵入?

何それ初耳ですけど。

許可されてたし、別にいいでしょ?

ね?(圧)

さて、ギルドは――…あっちの方か。

もう少し早めに歩こうかな。


そして、5分くらい歩いた所にギルドがあった。

早速扉を開ける。

中は相変わらず冒険者が居る。……居なかったら逆に吃驚だ。

……このくだり、ギルドに来る時毎回やってる気がする。

それは置いておいて、ルークは…… あ、いたいた。

依頼掲示板の前にいた。毎回そこにいるって事は、よっぽど好きなんだろうな、依頼掲示板の前。

どう声を掛けようか。護衛の人もいるし、多少敬意を払ったほうがいいよな……?

そう思い、俺は考える。

おはよう? いや、もう昼だ。どっちかと言うと、こんにちは?

何か違う。

ご機嫌麗しゅう? いやねーわ。てかお前誰だよ⁉︎ 俺じゃない俺じゃない絶対に! これだけは断言する‼︎

俺が色々考えていると、ルークは俺に気付いたらしく、こっちに向かって歩いて来た。

「やあ、リリノ。昨日振りだな!」

この様子だと、敬語を使わなくても良さそうだ。

「ああ。今度、レベル上げやりたくなったら俺に言えよ」

「それは絶っっっっ対に無いと思う。」

無駄に爽やかな笑顔で言われる。

……泣いていい?

「あの……」

護衛の人が声を上げた。

「「ん?(なんだ?)」」

その声に俺とルークが同時に反応する。

「そろそろ本題を……」

「…ああ、そうだな。王城の前まで転移してくれるか?」

ルークの言葉に護衛がギョッとする。そして、ルークの耳元で囁きだした。

「あの、殿下……転移って、伝説の魔法じゃ………」


「あ、この反応知ってるわ。」

本当に、何で皆こんな反応してくるんだよ!

厄災(仮)、赦さんぞ。捻り潰してくれるわ!

これ以上何かあったら半殺しですまない。……その後、存在しているといいね。


「ああ――…あったねそういうの。」

ルークは懐かしそうに言う。

俺も言われるまで忘れていた。

「今迄こうやってグダグダと話してたけど、そろそろ王城に行った方がいいんじゃ?」

「誰かさんが話を脱線させたから……」

はぁ……と溜息をつくルーク。

「え⁉︎ もしかして、私の所為になってますか⁉︎⁉︎⁉︎」

「否定はしない。」

「上辺だけでも否定して欲しかったなぁ……」

「流石に人がいる所で転移するのはアレだから、移動しようか。」

そして俺達は、ギルドを出て人がいない所で転移した。

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