アビス大迷宮・6

俺達は最深淵近層に入った。

最下層より暗いな。

まあ、【暗視】があるから大丈夫なんだけどね。


……凄いな、ここ。

俺が使っている探知魔法が少し妨害されているのだ。

俺の探知魔法が妨害される事が無いから、少し違和感があるな。


こんな事を考えつつ歩いていたら、俺が常時展開している結界の魔法陣が急に発動した。

ガンッッ‼︎‼︎

そこそこ痛そうな音がしたので、振り返ってみる。

後ろには、頭を抱えて座り込んでいるエンがいる。

「お前かよ!」

思わず口に出てしまった。

いや、本当に紛らわしいからやめろ……

ずっと痛いのは可哀想なので、回復魔法をかけてやった。

『ありがとう。ノアの結界魔法の強度凄いね』

「いや、これくらいの強度じゃないと結界の意味が無い。」

『うわっ…… 無駄にハードル高いね』

おい、勝手に引くな。

あと、本当に無意味だからな。

基準は最深淵近層ここら辺にいる魔物だが、な。

なに、気にすることはない。少しの違いだ。

――たぶん。


最深淵近層は思っていたよりも凄かった。

古龍エンに匹敵するか、若しくは、それ以上だ。

本当は大規模殲滅魔法を使いたかったが、流石に迷宮の中ではと思ったので自重する事にした。100回使っただけで天井が抜けそう気がするからという理由もある。

小規模殲滅魔法ならいけるかな…とも思ったけど、久し振りにクローツをメインにして戦いたいなと思った。

という事で、身体強化魔法さんも久し振りを使う事になる

付与魔法? そんなのシュッって光速で動かせば関係ないよ。あ、勿論身体強化魔法は忘れずに。

よし、頑張ろう。と、気合いを入れ、最深淵近層の探索に勤しんだ。



ん? 向こうに何かいるな。

取り敢えず剣撃を飛ばしておこう。


―――ザンッッ


スパッと綺麗に切れた気がする。


後ろに振り返ってみると、コウセイが無の表情をしていた。

苦労して倒していた魔物を目の前で瞬殺されてるからねぇ……


〈お前らの戦いを見せてもらったぞ。〉

この声の主は古の一柱である、緋竜だった。古じゃなくて古ね。

よし、倒そう。

そう思い、剣を構える。

〈ここから先を通るなら――――って、待て待て待て。待つがよい!〉

必死で俺が攻撃するのを止めてくる。

〈そこの白い奴は……?〉

日竜が問い掛けてきた。

『ボクは古龍の一柱、白龍エンだ。たかが竜の分際でこのボクに指図するとはな……!』

ニヤリと黒い笑みを浮かべるエン。

「やめとけやめとけ。可哀想だろ?」

この会話で緋竜の誇りは次元の彼方へと消え去る。

〈――――す………す、〉

「す?」


〈すみませんでした――――――‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎〉



威勢がよかった先程の竜は何処へ行ったのやら。

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