リリノは鬼だ。 byルーク、ウィル

俺はルークとウィルを連れて転移した。

本当は、ルークとウィルを最深淵近層に連れて行きたかったのだが……

心が折れるのは分かりきった事なので、100億歩譲って第一階層にしてあげた。

「よし。まずは、俺が残りHP1まで削るから、それ倒してね。」

「あ、ああ。」

生憎と、近くに魔物はいなかったので制御系統の魔法を使い、一体だけ魔物を連れてきた。


うーん…… 魔法で派手にドカンとやりたいところだが、呪系統の魔法で弱体化させた方が良さそうだな。

そう思ったので、【弱体化ノ呪ドルネス】を使う。

「はい、とどめをさして」

「ああ。」

そう言ってルークはサクッと魔物の頭に剣を刺した。

数秒後、ルークは光に包まれていた。そう、これは経験値だ。

自分より格上の魔物を倒した場合は、経験値が少し多く貰えるのだ。

「ある程度レベル上げしたら、こいつを1人でサクッと片付けられるようになろうか。」

「「エ。」」

「一応聞くけど……拒否権h」

「皆無だ。」

ルークの言葉に、躊躇ためらいなく帰す。

「デスヨネ――… もう、どうにでもなれ!」

ルークは楽しい楽しいレベル上げ(とは名ばかりのレベル上げ地獄)を阻止するのを止めた。

「……………」

ウィルは、心底嫌そうな目をしていた。


いくら止めても無駄だからね☆


「午前の11時になったら今日の所は解放してやる」

ちなみに今は午前9時だ。

「………了解。」

「分かった。」

ルーク達は本気を出す事を決めた。


二人がレベルが100辺りになった時、俺は魔物をもう一体操り、こちらへ誘導する。

「そろそろ来るから二人で協力して頑張れよ!」

後ろから二人に声を掛けた。


俺は二人を観察する事にした。

二人がどんな戦闘をするのか、一応見ておきたいしね。


「【力量偽装セーブ】、解除。真・火焔剣フレイル、解放」

おお! あの剣俺が創ったやつだ!

へぇ…… まだ残ってたんだな。


そのままでは勝てないと判断したのか、ルークはセーブしていた力を解放し、持っていた剣…火焔剣フレイルの真の力も解放した。

「――フッ…!」

ルークが剣を振り、火焔の斬撃を飛ばす。

ゴウッ!と、音を立て飛んでいく火焔の斬撃。

それを見て避ける魔物。

「罠魔法発動、【水鎖縛陣セアリル】」

魔物が避けた先に設置していた罠魔法を発動するウィル。

「グオォォオオ‼︎‼︎‼︎‼︎」

水の鎖を引き千切ろうとする魔物。

何回もがいても引き千切れない水の鎖にに集中している様子だ。

その間にルークは先程より大きな斬撃を飛ばす。

ウィルは【水槍】を何本も生み出し、魔物に向けて撃つ。

これを3回くらい繰り返した。

やがて――

「ガアァァアア‼︎‼︎‼︎」

魔物が倒れて、ルークとウィルが勝利した。

「やっと……倒、せた………!」

「これ、結構…疲れるね……」

「まだ11時まで1時間あるぞ。」

………

……

沈黙が続く。

「よし、訂正だ。午後の2時に変k…」

「が、頑張ろう。」

「そうだな。」

二人がやる気を出したようだ。

「もうちょっと強い奴を倒しに行こう!」

………

……

「冗談だ。」

「もう2度と言うなよ。」

そんなに嫌がらなくても良いのに。

何で皆避けるんだろうな。


皆に避けられていた原因はこんな性格だからであるという事を、ノアが知る機会は一度もなかった。

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